関西学院大学 新技術説明会
日時:2016年06月21日(火) 13:30~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、関西学院大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 計測
1)その蛍光画像、同じ装置・試薬でもっと明るくとれます
関西学院大学 理工学部 環境・応用化学科 教授 田和 圭子
新技術の概要
波長オーダーの周期構造を金属薄膜でコーティングした基板をプラズモニックチップとよぶ。このチップに光を照射すると、プラズモン共鳴を誘起して蛍光を明るくすることができる。例えば、蛍光顕微鏡でプラズモニックチップ上の蛍光染色細胞を観察すると、ガラス基板上と比べて10倍以上明るい画像を得ることができた。
従来技術・競合技術との比較
明るい蛍光像をとるためには、ランプから強度の強いレーザーに変えたり、量子効率の大きい蛍光分子にしたりするのが一般的であるが、ここでは光を効率よく利用し増強させるプラズモン効果を利用する。同じ光学系、同じ試薬を使ったまま、基板をプラズモニックチップに変えるだけで明るい蛍光像がとれることが利点である。
新技術の特徴
・表面にあるものだけがよく光る。
・明るい蛍光像
想定される用途
・バイオイメージング
・光学素子
関連情報
・サンプルあり
- 分析
2)素材の個体識別情報を微量元素の濃度と同位体存在度から探る
関西学院大学 理工学部 環境・応用化学科 教授 谷水 雅治
新技術の概要
素材中に極微量に存在する元素の濃度を高感度質量分析法により正確に定量し、さらにその同位体存在度のわずかな違いを検出することで、素材の出所を推定する(例えば、素材の産地判別など)。微量元素濃度の絶対値を正確に定量することで、素材のもつ物性との関連性を把握する。
従来技術・競合技術との比較
従来測定されてきた素材中の含有微量元素濃度だけではなく、その同位体存在度のわずかな変動を正確に把握し、素材の出所を明らかにすることができる。また、素材中における微量元素濃度の空間的な分布について、相対的な濃度差ではなく、絶対的な濃度分布を測定することにより、物性との関連性や各種法的規制への対応が可能。
新技術の特徴
・元素の同位体ラベルを用いた素材の個体識別
・素材中の微量元素の空間的な濃度変化の絶対定量
・金属含有有機化合物の高精度定量
想定される用途
・鉱石や農産物などの産地判別
・材料中の極微量不純物元素濃度の定量
・材料中の微量元素濃度標準試料の作成
- 医療・福祉
3)生理信号の数理解析・モデル化に基づく心身の健康評価に向けて
関西学院大学 理工学部 生命医化学科 准教授 吉野 公三
新技術の概要
人間から観測される生理信号の変動パターンは、心身の状態に依存して変化する。生理信号の変動パターンを数理的に解析することで、心身の健康状態を反映した指標を抽出できる可能性がある。生理信号を用いた心理状態や疾患の評価、生理応答をPC上でシミュレーションする数理モデルの構築に関する取り組みについて紹介する。
従来技術・競合技術との比較
人間の生理反応には、大きな個人差があることが知られ、心身の健康状態を反映した生理指標を構築する上で、大きな障壁となる。この問題点を克服するために、生理計測データに基づいて、各個人毎に最適化した心身状態評価技術の開発を試みている点が本研究のユニークなポイントの一つである。
新技術の特徴
・比較的無意識に半自動的に客観的に心身の状態を評価
・生理応答予測
・短い時間間隔で連続的に評価
想定される用途
・心身の健康管理
・自分の健康状態に合わせた運動負荷プログラム
・安全環境設計・労務管理
- 分析
4)生細胞の非侵襲スクリーニング技術
関西学院大学 理工学部 生命医化学科 助教 松吉 ひろ子
新技術の概要
生細胞の外部要因に対する機能変化・応答の非侵襲的検出と蓄積データの統計学的解析を光学測定技術(ラマン分光法等)および電気生理学的手法を用いて行うことができる。動物を用いない毒性検査、iPS細胞の分化制御などへの応用を目指す。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では蛍光物質や遺伝子組み換え技術を用いた蛍光蛋白質導入等による標識が用いられるが、当技術では非標識での測定が可能である。したがって、目標物質が特定されていない場合でも細胞の変化を検出することができる。
新技術の特徴
・組織や細胞の分子情報を生きた状態で観察できる。
・生きた組織や細胞を低侵襲、無標識で計測できる。
・ファイバー等を用いれば、低コスト分析が可能。
想定される用途
・抗癌剤のオーダーメイド治療への応用
・細胞毒性の検出
・iPS制御
- 分析
5)細胞から材料まで応用可能な非破壊ラマン分光解析
関西学院大学 理工学部 化学科 准教授 重藤 真介
新技術の概要
サブミクロンの空間分解能を持つ顕微ラマン分光装置(ハード)を多変量波形分解や安定同位体標識法(ソフト)と組み合わせた手法を開発した。本手法により、生きた細胞やバイオフィルム、医薬品の錠剤、機能性材料など様々な形態の分析対象における化学組成および空間分布を非破壊的に解析し、機能との関連を探索することができる。
従来技術・競合技術との比較
従来の分析法は試料の複雑な前処理や分離・抽出などの破壊的な操作、あるいは蛍光色素・蛍光タンパク質による標識操作を必要とするものがほとんどであったが、本技術は様々な形態の試料をほぼ「あるがまま」の状態で計測・解析することが可能である。
新技術の特徴
・高い化学特異性(物質同定、分子構造の推定など)
・非破壊、非侵襲、非染色
・経時観察、イメージング観察が可能
想定される用途
・微生物の代謝産物(例えば乳酸、抗生物質、色素など)の解析
・医薬品の結晶多形分析およびイメージング
・太陽電池など機能性材料の表面構造評価
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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