キャンパスイノベーションセンター東京 新技術説明会 (医療・創薬・バイオ) 【B会場】
日時:2016年12月01日(木) 10:00~15:25
会場:キャンパスイノベーションセンター東京5階B会場(東京・田町)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、山形大学、千葉大学、東京工業大学、新潟大学、奈良先端科学技術大学院大学、和歌山大学、鳥取大学、広島大学、山口大学、高知工科大学、佐賀大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)可搬性の高いX線断層撮影システムの開発
千葉大学 フロンティア医工学センター 助教 大西 峻
新技術の概要
本研究ではどこにでも持ち運べるCT撮影装置の開発を目指している。この目的のために、可搬性の高い回診型のX線撮影装置を利用する。問題点は、データ計測時のX線源と検出器の位置関係が計測できないことである。新技術では、この位置関係の計測を、独自の計測用オブジェクトと画像処理で簡便に行う。
従来技術・競合技術との比較
従来ではC-arm型のX線撮影装置を用いた、モバイルなCT撮影装置が開発されてきた。しかし、撮影環境を限定することで断層撮影を可能としているため、用途も限られる。新技術ではより自由な環境下での断層撮影を可能とする。
新技術の特徴
・持ち運びできるCT撮影装置
・独自オブジェクトと画像処理で必要な情報を計測
想定される用途
・新しいコンセプトの断層撮影装置の開発
・手術ナビゲーションシステムとの連携・統合
・骨密度計測への応用
- 創薬
2)細胞挙動を制御するブロック共重合体
山形大学 大学院有機材料システム研究科 助教 福島 和樹
新技術の概要
本技術は、水中で異方性ナノ会合体を形成する生分解性ブロックポリマーが、アスペクト比や物性によって細胞の増殖や伸展に異なる作用を示すことを見出したことに基づく。これにより、細胞の増殖・伸展・形状を制御することが可能となり、より簡便で安価な幹細胞等の各種細胞の大規模培養を達成させ、またより生体に近い「生きた」組織の構築の実現も期待できる。
従来技術・競合技術との比較
「再生治療」に関して、タンパク質などの生体分子を使用する従来技術の課題(大型化、量産化、コスト面、安全性、細胞の生存性等)に対して、化学機能の拡張性と構造制御、加工性に優れるポリマー材料を用いることにより、上記課題の解決を可能とする技術を提供する。
新技術の特徴
・培養液中に分散し、液性因子として作用し得るポリマー会合体
・ナノ会合体として作用し、細胞の伸展と増殖を制御
・表面機能、物性、サイズは分子設計により拡張可能
想定される用途
・再生医療
・創薬(治験用モデル組織の構築)
- 創薬
3)神経細胞関連分子「A」の蛋白尿(ネフローゼ症候群)の新規治療標的分子としての有用性
新潟大学 大学院医歯学総合研究科 腎研究センター 腎分子病態学分野 教授 河内 裕
新技術の概要
腎糸球体細胞にシナプス関連分子が発現しており、その機能低下が腎臓病の主要症候である蛋白尿の発症に関与していることを明らかにした。これら分子は薬剤開発のマーカーとして有用であること、神経細胞機能分子に対する修飾薬剤、修飾化合物が蛋白尿(ネフローゼ症候群)の治療薬として有用である可能性があることを示した。
従来技術・競合技術との比較
現在臨床利用されている蛋白尿治療薬は主に降血圧薬、免疫抑制薬など全身性に作用する薬剤であるが、本技術は、蛋白尿(ネフローゼ症候群)発症に直接関与する因子として特定した分子を標的とした治療薬の開発である。これら分子は薬剤開発の新規バイオマーカーとなる。
新技術の特徴
・病因に直接関与する分子を標的とした治療薬の開発。
・神経系に対する薬剤が腎疾患に有効である可能性を示した。
・薬剤開発の有効なバイオマーカーを同定した。
想定される用途
・腎疾患治療薬
・神経疾患領域などでの治療薬
・薬剤開発のための化合物のスクリーニング
- アグリ・バイオ
4)ラン科植物の発芽と共生を促進する技術
鳥取大学 農学部 生物資源環境学科 准教授 上中 弘典
新技術の概要
植物ホルモンであるジベレリンの阻害剤の処理により、共生菌が存在しない状態での発芽、および自然環境下ではラン科植物の発芽と成長に不可欠な共生菌との共生の両方を、様々なランで促進可能である。本技術は、希少なランの人工培養だけでなく、ランの生育を促進させるのに有効であると考えられる。
従来技術・競合技術との比較
