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ナノテク・材料・物づくり系 新技術説明会

日時:2017年01月19日(木) 10:00~14:55

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、北海道大学 産学・地域協働推進機構

後援:特許庁、北見工業大学、北海道立総合研究機構

発表内容詳細

  • 情報

1)ドローンやスマートフォンを使ったスペクトル測定による農業情報革命

北海道大学 大学院理学研究院 特任准教授 栗原 純一

新技術の概要

ドローンに搭載可能なスペクトルカメラとスマートフォンと一体化できる小型分光器の2つの技術で、植物や農作物のスペクトル情報をそれぞれ収集し、従来技術よりも格段に高い精度で植物の種類判別、生育状況や病害虫の診断などが可能です。衛星画像と融合すれば広域の情報についても精度を上げることができます。

従来技術・競合技術との比較

農作物の生育状況を診断するために、従来は葉色板や葉緑素計(SPAD)による手作業での測定と記録が行われてきましたが、手元のスマートフォンでスペクトル情報を収集できれば、リアルタイムに様々な情報と容易にリンクできます。また、ドローンで自動的にスペクトル情報を収集すれば、広範囲の圃場全体をマップ化して診断できます。

新技術の特徴

・ドローンに搭載したスペクトルカメラで自動的に広範囲の圃場全体のスペクトル情報を収集し高頻度にマップ化できる
・スマートフォン一体型の小型分光器で得たスペクトルと同時に、角度・方位、位置、対象写真、時刻を取得して情報を紐づけてデータベースを作るので、より高精度な植物種や状態判別ができる
・両者の情報をリンクさせたり、衛星画像とも融合させることでさらに精度が上がっていく

想定される用途

・農業情報管理・支援システム
・森林、公園、水域、土壌、鉱山などの環境測定・検査評価・維持管理システム
・植物工場の管理・制御システム

関連情報

・展示品あり

  • 医療・福祉

2)脂質の酸化を抑制する能力を測定するためのリボソーム

北海道大学 大学院保健科学研究院 准教授 武田 晴治

新技術の概要

脂質の酸化(特にLDLの酸化)を抑制することは健康維持に重要であると考えられている。抗酸化物質の抗酸化能を評価する方法としてORAC法、DPPP法などが用いられているが、脂質の酸化を抑制する抗酸化能とこれらの方法に相関が観察されていない。そこで脂質に対する抗酸化能を電極法により簡易に評価することが可能なリポソームを開発した。

従来技術・競合技術との比較

従来、単一の組成の不飽和脂肪酸を含有するリポソームでは酸化に10時間以上要したが、酸化させやすくするために複数の合成脂質から構成される単純なリポソームを用いていることにより酸化が1から2時間程度まで短縮され、得られる応答も増加した。 従来はLDLの酸化との相関が不十分であったが、本リポソームとLDLに対して、脂質に対する酸化を抑制する能力を比較したところ、リポソームとLDLで良い相関が得られている。

新技術の特徴

・リポソーム作製後、二か月以上は特性を維持できる。
・LDLを用いた結果と良い相関がある。
・複雑に操作を必要としない。

想定される用途

・脂質抗酸化機能をもつ健康食品の評価
・抗酸化機能測定装置の開発
・脂質酸化に関する基礎研究への展開

  • 材料

3)ナノ粒子表面への複合酸化物材料のナノコーティング技術

北見工業大学 工学部 マテリアル工学科 准教授 大野 智也

新技術の概要

セラミックスナノ粒子や有機ナノ粒子の表面に、ナノレベルで複合酸化物を含む機能性セラミックス材料をコーティングする技術を開発した。本手法は液相法を基に開発した技術であり、コスト面においても優れており、大量生産にも対応可能である。

従来技術・競合技術との比較

通常の液相法では、Si基板のような平板に対して複合酸化物など機能性セラミックスを積層する事が可能であるが、曲率を有する母材料に対して均一なコーティングは難しい。しかし本技術は、ナノ粒子表面の反応を利用した技術であり、このような曲率を持つ材料に対しても対応可能なコーティング技術である。

新技術の特徴

・材料表面に対して新たな機能性を付与する。
・平板以外の母材料に対して均一なコーティングが可能。
・母材料が有機物の場合でも、一部対応可能。

想定される用途

・電極を含む新規触媒材料の開発
・TiO2を含むセラミックスの表面コーティングによる機能性の付与
・セラミックス粒子の中空化による表面積向上

  • 材料

4)高温用コア-シェル型潜熱蓄熱マイクロカプセル

北海道大学 大学院工学研究院 准教授 能村 貴宏

新技術の概要

固液相変化時の潜熱を利用する潜熱蓄熱法は高密度蓄熱可能な点で魅力的です。我々は500 ºC超の高温域で利用可能なコア-シェル型潜熱蓄熱マイクロカプセルを開発しました。その蓄熱密度は従来固体顕熱蓄熱材の5倍以上です。また、シェルはアルミナであるため、セラミックス粒子と同様のハンドリングが期待できます。

従来技術・競合技術との比較

①セラミックス等の固体顕熱蓄熱材料に比べて5倍以上の蓄熱密度が期待できます。
②セラミックス粒子と同様にハンドリングできるので、他の材料とのコンポジット化が容易です。
よって従来の潜熱・化学蓄熱材等と比べ幅広い用途への展開が期待できます。
③粒子径が30μm程度のマイクロ粒子なので高速蓄放熱が可能です。

