JAXA(宇宙航空研究開発機構) 新技術説明会
日時:2016年11月15日(火) 12:55~15:25
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、JAXA(宇宙航空研究開発機構)
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 製造技術
1)電磁石を用いた自動結合・分離機構
宇宙航空研究開発機構 研究開発部門 宇宙太陽光発電システム(SSPS)研究チーム 研究開発員 上土井 大助
新技術の概要
本技術は、構造物を無人で組み立てられるように、構造部材を自動的に結合及び分離するためのものである。この技術では、電磁石の磁力を利用して結合及び分離を行うが、結合を維持するための通電は不要である。また、結合機構メス 側をガイド用のワイヤにより結合機構オス側まで誘導することで、確実な結合を行う。
従来技術・競合技術との比較
従来、構造物の結合部にはボルト・ナット機構やラッチ機構が多く使用されているが、それらと比べて、本技術は、シンプルな機構でありながら、結合時には従来のラッチと同様の結合信頼性を持つ一方で、 必要な時には一度通電するだけで(別途のアクチュエータを必要とせずに)容易に分離や再結合ができる利点を有している。
新技術の特徴
・建設作業員や高機能なロボット/装置を必要とせず、低コスト・短時間での構造物構築が可能となる。
・結合及び分離のタイミングを容易に制御することが可能である。
・用途に応じて大型化または小型化が可能である。
想定される用途
・結合、分離をコマンド制御できるコネクタ
・海洋構造物の建設
・高所でのソーラーパネルやサンシェード等の自動展開・収納
関連情報
・デモあり
- 通信
2)Dichroic(2色性)ミラーを用いた複数通信レートを効率よく受信する光無線通信装置
宇宙航空研究開発機構 研究開発部門 第一研究ユニット 主任研究開発員 荒木 智宏
新技術の概要
宇宙での無線の光通信では、相手とレーザ光をやり取りするため、受信した相手からのレーザ光を、復調器のみならずその一部を捕捉追尾用の位置(入射角度)検出用センサに分割する必要がある。センサが必要な光量は、通信レートによらず一定だが、レートが遅い場合でも、送信側は送信電力を削減できるようにするための技術である。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では、送信を間欠的に行うことで、レートを変更する。センサに必要は光量は一定なので、送信側は送信電力を削減できない。
新技術の特徴
・レートにより、使用レーザ光波長を僅かに変更する。(例:低速時λ1、高速時λ2)
・受信側は、2色性ビームスプリッタを適切に設計製造することで、λ1とλ2で、センサへの配分値を変える。
想定される用途
・宇宙での無線光通信
・大気中での長距離無線光通信
・水中での無線光通信
- 機械
3)共振応答を回避する振動絶縁装置及びばね・ゴム材の配置方法
宇宙航空研究開発機構 第一宇宙技術部門GOSAT-2プロジェクトチーム 主任研究開発員 百束 泰俊
新技術の概要
振動絶縁装置は、自身の共振により低周波で振動を過大に増幅させる帯域があるさせるという原理上の課題があった。本発明は、対象機器の簡易な設計情報(質量、重心位置、慣性モーメント)に合わせてばね・ゴム材等を配置し、系の共振周波数を任意に調整することで原理上の課題を解決した振動絶縁装置並びにその配置・調整方法である。
従来技術・競合技術との比較
低周波の増幅域の過大な応答を抑制する為、競合技術では動吸振器や減衰材の付加等の対策がなされていたが、所定の効果を得るには重量・体積の増大が避けられなかった。もしくはアクティブな振動制御デバイスにを用いる場合には、センシング、制御ロジック、演算装置等の付加が必要であった。新技術では配置・調整のみで容易にこれらを回避できる。
新技術の特徴
・中、高周波の振動絶縁性能を確保した上で、低周波の増幅域で共振を起こさない。
・既存のばね、ゴム材を組み込むことで、相乗効果が得られる。
・振動絶縁対象物の詳細な設計情報(数値解析モデル)がなくても導入可能。
想定される用途
・スマホ(タブレット)スタンド、スピーカインシュレータ
・車載カメラ、航空機、ドローン搭載用カメラ等の振動低減アタッチメント
・家電、産業機械、建築物の騒音、振動低減架台
関連情報
・デモあり
・展示品あり
- エネルギー
4)太陽光熱複合発電にヒートポンプ技術を導入したコジェネレーションシステム
宇宙航空研究開発機構 研究開発部門 宇宙太陽光発電システム(SSPS)研究チーム 木皿 且人
新技術の概要
太陽光熱複合発電は、太陽電池のバンドギャップ近傍でスペクトルを分割し、短波長側は太陽電池、長波長側は熱電発電と給湯を行うシステムであり、このシステムにCOPの高いヒートポンプシステムを導入し、自立装置ととして熱と電気のベストミックスを可能にする。
従来技術・競合技術との比較
既存技術の組み合わせにより、適用場所におけるエネルギーのベストミックスを達成する。必要な電気と熱のバランスをある程度自由に変えることができる。季節や気象に応じたエネルギー要求に応する複合化システム。バイオマスボイラーの導入により、農業用ハウス等での廃棄バイオマスの焼却熱等も補助熱源としてエネルギーとして回収でき、既存の加温ボイラーとの共存も可能である。
新技術の特徴
・既存技術の組み合わせ構成
・エネルギー源が太陽だけでなく、バイオマスボイラーやヒートポンプなど複数のエネルギー源が利用できる。
・独立した小規模分散による自立システム用
想定される用途
・農業用ハウスや農産物加工工場等における電気と熱の供給、畜産施設用エネルギー供給システム
・地域コミュニテイにおける集会場や避難所等の電気と熱の自立システム
・集合住宅における非常用システム
・発展途上国等の電力インフラのない地域の地域用インフラ構築。小規模分散ネットワークとしての活用。
関連情報
・サンプルあり
- デバイス・装置
5)超軽量大面積X線集光結像装置
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 宇宙物理学研究系 教授 満田 和久
新技術の概要
シリコン基板にあけた多数の微細な縦溝の側面をX線反射に利用。
従来技術・競合技術との比較
従来のX線望遠鏡に対して、単位有効面積当たりで、1/10から1/100の質量で実現。製造費用も飛躍的に下げる。
新技術の特徴
・比較的大ビーム(~10cm)のX線の集光
・逆に、X線拡散光を、比較的大ビームの平行光に変換
想定される用途
・X線の集光、擬似平行光が必要な分野
・上記とX線分光検出器を組み合わせたX線分析など
関連情報
・サンプルあり
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