本技術と同様の効果を発揮可能な従来技術は、これまでに全く報告されていない。また本技術については、その効果の裏付けとなる基礎研究成果がある。ジベレリンの阻害剤は農薬として市販されていることから、安全性が検証済であり、かつ安価に利用できる。
新技術の特徴
・人工培養条件では発芽困難な希少ランの発芽を可能にする。
・ランの発芽・成長に不可欠な共生菌との共生を促進する。
・既存の農薬がそのまま利用できる。
想定される用途
・既存の農薬の新規用途開発
・新たなラン用培養土の開発
・希少ランの保全、および人工栽培技術の開発
- 創薬
5)新規治療薬としての成長因子プログラニュリン変異体の開発
新潟大学 脳研究所 神経内科 准教授 下畑 享良
新技術の概要
われわれは成長因子プログラニュリンが脳梗塞の新しい治療薬となることを報告した。プログラニュリンはエラスターゼによる切断部位を複数みとめ、切断により生じるグラニュリンは炎症を引き起こすという臨床応用上の大きな問題があった。本技術はこのエラスターゼ分解に耐性をしめす変異体を実現し、臨床応用を促進するものである。
従来技術・競合技術との比較
プログラニュリンは、これまで種々の疾患の治療薬として期待されているものの、臨床応用はいまだなされていない。エラスターゼによる分解に耐性を示す変異体の報告もない。急性期脳梗塞の治療薬としては、血管保護、神経細胞保護、抗炎症作用を併せ持つという従来にない治療薬になる可能性がある。
新技術の特徴
・成長因子プログラニュリンの臨床応用を可能にする。
・脳梗塞だけでなく、下記に示す多彩な疾患に応用可能である。
想定される用途
・急性期治療薬(脳梗塞、急性腎障害、脊髄損傷など)
・認知症治療薬
・その他(関節リウマチなど自己免疫疾患、網膜疾患)
- 医療・福祉
6)顔画像のヘモグロビン色素分離による 非接触心拍変動計測と ストレスモニタリングへの応用
千葉大学 大学院融合科学研究科 准教授 津村 徳道
新技術の概要
安価なカラーカメラから得られる顔領域の動画像から、肌の光学モデルにもとづきヘモグロビン成分を抽出する。抽出されたヘモグロビン成分の時間変化は、心拍に高い相関のもつ脈波である。カメラにより非接触のより脈拍変動を計測できることから、非接触のストレスモニタリングや情動モニタリングを安価に実現することができた。
従来技術・競合技術との比較
MITのメディアラボのグループが、特殊な5バンドカメラを用いて、非接触のストレスモニタリングを実現した。しかし特殊な5バンドカメラは非常に高価であり実用的ではない。したがって、この従来技術に対して新技術は非常に有効である。
新技術の特徴
・Webカメラやスマホのカメラによっても計測可能であり、安価に実現できる。
・肌特性を考慮した解析であり、ヘモグロビンの変化を抽出するという点においては本技術を超える精度の技術はない。
・照明の色の変化や照明の分布に変化に対してもロバストな解析を実現している。
想定される用途
・情報技術への情動(感情)情報に導入(使用者の感情の応じて適応的SNS、相手の感情のわかるロボット)
・車載カメラ(ドライバーモニタ)により 、ドライバーのストレス計測、集中度計測、感情計測と安全運転への誘導
・防犯カメラによる対象者の危険思想の予知(東京オリンピックに向けて高度セキリティー体制の構築)
- 医療・福祉
7)健康を指先で診る
和歌山大学 システム工学部 講師 鈴木 新
新技術の概要
指先から取得される脈波を用いて様々な生体・健康状態を評価します。評価する項目は血圧、血管、ストレスなどが考えられます。
従来技術・競合技術との比較
現在、脈波は心拍数や酸素飽和度を測るために用いられています。本技術は、さらに血圧、血管、メンタルを評価することを目指しています。
新技術の特徴
・生体信号の解析技術
・波形データを利用した診断、評価、予測
・カフレス血圧推定
想定される用途
・日々の健康管理(小型短時間血圧計)
・日々の健康管理(血圧、血管、メンタルの測定・管理)
・医療機器(ウェアラブルセンサー)
- アグリ・バイオ
8)木質バイオマスの直接メタン発酵の新規技術開発とその応用
広島大学 大学院先端物質科学研究科 教授 加藤 純一
新技術の概要
新規前処理技術とメタン発酵技術を組み合わせることで、従来困難であった木質バイオマスの直接メタン発酵を可能にした。この前処理技術は木質バイオマスだけでなく、稲わら、雑草などのソフトバイオマスにも適用可能でメタン発酵速度を促進することができる。また温和な処理であるので、新規有機ELなどの開発に利用できる生リグニン(芳香族系植物生体成分)を得ることもできる。