新技術の特徴

・高い蓄熱密度(従来顕熱蓄熱材料比:5倍以上)。
・融点/凝固点一定温度での熱制御が可能。
・シェルがAl2O3のため、セラミックス粒子としてのハンドリングが可能。

想定される用途

・蓄熱材料(太陽熱利用・排熱利用)
・熱輸送材料(太陽熱利用・排熱利用)
・熱制御材料

  • 製造技術

5)低欠陥・低密度炭素材料の合成

北海道大学 大学院工学研究院 准教授 荻野 勲

新技術の概要

特定の酸化グラフェン由来ナノカーボンにマイクロ波を照射することで、欠陥密度が極めて低くかつ低密度である炭素材料の合成を可能とする技術

従来技術・競合技術との比較

黒鉛を酸化、剥離そして還元することで低密度炭素を合成する技術があるが、いずれも欠陥密度が高い。マイクロ波処理で炭素材料の層剥離や溶液への分散促進を行う技術があるが、本技術で扱う特定のグラフェン系材料をマイクロ波処理することで"極めて低欠陥"かつ"低密度"である炭素材料の合成を可能とした技術はない。

新技術の特徴

・低欠陥グラフェン類似化合物
・高い電気伝導性
・比較的大きな表面積

想定される用途

・電極材料(例:リチウム空気電池用)
・触媒材料(例:水熱条件などの過酷な条件で使用される反応用触媒)
・センサー向け材料

  • 製造技術

6)精密設計された細孔構造を有する多孔質粉末の製造技術

北海道立総合研究機構 産業技術研究本部工業試験場 主査 松嶋 景一郎

新技術の概要

超臨界乾燥および粉砕技術を用いて、ナノオーダーの細孔構造が精密に設計・制御され、且つ平均径1 mmまで微粒化・粒度調製が可能な多孔質粉末の製造技術を開発した。

従来技術・競合技術との比較

3次元網目構造が制御されたハイドロゲルをゾル-ゲル反応により調製し、これを原料に多孔質体を製造する方法が知られている。本技術はこの製造プロセスに粉砕工程を導入し、ゲル調製条件、溶媒除去工程等を再検討したことで、細孔構造が精密に制御され、且つ平均径1 mmまで粒度調製可能な多孔質粉末の製造を可能にした。

新技術の特徴

・ナノオーダーの細孔構造が精密に設計された多孔質粉末の製造が可能
・多孔質粉末の粒度を平均径1 mmまで微細化可能

想定される用途

・燃料電池、キャパシタなどの電極材料
・吸着材、カラム充填材
・触媒担体

  • 材料

7)メモリデバイスを高容量化する新しい方法/窓ガラスがメモリーになる?

北海道大学 電子科学研究所 教授 太田 裕道

新技術の概要

本来絶縁体である酸化物を、電気が良く流れる磁石に、室温で可逆的に変えることにより、電気が流れる=情報「1」、流れない=情報「0」に加え、 磁石につく=情報「A」、つかない=情報「B」のように記憶する新しい情報記憶素子を開発した。(窓ガラスメモリーは、色変化で情報を記憶する素子)

従来技術・競合技術との比較

従来半導体の電気伝導性変化のみを利用して情報記憶を行っていたのに対し、本技術では、電気伝導性の変化に加えて、磁石につく⇔つかない(または、透明⇔濃青色)の変化を情報記憶に利用することができる。

新技術の特徴

・情報“0”“1”に加え,情報“A”“B”を同時に記憶する
・USBメモリなどの情報記憶装置の記憶容量を大幅に向上
・室温・空気中で,安全に使用可能で、待機電力ゼロ

想定される用途

・スマートフォン用の高容量情報記憶装置
・暗号化が必要な記憶装置
・スマートガラスやスマートミラーなど

関連情報

・サンプルあり

  • 製造技術

8)プロトンを利用した新たなイオン導入手法の確立

北海道大学 電子科学研究所 助教 藤岡 正弥

新技術の概要

これまでの研究から、水素雰囲気中でのコロナ放電により、プロトンが生成し、これが高電界に応じて物質の内部のイオンと玉突き状態となり、そこで発生するイオン交換に伴い、内部のイオンが外部へと押し出されることが分かっている。新技術ではこの現象を利用してイオンの挿入またイオンの置換を実現した。

従来技術・競合技術との比較

従来の超高圧合成や、バブル法、水熱合成法などと異なり、新技術を利用した場合、低温、大気圧、溶媒フリーでイオン導入が可能である。また、結晶の構造骨格を大きく変えずにイオン種のみを交換することが可能であり、準安定な物質の合成にも有効である。

新技術の特徴

・従来のイオン注入と異なり、結晶構造を破壊しない
・イオン源の組み合わせにより、様々なイオン種が導入可能
・低温(イオン源のイオン伝導度に依存)・大気圧・溶媒フリーの合成

想定される用途

・ナノ空間材料とイオン種の様々な組み合わせが実現する
・従来合成不可能であった新材料の開発
・部分的なイオン導入によるパターニング

関連情報

・サンプルあり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

北海道大学 産学・地域協働推進機構

TEL:011-706-9561 FAX:011-706-9550
Mail:jigyoアットマークmcip.hokudai.ac.jp
URL:http://www.mcip.hokudai.ac.jp
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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