立命館大学 新技術説明会
日時:2017年03月07日(火) 12:55~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、立命館大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- デバイス・装置
1)腸管を模したバイオハイブリッド型マイクロマシンとその創薬応用
立命館大学 立命館グローバル・イノベーション研究機構 准教授 服部 浩二
新技術の概要
バイオハイブリッド型人工生体管マイクロマシンを紹介します。本マイクロマシンには人工筋肉が内蔵されており、任意のタイミングで平面状から円管状に変形できます。円管構造を“開閉”できるため、静置培養により容易に管状細胞層を構築できます。現在、このマイクロマシンにより腸内環境を再現し、薬効評価への応用を進めています。
従来技術・競合技術との比較
チューブ等の内壁で培養した管状細胞層を解析する先行研究が存在しますが、均一に細胞を培養することが難しく、観察がしにくいという問題があります。また、チューブを切り開くことで細胞を観察できますが、観察後に灌流培養を継続できません。本研究のマイクロマシンは、任意のタイミングで開閉できるため、上記の問題をすべて解決できます。
新技術の特徴
・灌流評価:管状に変形することで、腸管に類似した環境下での灌流評価実験が可能。
・細胞培養:開いた状態で平面培養が可能であるため、広く普及している培養技術をそのまま活用可能。
・開閉制御:人工筋肉による管の開閉により観察/灌流を所望のタイミングで切り替え可能。
想定される用途
・腸管における薬剤透過性評価
・創薬初期における細胞を用いた薬剤候補化合物のスクリーニング
関連情報
・デモあり
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
2)光触媒薄膜内蔵による光応答型毛細管を利用した流体操作-バルブ・ポンプへの応用可能性-
立命館大学 立命館グローバル・イノベーション研究機構 准教授 小林 大造
新技術の概要
マイクロスケールの流路では流体に対する表面の影響が大きくなり、濡れ性の制御が重要となる。今回は、流路チップへの光触媒薄膜内蔵により、光照射により濡れ性を変化し、流体を操作する技術について紹介する。
従来技術・競合技術との比較
従来のゾルゲル法と異なり、ドライ成膜法であるため微細な流路溝パターンの表面に被覆性の良い酸化チタン光触媒薄膜を成膜可能である。また成膜条件により表面モフォロジーを制御し、超撥水性/超親水性のワイドレンジな濡れ性変化が可能である。
新技術の特徴
・光応答による濡れ性の変化
・濡れ性変化を利用した流体操作
・光触媒薄膜パターンのマイクロ流路チップ内蔵
想定される用途
・マイクロ血液分析チップのためのワイヤレス駆動型液体吸引機構
・マイクロ血液分析チップのためのワイヤレス駆動型バルブ機構
関連情報
・サンプルあり
- 材料
3)任意形状で繰り返し固定が行える可変粘弾性シート
立命館大学 情報理工学部 知能情報学科 教授 満田 隆
新技術の概要
薄くて柔らかいゴム状のシートで、シート内部の空気を排出して真空化すると固化し、空気を入れると元の柔らかい状態に戻る。硬さは真空圧に比例する。任意形状の物体の表面に沿わせて固化すると型取りができる。また、身体表面に沿わせて硬くすると身体の動きを拘束したり、物体を身体に取り付けたりできる。
従来技術・競合技術との比較
類似技術として、粒子を入れた袋の内部を真空化して固化する手法がある。粒子を用いた手法では、薄い形状の部材の製作は難しかった。これに対して提案技術は数mmの薄さにすることができる。製作も容易である。また外膜が伸縮性のあるゴムでありながら、固化時の引張剛性は従来のものより高い。
新技術の特徴
・真空圧で硬さが調整できる。
・薄く柔らかい布状である。
・ゴムシートのように多様な変形が可能である。
想定される用途
・型取り、物体固定、イス、ベッド
・医療用サポーター、キャスト、身体装着具
・力覚提示、柔らかいロボット
