JST産学共創基礎基盤研究プログラム テラヘルツ 新技術説明会
日時:2017年03月23日(木) 13:15~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構
後援:特許
発表内容一覧
発表内容詳細
- デバイス・装置
1)MEMS技術によりテラヘルツ電磁波検出が大きく変わる!
東京大学 生産技術研究所 情報・エレクトロニクス系部門 教授 平川 一彦
新技術の概要
半導体微細加工技術を用いて作製されるMEMS共振器は、室温でもシャープな共振特性を有する機械構造である。テラヘルツ電磁波の入射による発熱でMEMS構造の共振周波数がシフトすると言う動作原理を用いて、室温動作かつ高速・高感度なテラヘルツ検出を実現する。
従来技術・競合技術との比較
従来のテラヘルツ検出器は高感度を得るために液体ヘリウム温度程度に冷却されて用いられることが多かったが、本素子はMEMS共振という全く異なる動作原理に基づいており、室温動作が可能。さらに10 kHzまでの高速動作が可能であり、従来の素子の10~100倍速い。さらに集積化も容易である。
新技術の特徴
・室温で動作する高速な電磁波検出器である。感度周波数はマイクロ波~赤外光の広い領域。
・半導体技術を用いた微小なMEMS構造であり、熱容量が小さいため、10kHz程度の高速動作が可能。
・100ミクロン程度のサイズを持つ微細な素子構造であり、半導体プロセスを用いてイメージングアレー化が容易。
想定される用途
・テラヘルツ汎用検出素子
・テラヘルツ・赤外イメージング
関連情報
・サンプルあり
- デバイス・装置
2)イノベーション創出にむけた光波変換テラヘルツ波検出
理化学研究所 光量子工学研究領域 テラヘルツ光源研究チーム チームリーダー 南出 泰亜
新技術の概要
テラヘルツ波を光波へと非線形波長変換し、成熟した光波技術を利用して微弱なテラヘルツ波を検出する技術の開発に成功した。また、独自の擬似位相整合デバイス構造により小型化を実現し、様々な状況に対応した測定を可能にする。光ファイバ技術との接続によりテラヘルツ波センシングの可能性を格段に広げる。
従来技術・競合技術との比較
一般的なテラヘルツ波検出は、広帯域な計測を目的として焦電効果型検出器や極低温動作ボロメータなど熱検出型デバイスが主流であるが、低感度や極低温動作のため利用の範囲が制約される。開発した技術は、常温で高感度に検出できるだけでなく、レーザー光の検出と同様な取り扱いができ、かつ分光特性も有する魅力的な検出技術である。
新技術の特徴
・高感度テラヘルツ波検出
・常温動作
・小型・光検出方式
想定される用途
・微量センシング(ガス、粉末)
・リモートセンシング
・高感度分光
関連情報
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
3)光通信デバイスを利用した安価なテラヘルツ波検出技術
千葉工業大学 工学部 電気電子情報工学科 教授 水津 光司
新技術の概要
光とテラヘルツ波の相互作用に着目したテラヘルツ波検出法に、分布帰還型(Distributed Feedback:DFB)レーザー、光導波路、光変調器、Coarse Wavelength-Division Multiplexing(CWDM)などの光通信デバイスを利用することで、非常に安価なテラヘルツ検出を可能とする技術である。
従来技術・競合技術との比較
テラヘルツ波発生および検出に使用するレーザーの平均パワーを大幅に低減することに成功しており、数mWの非常に安価なレーザー光源でテラヘルツ波の検出が可能である。また、テラヘルツ波発生部と検出部が一体であることから、センサー部を自由に取り回すことができる。
新技術の特徴
・テラヘルツ波検出技術としては非常に安価
・センサー部の容易なハンドリング性
・高い応答速度
想定される用途
・ガス検出
・溶液検査
- デバイス・装置
4)室温で動作する低雑音・広帯域テラヘルツ波検出器
北里大学 一般教育部 教授 伊藤 弘
新技術の概要
本技術は、テラヘルツ波を用いた応用において重要な、室温で動作する低雑音・広帯域な検出器を実現するものである。低障壁高さの半導体ヘテロ接合を用いることにより、低雑音・広帯域特性に加え、低微分抵抗、安定で均一な特性、無バイアス動作なども実現できる。
従来技術・競合技術との比較
テラヘルツ波検出器として広く用いられているショットキーバリアダイオードは、微分抵抗が高くアンテナや増幅器とのインピーダンス整合が難しいという問題がある。また、特性の安定性・均一性にも課題がある。本技術はこれらを解決すると共に、格段に低い等価雑音電力を実現することができる。
新技術の特徴
・低雑音
・広帯域
・安定で均一な特性
想定される用途
・テラヘルツ波イメージング
・テラヘルツ波分光
・テラヘルツ波通信
- デバイス・装置
5)超小型半導体テラヘルツ光源
東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 教授 浅田 雅洋
新技術の概要
テラヘルツ周波数帯の電磁波は、イメージング、分光分析、高速通信などへの様々な応用が期待されており、その光源はキーデバイスとなっている。本技術開発では、半導体共鳴トンネルダイオード(RTD)発振素子を用いて、単体の超小型室温テラヘルツ光源を実現した。
従来技術・競合技術との比較
従来のテラヘルツ光源には、電子管、ガスレーザー、2つのレーザー光の差周波数やマイクロ波の逓倍による発生、光伝導アンテナへの光パルス照射による発生などがあるが、大型であったり複数の装置・デバイスが必要である。また、半導体では量子カスケードレーザーがあるが低温動作である。本技術の半導体RTD発振素子を用いることにより、比較的低出力ではあるが、室温で動作する単体の超小型テラヘルツ光源が可能になった。
新技術の特徴
・室温で約0.5~2THzのコヒーレントテラヘルツ波を発生する超小型半導体デバイス
・1V以下の低電圧で動作し、出力強度変調や周波数可変などの機能を付加することが可能
・テラヘルツ波を用いる種々の小型簡易システムを構成することが可能
想定される用途
・テラヘルツ波を用いた透過・反射検査用小型光源
・テラヘルツ分光分析用光源
・テラヘルツ波を用いた高速通信用光源
関連情報
・展示品あり
・外国出願特許あり
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