くまもと発 新技術説明会
日時:2016年08月23日(火) 13:00~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、熊本大学、熊本高等専門学校、熊本県産業技術センター
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)水素ガス・酸素ガスで色と蛍光を制御する分子技術の開発
熊本大学 大学院先端科学研究部 化学分野 准教授 石川 勇人
新技術の概要
クリーンなエネルギーとして注目される水素ガス(H₂)と酸素ガス(O₂)と反応すると色や蛍光が変化する多環芳香族化合物の開発に成功した。この反応の副生成物は水だけであり、また、可逆反応なので繰り返し発光と消光のスイッチを切り替えることが可能である。
従来技術・競合技術との比較
多環芳香族化合物の熱や光による物性変化はこれまで知られていたが、水素、酸素ガスによる物性変化は今回の報告が初めてである。ガスセンサーとしての応用が期待できるほか、有機半導体素子への適用の可能性も秘めている。
新技術の特徴
・水素、酸素ガスをエネルギーとする光学特性の変化
・副生成物は水だけであり、環境に優しい技術
・繰り返し使用可能
想定される用途
・ガスセンサー
・色素・蛍光材料
・有機半導体
関連情報
・サンプルあり
- 電子
2)食品加工用などの衝撃波発生装置の小形軽量化と低価格化
熊本高等専門学校 情報通信エレクトロニクス工学科 教授 大田 一郎
新技術の概要
食品加工などに用いられる衝撃波発生装置の小形軽量化と低価格化の方法を提案する。本方法を用いると、従来の放電スイッチを数千円以下で作製でき、30kV以上の高耐圧で、放電電流の制限はなく、且つ従来のスイッチによる損失が全くない。また、大容量コンデンサの充電は、突入電流を抑制して最短で充電できる方法である。
従来技術・競合技術との比較
放電スイッチは3.5kV以上の耐圧で、オンした瞬間、100kA程度の大電流が流れる。従来のメカニカルスイッチを用いた場合、接点間にアーク放電が生じて、電極間には十分な衝撃波が発生しない。また、購入可能な高耐圧大電流のスイッチは特注品で40~60万円と高価である。この点が衝撃波発生装置を商品化する上での最大の問題となる。
新技術の特徴
・放電スイッチは電極ギャップ間に進入させた液体なので、スイッチの損失が全くなく電流の制限はない。
・電極ギャップ間の真空で絶縁しているので、高耐圧で機構が簡単で安価に小形に作成できる。
・最小の充電電流で大容量コンデンサを最短で充電できる。
想定される用途
・病院や老人ホーム等での咀嚼が困難な人や高齢者用の業務用調理器具、家電品としての調理器具
・食品以外の物質の軟化、粉体化、抽出浸透、殺菌などの装置
・金属等の瞬間圧力整形加工装置
- 情報
3)時系列ビッグデータのリアルタイム予測
熊本大学 大学院先端科学研究部 ビッグデータ工学分野 教授 櫻井 保志
新技術の概要
IoTデバイスデータやWeb情報など大規模データストリームの中から、刻々と変化する時系列パターンや重要な特徴を自動的かつ高速に認識し、継続的に将来のデータを予測する。
従来技術・競合技術との比較
生態系モデルの概念を拡張し、時系列データを適応型非線形動的システムとして表現することにより、複雑な時系列パターンを柔軟に表現する。従来の予測技術では予測できなかった時系列データについても高精度に予測が可能となり、また予測に必要とする計算時間についても大幅に削減することに成功。
新技術の特徴
・一定時刻後の情報を継続的かつリアルタイムに予測
・世界最先端技術と比較し、最高の予測精度
・大規模時系列データを高速に解析
想定される用途
・オンラインショッピングやレビューデータなど、Web情報からの特徴抽出や情報推薦
・各種機器やセンサーなど、IoTデバイスデータのリアルタイム予測
・大規模医療データの解析
関連情報
・サンプルあり
- 材料
4)脱石油系プラスチックビーズ、“モイストセルロースビーズ”の開発
熊本県産業技術センター 材料・地域資源室 研究主任 城崎 智洋
新技術の概要
セルロースの6位の水酸基を、TEMPO触媒を用いて酸化することによって調製した保湿性多糖球状粒子及びその製造方法に関する技術であり、製造時の次亜塩素酸ナトリウムの添加量によって、球状を保ちながら保湿性を発現する量のカルボキシル基を導入し、保湿性と球状を両立した粒子を製造することを可能にした。
従来技術・競合技術との比較
従来の粒子は原料が石油由来であるなどのため環境負荷へのリスクが高く、使用が制限されるが、本技術の保湿性多糖粒子は、天然由来のセルロースの球状粒子を原料としており、環境負荷の低いTEMPO触媒を用いた酸化によってカルボキシル基を導入していることから、簡便に安定性や環境適合性の高い粒子が得られる。
新技術の特徴
・天然高分子由来で環境に優しい保湿性を持った球状粒子
・常温、常圧下で簡便に製造可能
・酸化剤の量でカルボキシル基量を自在に制御可能
想定される用途
・化粧品分野
・洗浄剤分野
・食品分野
関連情報
・サンプルあり
- 情報
5)VR/AR用の新アクティブシャッターメガネ
熊本大学 大学院先導機構 助教 上瀧 剛
新技術の概要
これまで、液晶シャッターのOn/Off制御で行っていたアクティブシャッターに対して、液晶の中間透過をアナログ的に制御することで、画質の改善および、ちらつきの抑制を可能とする。本技術はSIGGRAPH2016のTechnical Paperに採択された。
従来技術・競合技術との比較
現在の3DテレビやDLP方式で主流であるアクティブシャッター方式は100年前から原理は変わっていない。発明方式は、新たな原理により従来方式よりも高画質・低ちらつきを可能とし、3視点以上の映像を提示できる。
新技術の特徴
・複数の映像を、大勢の人に個別に見せることが可能
・液晶の中間透過量の制御
・高画質、低ちらつき
想定される用途
・客席の位置によって見え方が変わる3Dシアター・VRライブ
・ちらつきの少ない3Dメガネ
・映像の多重化によるゲーム、VR会議システム
関連情報
・サンプルあり
- アグリ・バイオ
6)規格外海藻からの先端機能性食材の開発
熊本大学 大学院先端科学研究部 環境材料化学分野 助教 キタイン・アルマンド・テイビギン
新技術の概要
ワカメにはフコイダンやフコキサンチンといった有価成分が含まれているが、近年、規格外ワカメが増加しており、その有効利用法が求められている。そこで、本技術ではワカメから有価成分を抽出し、それを用いたエアロゲルを作製することで高付加価値食材の開発を目指す。
従来技術・競合技術との比較
従来の抽出法では有機溶剤の残留や熱分解や変質が問題となっている。本技術では超臨界二酸化炭素を使い、低温で実施できるために、有害成分の残留や変性も起きにくい。また、従来の乾燥法では、乾燥物に収縮固化や亀裂の問題があるが、本技術の超臨界乾燥法では多孔質状となり再溶解性に優れる等の利点がある。
新技術の特徴
・元の構造を保ったまま乾燥させることが可能。
・多孔質への含浸による酸化防止。
・原料費が安い海洋系バイオマスから高価な化合物へ。
想定される用途
・高付加価値食材
・機能性食品、サプリメント
・医薬品等への応用
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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熊本高等専門学校
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熊本県産業技術センター 材料・地域資源室
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