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京都大学 新技術説明会

日時:2016年05月24日(火) 10:00~15:25

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、京都大学 産官学連携本部、関西ティー・エル・オー株式会社

発表内容詳細

  • 材料

1)「混ぜるだけ」で合成可能!中空コアを持つ星形分岐高分子(スターポリマー)

京都大学 物質-細胞統合システム拠点 特定助教 細野 暢彦

新技術の概要

中空の有機金属錯体をコアに利用し、あらゆる枝高分子を持った星形分岐高分子(スターポリマー)を「混ぜるだけ」で容易に合成する技術を提供する。異種・異鎖長の枝高分子を含むスターポリマーも瞬時に得ることができ、また中空コアを利用した物質分離膜への応用も期待できる。

従来技術・競合技術との比較

星形分岐高分子(スターポリマー)は有機・高分子化学的な手法で合成するのが一般的ですが、その合成にはとても手間がかかります。特に異種や異鎖長の分岐鎖をもつスターポリマーは、合成の煩雑さ故に技術的な面での要求が非常に大きくなります。これに対し、本技術では配位自己組織化を利用し、多種多様なスターポリマーを「混ぜるだけ」で容易に得ることができる。

新技術の特徴

・あらゆるスターポリマー(異種、異鎖長、任意の分岐数)を「混ぜるだけ」で瞬時に得ることができる。
・中空の金属錯体が本スターポリマーのコアになっており、内部のナノ空間を利用した様々な二次的機能が期待できる。
・いかなる形態にも加工可能(フィルム、フォーム、コーティングなど)

想定される用途

・スターポリマー合成の代替技術
・インク、コーティングなども含む樹脂製品
・ガス、イオンなどの分離膜(メンブレン)

関連情報

・外国出願特許あり

  • 材料

2)長波長領域光吸収やバンド構造の自在制御が可能な金属サルファ/セレンハライドの低温合成方法

京都大学 工学研究科 物質エネルギー化学専攻 教授 阿部 竜

新技術の概要

ハロゲン組成を変化させることによりバンド構造を容易に制御可能な金属オキシハライドを原料として、最大960nmという長波長光までの広い波長領域を吸収できる金属サルファハライド及び金属セレンハライドを開発した。本発明は、150℃以下の低温かつ大気圧下での合成が可能なため、導電性プラスチック基板等への応用も可能である。

従来技術・競合技術との比較

太陽電池分野において、吸収波長領域の長波長化やセルの耐久性向上、また製造条件の最適化のため、ぺロブスカイト型太陽電池が注目を集めている。しかし、特に日本国内やヨーロッパにおいては、ぺロブスカイト系に使用される鉛が環境に与える影響を問題視する傾向があり、鉛系ぺロブスカイト化合物に代替しうる半導体化合物材料の開発が模索されている。

新技術の特徴

・バンド構造の自由制御が可能(2種以上のハロゲンアニオンについても組成調整可能な原料を使用)
・最大960nmまでの長波長吸収が可能(ぺロブスカイト系太陽電池と同等の吸収波長領域が実現できている)
・合成温度が150℃以下(プラスチックなど有機基材にも適用可能)
・均一層が得られる合成方法(基板への吹付け法などでは得られない、基板表面への均一層形成が可能)

想定される用途

・光電極(光電変換材料、太陽電池 等)
・光触媒(水素製造用 等)

  • 材料

3)磁場応答性メタルフリー有機磁性ナノエマルションの調製と生体医療利用

京都大学 人間・環境学研究科 相関環境学専攻 教授 田村 類

新技術の概要

生体適合性界面活性剤に多量の安定なニトロキシドラジカル分子を内包させて生体還元耐性をもたせた、粒径15~70 nmの磁場応答性メタルフリー磁性ナノエマルションの調製にはじめて成功した。さらに、疎水性ドラッグも同時に内包させることができるため、MRI造影能とDDS磁性キャリヤ能の両性質の併用が可能。

従来技術・競合技術との比較

これまでニトロキシドラジカルを両親媒性高分子に共有結合させて生体還元耐性をもたせたメタルフリー磁性ナノ粒子が調製された例が数件あるが、疎水性のドラッグを内包させたり、磁場応答性を示した例はなかった。

新技術の特徴

・内包ニトロキシドラジカル分子中のアルキル側鎖長の調節により、ナノエマルションの粒径の調節が可能
・ナノエマルション内に疎水性ドラッグを最高15モル%内包させることが可能
・構成成分を水中で混合し、加熱するだけで簡単にナノエマルションを調製することが可能

