広島大学 新技術説明会
日時:2016年09月13日(火) 12:15~15:25
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、広島大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)カーボンナノファイバーを用いた予備成形体の製造及び複合材料への応用
広島大学 大学院工学研究院 材料・生産加工部門 助教 崔 龍範
新技術の概要
予備成形体の工夫と、低圧含浸法により、アルミニウム合金中にカーボンナノファイバーが均一に分散した金属基複合材料を製造する方法で、形状の自由度確保と低コストを実現している。
従来技術・競合技術との比較
粉末冶金法、溶融撹拌法、鋳造法、及び、多孔体を溶融金属で鋳込む従来の複合材料の作製方法には、形状の自由度、製造コスト、分散率、並びに、高強度および高熱特性の少なくともいずれか1つにおいて改善すべき問題がある。本研究は、高強度および高熱特性に優れる複合材料を、形状の自由度を確保しつつ低コストで製造する技術を提供する。
新技術の特徴
・高強度および高熱伝導率を有する複合材料を、低コストで製造する技術を提供する。
・複合材料の形状の自由度を高めることができる。
・複雑な設備や工程を要しない。従来の生産ライン等で用いられてきた既存の金型を用いた材料生産が可能になる。
想定される用途
・放熱板
・発熱体、LED
・自動車高発熱部
- 材料
2)グアニン結晶を用いた光学素子の製造方法、並びに光学素子
広島大学 ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 分子生命情報科学研究部門 教授 岩坂 正和
新技術の概要
外部磁場によって非接触にマイクロスケールの微小結晶板の方向を回転させ、光反射を制御する技術において、その微小結晶板(グアニン結晶)を固定する手法を開発した。
従来技術・競合技術との比較
ブラウン運動のエネルギーと拮抗する磁気エネルギーで駆動可能な手法として、従来にみられない技術である。また、液体中に浮遊している結晶板の一部を固定可能である点が新しい。
新技術の特徴
・磁気制御
・非接触駆動
・液体中駆動
想定される用途
・視力補助デバイス
・マイクロ光学素子
・医療用カテーテル
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 機械
3)無人航空機(ドローン)のための無反動ロボットアーム
広島大学 大学院工学研究院 電気電子システム数理部門 准教授 高木 健
新技術の概要
ドローンなどの小型無人航空機(以下、UAV)にロボットアームを取付け空中から作業できると、その活躍範囲を広げることができる。しかし、UAVにアームを取付けると、アームが動作することによってUAVの姿勢が崩れてしまう問題が生じる。この問題を解決するために、UAVの姿勢に影響を与えないアームを開発した。
従来技術・競合技術との比較
アームが動くことによる影響をUAVの飛行制御(プロペラの回転数の調節等)で対応する方法も考えられるが、この方法では専用の飛行制御を行うコントローラが必要となる。一方、本技術ではUAVの姿勢に影響を与えないため、どのようなUAVにも簡単に取り付けることができる.
新技術の特徴
・UAVの姿勢に影響を与えないロボットアーム
・UAVにカメラを搭載するぐらい簡単に、ロボットアームを取付けることができる。
・アームを脚として利用して、鳥が木の枝に留まるように、枝などに留まる。
想定される用途
・レスキュー(たとえば、上に逃げたい人のために縄梯子を掛ける。水難事故での浮き輪の投入)
・サンプルの回収(たとえば、広大な農場で作物が病気に感染していないか調べるためのサンプル回収)
・UAVにカメラ等を搭載し、アームを脚として用い高所の枝等に留まり、高所からの長時間の計測や監視を行う。
- 計測
4)芳香族ニトロ化合物のセンシング技術
広島大学 大学院工学研究院 物質化学工学部門 教授 大下 浄治
新技術の概要
ニトロベンゼンなどの芳香族ニトロ化合物のセンシングは、作業環境の維持などのために重要である。今回は、独自に開発した有機ゲルマニウム色素のニトロ芳香族化合物による蛍光消光現象を利用したセンシング技術について紹介する。
従来技術・競合技術との比較
有機蛍光発光体をハイブリッド化したフィルムを利用することで、特殊な機器を必要とせず、簡便にリアルタイムでセンシングが可能である。妨害物質に対する選択性もあり、たとえば、大過剰のアニリン存在下でニトロベンゼンを検知することも可能である。
新技術の特徴
・溶液、気相のいずれにも対応可能
・高温でも安定な材料
・繰り返し使用が可能
想定される用途
・作業環境の維持
・爆発性物質の検知
- アグリ・バイオ
5)高温高圧の分子を直接観察する質量分析
広島大学 大学院工学研究院 エネルギー・環境部門 教授 松村 幸彦
新技術の概要
高温高圧の反応場で物質を直接観察することによって、反応を直接確認する質量分析装置。一度冷却して分析を行う従来の分析法では高温場の状態と異なった状態を見ることになってしまうため、実際の反応を確認する上で、重要。
従来技術・競合技術との比較
従来技術は、冷却後のHPLCや質量分析だが、冷却によって失われたり確認できなくなる物質も存在することを確認した。
新技術の特徴
・高温高圧反応場を直接観察
・質量分析なので微量成分も確認
・比較的安価なしくみで構成可能
想定される用途
・高温高圧反応場解析
・水中微量物質解析
・食品加工成分分析
- アグリ・バイオ
6)難溶性リン可溶化細菌の植物種子・根圏定着能の改良
広島大学 大学院生物圏科学研究科 環境予測制御論講座 准教授 上田 晃弘
新技術の概要
土壌に蓄積された難溶性リンを植物栽培に利用するため、難溶性リンを可溶化する能力を持つ土壌細菌の植物種子・根圏での定着能の改良を行った。非共生型細菌を用いているため、多くの植物種に適用可能である。
従来技術・競合技術との比較
植物生育促進効果を持つ非共生型細菌の多くは、植物根圏での定着能が低いために、あまり実用化されてこなかった。本技術では、細菌が持つバイオフィルム形成能の改良を行うことで、植物表面での定着能を向上させることに成功した。
新技術の特徴
・植物種子・根圏でのリン可溶化細菌の定着能の改良
・宿主特異性にとらわれずに、多くの植物に適用可能
想定される用途
・リン減肥栽培による省コスト化
・低リン土壌における作物栽培
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連携・ライセンスについて
広島大学 産学・地域連携センター 国際・産学連携部門
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