ライフサイエンス分野 新技術説明会(2)
日時:2016年07月14日(木) 12:55~15:25
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、鳥取大学、島根大学、鳥取県産業技術センター、島根県産業技術センター
後援:鳥取県、島根県、公益財団法人鳥取県産業振興機構、公益財団法人しまね産業振興財団
協力:中国地域産学官連携コンソーシアム
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)甲状腺刺激ホルモンレセプター抗体(TRAb)アイソタイプ測定を用いたバセドウ病の病態診断キットの開発
鳥取大学 医学部 医学科 特任教授 長田 佳子
新技術の概要
これまで、バセドウ病の経過中に機能低下症がおこったとき、それが阻害性抗体の出現によるのかどうか、簡便且つ迅速に診断することができなかった。本技術では、TRAb をIgG、 IgM に分けて測定し、その絶対値と比によって、TRAb の作用が現在の患者の甲状腺に対して刺激性なのか阻害性なのかを判別することが可能である。
従来技術・競合技術との比較
現在保険診療で測定可能なTRAb は、刺激性、阻害性、その他を含んだTRAbと、刺激性TSHレセプター抗体 (TSAb) のバイオアッセイであり、阻害型のバイオアッセイによる測定は認められていない。バイオアッセイによる測定は高価であり、細胞培養などの手技が難しいがTRAbアイソタイプは安価で簡便である。
新技術の特徴
・安価
・簡便
・IgG、IgM のセット検査でTRAbの作用が推定できる。
想定される用途
・バセドウ病の日常診療において、甲状腺機能の変化があった際に迅速検査として用いる。
・十分な検査施設がない(バイオアッセイができない)状況でも使用できる。
・粘液水腫の診断に用いる。
- 医療・福祉
2)誤飲したボタン電池等の金属異物を簡単に除去するマグネット鉗子
島根大学 研究・学術情報機構 産学連携センター 地域医学共同研究部門 教授 中村 守彦
新技術の概要
ボタン電池など金属異物が長時間消化管内に停留すると壁穿孔を来たし、場合によっては致死的状況となるため早急な回収を必要とする。特に食後、胃内の金属異物を把持回収するのは極めて困難であるが、内視鏡マグネット把持鉗子により容易に回収できる。
従来技術・競合技術との比較
既存の鉗子の先端部位には磁力は無く、滑りやすい金属を把持するのは極めて困難であり、食後の胃内の金属異物を把持回収するのは至難の業である。本技術は、把持部位に磁性をもたせ、金属異物の除去を容易にする。さらに、把持損じた場合にやり直しできるように、帯磁性の線材を電磁式で開閉操作できる鉗子も考案した。
新技術の特徴
・金属の形態によらず把持回収が可能。
・把持部位に永久磁石を利用。
・電磁式による把持部開閉が可能。
想定される用途
・既存の内視鏡に搭載して消化管内の金属異物を除去。
・マグネット鉗子単体で消化管内の金属異物を除去。
・医療以外の工業用途で。(金属の遠隔把持)
- アグリ・バイオ
3)オリゴ糖の自動合成実現に向けた電解グリコシル化反応の新戦略
鳥取大学 大学院工学研究科 化学・生物応用工学専攻 准教授 野上 敏材
新技術の概要
本技術はオリゴ糖合成や複合糖質合成の化学合成において、グリコシド結合を立体選択的に形成するための手法を提供する。具体的には電解グリコシル化反応において、二種類の支持電解質を混合することによって、立体選択性を高めるものであり、保護基としてベンジル基やアジド基などでも高い選択性が発現する。
従来技術・競合技術との比較
グリコシル化反応を立体選択的に行うためには、通常糖の保護基として2位水酸基上にアセチル基などの隣接基関与可能な立体制御基を導入しておく必要がある。この方法は立体選択性の観点からは信頼性が高いが、糖供与体の反応性を低下させたり、あらかじめ制御基を導入しておく必要があったりするなど、デメリットもある。
新技術の特徴
・二種類の支持電解質を混ぜるだけと、操作が極めて簡単
・糖水酸基の保護基が簡略化できる
想定される用途
・オリゴ糖の化学合成
・糖鎖への機能性官能基導入
・生理活性物質への糖鎖の付与
- アグリ・バイオ
4)天然ゼオライトを利用した二酸化炭素濃縮装置とハウス栽培への応用
島根県産業技術センター 環境技術科 研究調整監 田島 政弘
新技術の概要
島根県で産出した天然フェリエライト(ゼオライト鉱物)を使用した、大気中から二酸化炭素を回収できる二酸化炭素濃縮装置(PSA方式)を開発した。この装置を利用してイチゴ等のハウス栽培を実施した結果、二酸化炭素の効果が認められた。
従来技術・競合技術との比較
従来は、燃料を燃焼して二酸化炭素を発生さていたが、燃料の高騰による運営コストの増加や山間部への燃料輸送の困難などが問題となっていた。また、不完全燃焼による一酸化炭素中毒の恐れもあり、安全対策が必要であった。
新技術の特徴
・大気から二酸化炭素を濃縮する画期的な技術
・二酸化炭素濃度8000ppm以上での供給も可能
・電気だけで稼働するため、場所を選ばず、山間部でも利用可能
想定される用途
・植物工場、ハウス栽培でにおいて、二酸化炭素供給による栽培促進
・小規模型二酸化炭素濃縮装置として利用
・二酸化炭素以外のガス回収装置としても利用可能
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
5)スイカの作業改善推進
鳥取県 中部総合事務所農林局 倉吉農業改良普及所 改良普及員 中西 由美花
新技術の概要
【1】
スイカのつる引き作業等膝をつく農作業時に活用することを目的に開発したひざ当て。装着感がよく、断熱・痛み防止効果が高い等の機能を兼ね備えたものとなっている。
【2】
スイカの交配時の印付けをするために開発したタグを取り付ける器具。目立つ色のタグをワンタッチでつる等に取り付けることができる。(これまではつるにクレパスで色つけしたり毛糸をまきつけている)
従来技術・競合技術との比較
【1】
断熱緩衝部材により、高温の場所での火傷防止や、小石等による膝の痛みを防止する。また、断熱緩衝部材の形をカップ状にすることでひざへのフィット感が高くなり装着感がよい。さらに、前面を非透水性部材を活用することで濡れも防止かつ装着感のよいひざ当てとなっている。
【2】
複数のタグを積層して揃えた状態で、かつ、ズレを防止しつつ、タグを対象物に容易に取り付けできる。また、作業者の手の指を固定するためのバンドを設け、指をしっかり固定下状態で操作でき、作業性を向上できる。さらに手のひらに収まる大きさであり指につけたまま、他の作業もすることができる。
新技術の特徴
【1】
・断熱緩衝材による痛み・火傷防止
・非透水性資材による濡れ防止
・ひざへフィットし装着感がよい
【2】
・見やすい(目立つ色で判別しやすい)
・つけやすい(ワンタッチで装着)
・作業性がよい(手の平サイズで他の作業も同時にできる)
想定される用途
【1】
・農作業
・ガーデニング
・大工仕事
【2】
・スイカやメロンの交配日の印付け
・アスパラガスの立茎作業の印付け
・電線等の仕分けの目印に
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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島根大学 産学連携センター 知的財産創活部門
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鳥取県産業技術センター 企画・連携推進部 企画室
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島根県産業技術センター 総務調整課 業務調整係
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