想定される用途

・ニトロキシドラジカルの抗酸化作用を用いるレドックスナノメデイシンとしての利用
・磁場応答性DDS磁性キャリヤとしての利用
・MRI造影能とDDS磁性キャリヤ能の両性質の併用可能

  • 材料

4)120~250℃の排熱をリサイクルできる化学蓄熱材

京都大学 工学研究科 材料工学専攻 助教 畑田 直行

新技術の概要

120~250℃付近の低温排熱を蓄えられる希土類硫酸塩を用いた化学蓄熱材を開発した。この化合物は、当該温度域で高速に脱水反応および水和反応を起こし、この際の吸熱・発熱を利用することにより、排熱を蓄え再利用することが可能である。

従来技術・競合技術との比較

従来、この温度域で高速に反応可能で安全・耐久性・非腐食性などの条件を備え持つ化学蓄熱材はあまり知られていない。また、本技術ではこの温度域で使用できる潜熱蓄熱材(有機化合物)より長期間の蓄熱が可能である。

新技術の特徴

・工場などで多量に捨てられている120~250℃付近の排熱の有効利用が見込める。
・La、Ceなど、安価で豊富な希土類を原料に利用可能。
・100回の蓄放熱の繰返しに対し、反応活性を維持することを確認。

想定される用途

・工場などの排熱を利用した熱輸送
・自動車排熱の貯蔵

  • 情報

5)IoTのセキュリティ?カオスでしょ!

京都大学 情報学研究科 数理工学専攻 教授 梅野 健

新技術の概要

デジタルな処理で高速な乱数を発生させる方法は10年以上前から一部実用化されてきた。本新技術は、特にIoT(Internet of Things)での暗号化に向いている省電力・省資源の乱数発生(ストリーム暗号)の技術である。基礎となる理論は、2冪乗余類環上の置換多項式の理論)を突き詰め周期を最大限に持つクラス(一筆書き多項式)を構築する条件を与えることに成功したことを基礎とする。

従来技術・競合技術との比較

既存の暗号化方法(2世代前のVSC暗号)は、JSTプレベンチャー制度及びCRLプレベンチャー制度にもとづき株式会社カオスウェアで商品化し、2005年からスタジオアリス(全国500店舗以上)で写真の暗号化に使われている。今回は、特に軽量及び高速性をさらに追求した技術であり、特に全てのものがInternetにつながるものに軽量暗号化が可能となるところが、既存技術(AES等)と異なる。

新技術の特徴

・軽量資源(ソフトウェア、ハードウェア)で高速暗号化が可能
・ハードウェアでは世界最速(乱数発生、ストリーム暗号の暗号化・復号化)
・省電力暗号化、乱数発生

想定される用途

・IoT(センサーデバイス)の暗号化
・データセンターの暗号化
・医療情報(画像、動画の暗号化)

関連情報

・デモあり

  • 情報

6)そのプログラム、バグってないですか? ― 数学を使ってバグを見つける

京都大学 情報学研究科 通信情報システム専攻 准教授 末永 幸平

新技術の概要

プログラム検証はソフトウェアの設計段階でシステムの正しさを数学的に自動証明する手法である。プログラム検証手法においては不変条件発見というフェーズがボトルネックとなることが多く、実用化における障害となっていた。我々は不変条件発見を高速化するための新技術を開発し、実験において最大10倍程度の改良を確認している。現在は本技術の改良とプログラム検証器への本技術の組み込みを通じて、実用的なプログラム検証手法の開発に取り組んでいる。

従来技術・競合技術との比較

従来技術における不変条件発見アルゴリズムはテンプレート生成というフェーズを含むことが多く、そこで生成されるテンプレートのサイズの大きさが障害となっていた。本技術では、あらかじめプログラムに型システムに基づく軽量な解析を適用し、生成すべきテンプレートのサイズを大きく削減する。これにより、テンプレートのサイズを抑えつつ重要な不変条件を発見することが可能となる。

新技術の特徴

・プログラムのバグを数学的手法に基づいて高い精度で発見するための要素技術である。
・既存手法に大きな改変を加えることなく組み合わせ可能で高速化が見込める。
・ソフトウェアのみならず電気系や機械系を含むシステムにも、我々の以前の特許を用いて適用可能。

