金沢大学 新技術説明会
日時:2016年08月18日(木) 12:55~16:00
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、金沢大学、金沢大学ティ・エル・オー
後援:株式会社北陸銀行
発表内容一覧
発表内容詳細
- 環境
1)大気中CO₂吸収/放出剤
金沢大学 医薬保健研究域 薬学系 准教授 稲垣 冬彦
新技術の概要
アルキルアミン誘導体が、空気中に放置しておくだけでを効率良く吸収できることを見出した。通常吸収剤は潮解性を持つが、耐水性のCO₂吸収性能を持つ化合物候補も発見した。吸収したCO₂は酸又は熱により放出が可能であった。
従来技術・競合技術との比較
耐水性のCO₂吸収剤は、放出時にCO₂のみを発生するため、これまで疎水性条件でしか適用できなかったCO₂固定化反応にも空気中CO₂が適用可能である。
新技術の特徴
・空気中のCO₂のみを能動的に吸収する。
・吸収時に水分を含まない。
・無水CO₂ガスを放出できる。
想定される用途
・CO₂を炭素源とする有機合成反応
・CO₂吸収剤
・充填不要のCO₂ガスボンベ
関連情報
・サンプルあり
- 材料
2)超低反射ポリカーボネート基板の新規製造プロセス
金沢大学 理工研究域 自然システム学系 准教授 瀧 健太郎
新技術の概要
UV硬化樹脂が塗布されたポリカーボネート基板を炭酸ガス雰囲気&UV光に暴露することで球晶を形成しつつUV硬化させた。炭酸ガス圧力を除圧する際に、UV硬化樹脂の一部を発泡させることで、球晶を基板表面に露出させた。球晶表面はドーム型となり、光を乱反射させることで、反射率を未処理品よりも1/600に低減できた。
従来技術・競合技術との比較
ナノインプリントなどの型を使用していない。溶媒誘起結晶化によるアンチグレアと異なり、マイクロクラックが発生しづらい。
新技術の特徴
・UV硬化樹脂によるハードコートとアンチグレアの両立
・金型によらない成形法
・低い反射率
想定される用途
・反射防止フィルム
関連情報
・サンプルあり
- 医療・福祉
3)放射線被曝予防剤/治療剤への応用が可能なインドール化合物
金沢大学 環日本海域環境研究センター 助教 関口 俊男
新技術の概要
メラトニンに代表されるインドール化合物が含まれる培地に、放射線照射後の細胞を移したところ、細胞修復が認められた。よって、本化合物の放射線障害治療剤としての効果が示された。当該効果を有する新規のインドール化合物も発明した。従来の放射線防護剤の多くは予防剤であり、本発明は常時投与の必要が無く、被曝後の適用からでも効果が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
放射線防護剤は一般には入手が困難であり、また副作用を伴うものが多く、長期間の服用にも課題が残る。インドール化合物は人体内でも作られており、副作用が少ないという利点がある。
新技術の特徴
・ラジカルスキャベンジャーとしての放射線の防御作用
・放射線によりダメージを受けた細胞の修復作用
想定される用途
・原子力発電所における放射線防御剤
・放射線を用いたガン治療時の細胞修復剤
関連情報
・サンプルあり
- 電子
4)強誘電体をゲートとした簡便かつ低損失なダイヤモンドパワーデバイス
金沢大学 理工研究域 電子情報学系 准教授 川江 健
新技術の概要
ポストSiC・GaN世代のパワーデバイスとして期待されるダイヤモンドに対し、水素終端表面伝導層をチャネルとした電界効果トランジスタ(FET)を簡便に形成できる技術を開発した。さらに、FETのゲートを強誘電体としたことで、高い電流オン/オフ比を実現し、さらに、短時間のパルス電圧をゲートに加えるだけでのオン/オフ制御を可能とした。
従来技術・競合技術との比較
水素終端表面伝導層をチャネルとしたダイヤモンドFETは、従来技術ではデバイスへのダメージ回避を目的として高度に制御された原子層堆積法でゲート絶縁膜を形成する必要があった。これに対し、本技術では極めて簡便なスピンコート法を用いてダメージレスなゲート絶縁膜形成を実現した。
新技術の特徴
・低温かつ簡便なスピンコート法によるダイヤモンドFETの形成
・パルス電圧で駆動できる、低損失動作が可能なパワーデバイス
・強誘電体の巨大分極を利用した高い電流オン/オフ比
想定される用途
・車載向けパワーデバイス
・電車、送電設備などのインフラ分野向けパワーデバイス
関連情報
・サンプルあり
- 計測
5)光で物体形状計測 ~ナノからメートルまでを1台で~
金沢大学 理工研究域 電子情報学系 教授 飯山 宏一
新技術の概要
光周波数掃引レーザー光を用いるFMCW光センサにおいて、光検出器アレイを用いて測定対象までの距離の空間分布を一度に測定することにより、物体形状計測を可能とする。また、光検出器アレイ間の干渉信号の位相差の測定により、ナノ領域での物体形状計測も可能とする。なお、電磁波であれば光でなくても良い。
従来技術・競合技術との比較
距離センサには複数の方式があるが、得意とする測定レンジは方式により決まっており、かつ比較的狭いレンジに制限されていることが多い。本発明は、1つの方式でナノ領域からメートル以上の距離測定や形状計測が可能で、測定レンジが6桁以上と極めて広い点に特徴がある。
新技術の特徴
・発振周波数が掃引されたレーザー光などの電磁波を用いたFMCWセンサであること。
・検出器アレイを用いて、測定対象までの距離の空間分布を一度に測定すること。
・検出器アレイの受信信号間の位相差を測定することにより、ナノ領域の測定も可能とすること。
想定される用途
・工場ラインでの部品組立の検査
・基板、薄膜、研磨部品などの表面粗さの検査
関連情報
・サンプルあり
- 医療・福祉
6)光学式骨密度計測装置
金沢大学 理工研究域 機械工学系 教授 田中 茂雄
新技術の概要
近赤外レーザー光を用いて皮膚の下にある骨の骨密度を精度高く計測可能な、コンパクトハンディタイプ光学式骨密度計測装置。
従来技術・競合技術との比較
現在、骨粗鬆症診断にはX線を用いた装置が使用されているが、このような装置は大型であり、骨密度低下の早期発見等の簡易測定としては運用に難がある。また,エコー診断においてもジェルを塗布する煩雑さがある。
新技術の特徴
・コンパクト
・簡便操作
・非接触で骨密度を計測
想定される用途
・骨密度測定装置
・皮膚下組織の非侵襲評価
関連情報
・サンプルあり
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