関連情報
・サンプルあり
- デバイス・装置
4)発電するディスプレイ
立命館大学 理工学部 電気電子工学科 教授 藤枝 一郎
新技術の概要
Display-integrated photovoltaic (DIPV)は表示装置に発電機能を付与する概念である。ここでは、強度を変調したレーザー光をLuminescent Solar Concentrator(LSC)に入射させることで実現した。更に、蛍光色素と液晶のゲスト・ホスト技術をDIPVに適用すれば、蛍光の放射パターンが印加電圧で変化するため、表示/発電の各モードの光の利用効率を制御できる。
従来技術・競合技術との比較
透明な有機太陽電池をディスプレイの前面に配置する構成(例:Richard R.Lunt,Michigan State University)が提案されているが、材料研究の要素が強く、実用化への道のりが不透明である。(発電効率、耐久性、表示画像への影響、等の課題が想定される)
新技術の特徴
・発電するディスプレイ(投射型)は世界初。
・成熟した既存の技術(プロジェクタ、蛍光体)で実現。
・液晶・蛍光体のゲスト・ホスト技術を適用すれば光利用効率が向上する。
想定される用途
・室内の壁(室内光で発電、予定、伝言、TV等の情報を必要なときに表示)
・屋外の看板や建物の壁や窓(昼は発電、夜は表示、蓄電池を用いて電源不要のディスプレイ)
・透明スクリーンでAugmented Realityも。
- エネルギー
5)複数の小型移動回転体へのUHF帯無線給電システム
立命館大学 理工学部 電子情報工学科 教授 道関 隆国
新技術の概要
UHF帯の電磁波を用いて直径15cm以下の複数の小型回転移動体に無線で電力を供給する無線給電システム。送電機にパッチアレイアンテナを用い、近傍界では電界結合を強め、遠方界では高い放射ゲインを持たせる。受電機には、プロペラとモータと一体化したレクティナ・モータ一体型回転ユニットを用い、アンテナ面積を削減する。
従来技術・競合技術との比較
送電機:従来は遠方界のみ電磁波で給電。近傍界に電界結合を積極的に用いた応用はない。受電機:受電アンテナが移動体の外部に別途必要。回転体に受電アンテナを装着して固定モータに電力を供給しようとすると、アンテナからの給電線がモータに絡まる。
新技術の特徴
・小型移動回転帯への無線給電
・複数の小型携帯機器への無線充電
想定される用途
・バッテリレス・ドローン
・電気自動車等で用いられている駆動モータとタイヤが一体化したインホイールモータへの無線給電
・複数の携帯機器への充電
関連情報
・サンプルあり
- デバイス・装置
6)タイムスタンプ機能付き自転車用バッテリレススピードレコーダ
立命館大学 理工学部 電子情報工学科 特任助教 田中 亜実
新技術の概要
自転車の車軸に搭載されているハブ発電機から得られる発電電力を駆動電源として用いると共に、発電時に得られる多サイクルの交流信号を用いて自転車の速度計測を高精度に行い、得られた速度データをFMやAMラジオの音声データと紐づけて記録することでタイムスタンプ機能を持たせた自転車用バッテリレススピードレコーダ。
従来技術・競合技術との比較
従来の速度センサは、車輪のスポークに取り付けた磁石がセンサ付近を通過した際に得られる信号で速度計測を行うため得られる速度変化の精度が低い。また、タイムスタンプに用いられるGPSや電波時計は、電源投入直後に十数分の時間を要するデータの収集が必要なため間欠的に電源供給が行われるシステムには適用できない。
新技術の特徴
・特別なセンサを搭載することなく高精度な速度変化を捉えられる。
・間欠的に電源供給が行われるものへのタイムスタンプの付加が可能。
想定される用途
・事故時の状況証拠
・防犯カメラ等のタイムスタンプ
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
立命館大学 研究部 BKCリサーチオフィス
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