想定される用途

・モデルベース開発によりシステム開発を行う際に誤りを早期に発見。
・ソフトウェア開発中に設計者の意図と実装との乖離を早期に発見。
・開発物の信頼性を担保するための基準として、テストの量以上のものが必要な場合に、検証結果を用いることが可能。

関連情報

・デモあり

  • 情報

7)心拍変動(HRV)解析を用いたヘルスモニタリングサービスの開発

京都大学 情報学研究科 システム科学専攻 助教 藤原 幸一

新技術の概要

本技術では、生理学的に自律神経活動と関係のある心拍変動(HRV)をリアルタイムに解析するスマートフォンアプリを開発した。さらにHRV解析と機械学習を融合させることで、在宅や日常生活中でのてんかん発作の予知や睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニング、その他の疾患のモニタリングなどを実現した。

従来技術・競合技術との比較

従来のHRV解析には,ホルター心電計など高価で取扱に専門知識を要する機器が必要であり,オフラインの解析に限られていた。しかし,本技術ではウェアラブル心拍デバイスとHRV解析スマートフォンアプリを用いることで、誰でもどこでもリアルタイムなHRV解析を実施できるようになった。さらに、開発したアプリに機械学習に基づいたヘルスモニタリングアルゴリズムを搭載することで、新たなヘルスモニタリングサービス提供環境を実現した。

新技術の特徴

・ウェアラブルデバイスによる高精度の心拍測定
・ウェアラブルデバイスと通信可能なリアルタイム心拍変動解析スマートフォンアプリ
・心拍変動解析と機械学習を融合したヘルスモニタリングアルゴリズム

想定される用途

・疾患の早期検出
・体調の急変の検出
・ストレスマネージメント

関連情報

・デモあり

  • アグリ・バイオ

8)哺乳動物細胞内タンパク質翻訳を制御可能なスプリット型リボスイッチ

京都大学 物質-細胞統合システム拠点 准教授 佐藤 慎一

新技術の概要

申請者は、動物細胞内のタンパク質発現を精密に制御可能なRNAモジュールを設計した。mRNA内部リボソーム進入部位(IRES)を分割-再構成することで機能するsplit-IRESリボスイッチは、1細胞内において同一mRNAからの複数のタンパク質の翻訳量を自由かつ個別に制御可能であり、細胞機能を解明するための優れたツールとして利用できる。

従来技術・競合技術との比較

これまでのタンパク質発現法を利用して複数のタンパク質を細胞内に発現する場合、mRNAの発現量や安定性の違いにより、個々のタンパク質発現量を制御することは困難であった。本リボスイッチは同一mRNAから複数のタンパク質発現を誘導可能であり、タンパク質発現量を個別かつ厳密に制御できる。

新技術の特徴

・同一mRNA上から複数のタンパク質発現を同時に制御できる。
・他のタンパク質発現法と発現制御機構が異なるため、従来のタンパク質発現誘導法と併用できる。
・動物細胞内のタンパク質発現制御をIPTG添加により簡便に行える。

想定される用途

・精密発現制御を利用したタンパク質機能解析
・遺伝子発現を制御可能なトランスジェニックトランスジェニックマウス作製
・タンパク質発現の精密制御を利用した1細胞解析

  • アグリ・バイオ

9)合成RNAを用いて心筋細胞を高純度で精製する新しい技術

京都大学 iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門 准教授 吉田 善紀

新技術の概要

心筋細胞に特異的に発現するmiRNAを認識する配列とレポーター遺伝子のコーディング配列を搭載した合成RNAを心筋細胞に導入することにより、レポーター遺伝子の発現量の違いに基づいて心筋細胞を高純度で選別する技術。

従来技術・競合技術との比較

従来の抗体を用いた心筋細胞選別法と比べて高い純度で正確に心筋細胞を選別可能である。またレポーター遺伝子にアポトーシス誘導因子を用いることによりセルソーターを用いずに心筋を選別することも可能である。

新技術の特徴

・miRNAの細胞種特異性を利用して心筋細胞を選別する技術
・細胞内に導入された合成RNAは細胞内に一過性に存在し、ゲノムに取り込まれることなく安全に細胞を選別することが可能。

想定される用途

・再生医療目的の心筋細胞の純化精製
・安全性検査や薬効評価のための心筋細胞の純化精製

関連情報

・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

関西ティー・エルー・オー株式会社(京都大学産官学連携本部内オフィス)

TEL:075-753-9150 FAX:075-753-9169
Mail:tabeアットマークkansai-tlo.co.jp
URL:http://www.kansai-tlo.co.jp/
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