工学院大学 新技術説明会
日時:2017年01月24日(火) 09:55~11:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、工学院大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 分析
1)ノイズの大きい動画像からの信号検出 ~脳イメージングデータの解析技術より~
工学院大学 情報学部 システム数理学科 准教授 竹川 高志
新技術の概要
動画像として神経回路の活動を記録したデータから、細胞の形状と活動の時刻を精度良く自動検出するシステム。SN比が悪い画像からノイズを除去して複数の信号源が生成するイベント発生時刻を検出する。システムの基礎となるスパース最適化問題を高速に解くアルゴリズムと実装は他分野にも広く応用可能。
従来技術・競合技術との比較
従来の手法は、細胞の形状と活動時刻の検出を別々に行っていたため、重なり合った細胞(信号源)に対して混線が起こり誤った検出結果となる場合があった。時間と空間を同時に考慮することは計算量の問題から困難であったが、事前知識を適切に利用したモデルと問題に特化した最適化ソルバを開発することにより解決した。
新技術の特徴
・空間的に重なった複数の信号を分離可能。
・微弱な信号も検出できる。
・時空間構造を持つデータに広く応用可能。
想定される用途
・生物・医学画像データの分析
・定点カメラ映像の分析
・SNS での情報伝播の分析(情報の発信源と発信時刻の特定)
- 情報
2)画像/映像の超解像化 -従来の理論限界を超えた超解像技術-
工学院大学 情報学部 情報デザイン学科 教授 合志 清一
新技術の概要
超解像とは画像/映像の解像度を向上させる技術である。提案する超解像技術は既存超解像と異なり、小型・軽量・低遅延を特徴とする。HD・4K・8K映像をリアルタイム処理するリアルタイムハードウエア開発に成功しており、スマートフォン上でソフトウエアによる映像のリアルタイム処理に成功している。
従来技術・競合技術との比較
4Kテレビには例外なく超解技術が搭載されている。提案する非線形超解像とこれらの既存超解像よりも高解像度能力が高く、映像の非専門家であっても、その差は一目瞭然である。また、既存超解像と異なり、処理が軽く低遅延である。
新技術の特徴
・理論的な限界を超える高解像度化が可能。
・処理が軽く8K映像でもリアルタイム処理可能。
・1枚の入力画像で高解像度化可能であり、複数枚の映像やデータベース等は不要。
想定される用途
・放送、映画
・監視カメラ
・医療映像
関連情報
・サンプルあり
- 分析
3)物体色の物理特性と人の色覚特性にもとづく画像の照明光推定技術
工学院大学 情報学部 情報デザイン学科 准教授 福田 一帆
新技術の概要
物体色の物理特性と人の色覚特性にもとづき、1枚の画像に含まれる色情報から照明光の色を推定する技術である。この技術は、照明光の影響を差し引くホワイトバランス補正の実行や色認識に応用できる。また、夕焼けなど印象的・感動的な照明環境の再現映像作成などにおいて、単に色度を調整するだけでなく、物理特性にもとづく自然な色補正を可能とする。
従来技術・競合技術との比較
照明光推定の主要な従来法においては、色情報の平均値、光沢情報などが利用されている。本技術は「色度と輝度の相関」を利用したGolz & MacLeod(Nature, 2002)の手法を発展させたものであり、従来手法で苦手とする、色の偏りが大きいシーンや光沢情報が適切に得られないシーンへの適用にも効果的である。
新技術の特徴
・光の物理特性と人の色覚特性にもとづく自然な色補正の実現。
・照明の色変化に対するロバストな色認識。
・輝度情報の利用により色の偏りの大きなシーンにも適用可能。
想定される用途
・画像、映像の色補正
・コンピュータビジョン
- 計測
4)ナノ構造から一般光学物体まで応用可能な3次元復元新理論
工学院大学 情報学部 コンピュータ科学科 教授 馬場 則男
新技術の概要
電子顕微鏡でしか見えないマイクロ・ナノレベルの複雑な立体形状を3次元復元する新たな計測技術である。試料を走査型電子顕微鏡(SEM)などで連続傾斜して撮影した画像シリーズに特殊な画像処理を施すだけで3次元メモリ空間に立体が現れる。この技術は光学計測や一般測量分野にも応用可能で、精度と能力の向上が期待される。
従来技術・競合技術との比較
SPM(プローブ顕微鏡)やマルチディテクター方式による立体計測法はあるが、多重構造など複雑な形状は不可能で本手法によって初めて可能になる。また、光学3次元計測法に応用した場合、複数の方角からの画像のみから立体計測できるので安価に製品化でき、反射光が得られない黒い物体や半透明な表面も計測できる可能性がある。
新技術の特徴
・マイクロ、ナノレベルの複雑な表面形状が復元できる。
・連続傾斜または複数の方角からの画像さえあれば復元できる。
・顕微鏡やカメラの種類を問わないので応用範囲が広い。
想定される用途
・走査型電子顕微鏡によるマイクロ、ナノレベルの3次元計測、3Dプリンターによる復元。
・バイオ試料から一般材料(金属、半導体、高分子、複合材料、など)まで応用できる。
・これまでの光学計測が不得意な物体や形状の計測が可能になる。
関連情報
・デモあり
お問い合わせ
新技術説明会について
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