従来技術・競合技術との比較
本システムの前処理技術である湿式ミリングでは微小ジルコンコーティングビーズを用い、バイオマスを分解酵素(セルラーゼ類)存在下でミリング処理することで物理的破砕、酵素的分解を同時に行う。酸やアルカリを用いずに短時間(~1時間)で木質バイオマスを高度に糖化することが可能である。従来のリグニン抽出は高温・高アルカリ条件で行うためリグニンは大きく変性してしまうが、本前処理は温和な条件で分解するため、新しい化学素材の開発に向いた生リグニンを得ることができる。
新技術の特徴
・木質バイオマスからのバイオガス燃料(メタン)直接生産
・新規化学素材の貴重中間体となり得る生リグニン(フェノール類)の生成
・放射能汚染バイオマスの減容化、安定化
想定される用途
・バイオマスのエネルギー化
・新規化学中間体の生成(新規有機EL開発等への利用)
・バイオマスの糖化、生物変換プロセス基質への変換
- アグリ・バイオ
9)ポリ容器で密閉された生鮮食品のパルスパワーを使った非加熱殺菌技術
山形大学 大学院理工学研究科 准教授 南谷 靖史
新技術の概要
パルスプラズマを用いて、密閉包装後の食品を殺菌することができる技術である。食品の殺菌は、食の安全を確保するために非常に重要である。鮮度保持、大腸菌などの病原菌や細菌、ウィルスの侵入防止等の理由により、食品の多くは包装された状態で店舗に並べられている。本技術により、包装された状態で内部の食品を殺菌できれば、包装後の菌の繁殖を抑えられ、食中毒のリスクの低下、更なる長期保存も可能となる。
従来技術・競合技術との比較
従来の食品の殺菌方法として、加熱殺菌、薬品による化学殺菌などがあるが、加熱殺菌は、生鮮食品のような非加熱食品には使用できず、化学殺菌では薬品による品質の変化や、殺菌剤の残留などの問題がある。本発明は、パルスプラズマを用いて食品を殺菌する技術(非加熱、薬剤を使用しない)のため、従来技術のような問題がなく、食品を殺菌することができる。
新技術の特徴
・密閉包装後の食品を殺菌することができる。
・非加熱殺菌のため、生鮮食品にも用いることができ、食品の品質の変化が起こらない。
・短時間(7秒程度)での食品の殺菌が可能である。
想定される用途
・品質管理が重要となる生鮮食品への安全な殺菌方法
・密閉包装後の製品(食料品)の殺菌技術
・殺菌による消費期限の延長
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
山形大学 国際事業化研究センター知的財産部門
TEL:0238-26-3024 FAX:0238-26-3633Mail:yu-chizaijm.kj.yamagata-u.ac.jp
URL:http://www.big-i.yamagata-u.ac.jp/
千葉大学 学術研究推進機構 産業連携研究推進ステーション
TEL:043-290-3565 FAX:043-290-3519Mail:ccrcufaculty.chiba-u.jp
URL:http://www.ccr.chiba-u.jp/
新潟大学 地域創生推進機構
TEL:025-262-7554 FAX:025-262-7513Mail:onestopadm.niigata-u.ac.jp
URL:http://www.ircp.niigata-u.ac.jp/
和歌山大学 財務課研究協力室
TEL:073-457-7575 FAX:073-457-7550Mail:liaisoncenter.wakayama-u.ac.jp
URL:http://www.wakayama-u.ac.jp/kikaku/chiiki/index2.html
鳥取大学 産学・地域連携推進機構知的財産管理運用部門
TEL:0857-31-6000 FAX:0857-31-5474Mail:chizaiml.adm.tottori-u.ac.jp
URL:http://www.cjrd.tottori-u.ac.jp
広島大学 産学・地域連携センター
TEL:082-424-4304 FAX:082-424-6189Mail:techrdhiroshima-u.ac.jp
URL:http://hiroshima-u.jp/iagcc/access-0
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp