説明会の
お申込み

先端計測分析技術・機器開発プログラム 新技術説明会

日時:2017年03月16日(木) 09:55~15:55

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構

後援:特許庁

発表内容詳細

  • 製造技術

1)ナノ精度コピーによる超高精度ミラー作製

東京大学 大学院工学系研究科 准教授 三村 秀和

新技術の概要

X線、EUV光に必要な超精密なミラーを作製するためには、膨大な時間とコストがかかる。形状転写によって複製できれば解決できる。転写技術の一つである電鋳法において、精密分離技術と常温電析技術を導入し、回転体形状において形状転写精度50nmを達成した。将来、極限精度が必要とされる光学素子の量産が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

従来の電鋳法は、約50度という温度でニッケルを析出させている。この場合、分離後、温度変化による変形を避けられない。本技術では、室温条件においてNi電析を実施しており、分離後の変形を抑制している。更に、分離する界面において、Crを微量に付着させることで、良好な分離を実現している。

新技術の特徴

・ナノ精度での表面形状転写が可能
・高精度な金属ミラーの製造が可能
・極めて簡便な装置

想定される用途

・高精度光学素子の製造、量産
・転写でしか作製できないミラーの作製

関連情報

・サンプルあり

  • 分析

2)PM2.5大気汚染を解明するPM2.5の酸性度(pH)と化学イオン成分濃度の自動連続測定装置の実用化

慶應義塾大学 理工学部 教授 田中 茂

新技術の概要

酸化チタンを塗布した平行板型拡散スクラバー(ガス捕集)とミストチェンバー(粒子捕集)などを組合わせることでPM2.5粒子を捕集し、PM2.5試料液中の酸性度(pH)をマイクロpHで、化学イオン成分濃度を濃縮カラムとイオンクロマト分析で1時間毎に自動連続測定できる装置を開発した。

従来技術・競合技術との比較

PM2.5濃度の自動連続測定装置は製品化され、既に普及している。一方、PM2.5の化学イオン成分、特に、酸性度(pH)を自動連続測定する装置は開発されておらず、本装置の有意性は高い。

新技術の特徴

・平行板型拡散スクラバーによる大気汚染ガスの捕集
・ミストチェンバーによる微小粒子(PM2.5)の捕集と抽出
・マイクロpH電極によるPM2.5の酸性度(pH)の測定
・濃縮カラム/イオンクロマト分析による超高感度化学イオン成分の測定

想定される用途

・環境大気中微小粒子(PM2.5)の酸性度(pH)のモニタリング
・環境大気中微小粒子(PM2.5)の化学イオン成分濃度のモニタリング
・PM2.5の酸性度の疫学的影響調査

関連情報

・サンプルあり
・展示品あり

  • 計測

3)従来の開発技術の延長線上では越えられない超高感度分析装置の実現へ

産業技術総合研究所 電子光技術研究部門 主任研究員 渡邊 幸志

新技術の概要

例えば、ライフサイエンスの分野では、将来的に1分子レベルの変化も見逃さない(分析可能な)計測装置のブレークスルーが求められています。核磁気共鳴(NMR)はこの実現に重要な技術の一つです。高品質なダイヤモンド単結晶中に窒素と炭素欠損からなる構造を形成し、そこに捕捉された一つの電子を磁気センサーとして応用し、微弱なNMR信号を室温で検知します。

従来技術・競合技術との比較

NMR装置の性能指標の一つである磁石の磁場強度(感度や分解能の指標)と装置サイズに限定した場合、既存NMR製品に対して本開発ポータブルNMR装置の位置づけは、装置サイズや磁場を小さくしても、1滴にも満たない量でさえ計測可能な高い感度を保ち、これまでにない発想での計測形態を可能とすることを特徴とする装置を目指します。

新技術の特徴

・センサーは過酷環境下で究極の耐性を持つダイヤモンド
・室温動作可能な新しいセンシング方式(量子センシング)
・チップ状の超微小、超高感度磁気センサー

想定される用途

・ライフサイエンス分野などでの血液検査等
・標的物質(医療、食品、化学材料分野)のスクリーニング
・在宅、屋外検査

関連情報

・展示品あり

  • 計測

4)高周波電磁波の振幅と位相分布を見える化する技術

大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教 久武 信太郎

新技術の概要

携帯電話、無線LAN、衝突防止レーダ。世の中には電波が溢れています。資源である電波をもっと使いこなすためには、見えない電波の見える化がカギとなります。本技術は、最近使われ始めているミリ波から将来活用が期待されているテラヘルツ波まで、これらがどの様に局在し伝搬するのかを見える化します。

従来技術・競合技術との比較

本技術は、測定系と独立した波源から放射され周波数揺らぎを有する電磁波の振幅と位相の空間分布を可視化します。従来技術は、計測対象の電磁波を測定系が用意する、いわゆるネットワーク・アナライザ型の計測が一般的でした。本技術により、入力ポートのみを有するスペクトラムアナライザ型の計測器で電磁波の振幅と位相の可視化が同時に可能となります。

新技術の特徴

・機器が置かれたリアル状況での電磁波の状況が一目瞭然
・周波数はマイクロ波帯からテラヘルツ波帯までカバー
・周波数が揺らいでいてもOK

想定される用途

・レーダの可視化
・通信機器から放射される電波の可視化
・オンチップアンテナデバイスの評価

  • 分析

5)単色高エネルギーX線を用いて物体内部の組成変化と構造変化を検出する方法

高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 部門長 主席研究員 櫻井 吉晴

新技術の概要

単色高エネルギーX線を入射X線として用いて物体内部からのコンプトン散乱X線を計測し、コンプトン散乱X線のラインシェイプ(エネルギー分布)から物体内部の組成変化と構造変化を検出する方法。

従来技術・競合技術との比較

従来の技術ではコンプトン散乱X線の強度を検出し、その分布から物体内部を観察している。この強度計測は物体内部でのX線吸収の影響を受け、物体内部の組成変化の検出は難しい。本新技術はこの困難を解決する。

新技術の特徴

・非破壊、その場検出及び観察
・物体内部の組成変化の検出
・高エネルギーX線の利用による大型物体への適用

想定される用途

・X線分析装置
・電気化学製品の分析
・生体イメージング

関連情報

・外国出願特許あり

  • 分析

6)分子レベルの解析に最適な核磁気共鳴(NMR)法を全ての研究分野に!

高知大学 教育研究部総合科学系 複合領域科学部門 准教授 山田 和彦

新技術の概要

磁場掃引型超伝導磁石に、オプトメカニクスによる新規NMRシステムと高温超伝導コイルを導入し、周期表上の全ての原子を測定対象とする次世代型NMR装置を開発している。定量・定性解析が得意なNMR法のニーズが潜在的に存在するにも拘らず普及が遅れている研究分野、特に無機材料研究分野への応用を目指している。

従来技術・競合技術との比較

有機化学や生化学の研究分野においてNMR 法は使用頻度の高い分析ツールですが、従来のNMR 装置では測定できる試料や核種(水素原子や炭素原子などスピン数が1/2 の核種が主な対象)は大幅に制限されています。本研究開発の目標は、それら制限を除外することです。

新技術の特徴

・従来のNMR装置では測定することが困難であった核種や試料の測定が可能に。
・分子レベルの解析に最適なNMR法を全ての研究分野に応用できる。

想定される用途

・ゴムの架橋構造や触媒の分子メカニズムの解明
・鉄鉱石等の定量、定性分析

  • アグリ・バイオ

7)核酸合成酵素とヘリカーゼの協奏によるDNA/RNA合成

京都大学 大学院農学研究科 食品生物科学専攻 教授 保川 清

新技術の概要

独自開発の「耐熱型逆転写酵素」「逆転写活性を有する耐熱型DNAポリメラーゼ」「RNA・DNAヘリカーゼ」を組み合わせたcDNAを確実に合成する技術を開発した。さらに、本技術をPCRやNASBAに応用した。

従来技術・競合技術との比較

独自開発の上記3酵素を組み合わせたcDNA合成技術、「RNA・DNAヘリカーゼ」を用いたデジタルPCR、「RNA・DNAヘリカーゼ」を用いたNASBA(一定温度のRNA増幅法)を開発し、いずれも従来法よりも感度を向上させた。

新技術の特徴

・耐熱型酵素を用いるので感度が高い。
・ヘリカーゼを用いるので非特異的増幅に由来するノイズが低い。
・酵素が安価に生産できるので試薬コストが低い。

想定される用途

・新規 cDNA合成試薬
・新規 デジタルPCR試薬
・新規 NASBA試薬

  • アグリ・バイオ

8)多サンプルの同時免疫分析を可能とする2次元蛍光偏光度測定(偏光度イメージング)

北海道大学 大学院工学研究院 教授 渡慶次 学

新技術の概要

液晶素子とイメージセンサーを蛍光検出光学系として用い、機体的駆動なしに電圧のON-OFFのみで、薬物などの低分子の免疫分析を可能とする2次元蛍光偏光度測定(偏光度イメージング)が可能となる。安価・小型・多サンプル同時測定を可能とする測定装置が実現できる。

従来技術・競合技術との比較

簡便かつ迅速に微量サンプルの同時測定が可能となり、従来技術に比較すると低コストでバイオ分析/診断が可能となる。

新技術の特徴

・蛍光偏光度の多点同時測定
・蛍光偏光免疫分析用の小型検出器

想定される用途

・食品分析(残留薬物濃度測定など)
・血中薬物濃度測定
・環境分析

関連情報

・外国出願特許あり

  • 計測

9)超高感度無線無電極MEMS水晶振動子センサーの開発

大阪大学 大学院基礎工学研究科 准教授 荻 博次

新技術の概要

発表者が世界で初めて開発に成功した無線・無電極圧電振動子の原理を基盤とした、超高感度振動子センサー技術について発表する。MEMSプロセスを駆使して温度補正を必要とせず、従来の振動子センサーの1000倍以上の感度を有する。バイオセンサー、ガスセンサー、呼気センサーとしての決定的な要素技術として、健康・安心・安全な社会に貢献することが期待される。

従来技術・競合技術との比較

振動子センサーの感度は、振動子の薄型化により飛躍的に向上するが、従来は、電極と配線の存在のため極端な薄型化が困難であった。また、薄型化後の振動子の把持技術も確立されていなかった。本技術においては、無線・無電極駆動により振動子の劇的な薄型化(高感度化)を実現し、また、MEMSプロセスにより振動子をマイクロピラーによって支持する手法を考案し、従来の感度限界を大幅に改善する振動子センサーの基礎原理を確立した。

新技術の特徴

・温度補正を要しないため小型化、低価格化が可能。
・バイオセンサー(水中)および呼気・ガスセンサーの両者に使用することができる。
・感度が従来の振動子センサーの感度を数千倍から数万倍上回る。

想定される用途

・バイオセンサー(診断、創薬)
・ガスセンサー(環境モニタリング)
・呼気・臭いセンサー(診断等)

関連情報

・サンプルあり
・外国特許出願あり

  • 分析

10)自然界の複合微生物叢を培養せずにそのまま見ながら微生物種を同定する

筑波大学 生命環境系 教授 野村 暢彦

新技術の概要

多くの微生物種は励起波長に応じて特徴的な波長パターンを持つ自家蛍光を発する。本技術では、多チャンネル型励起光源と多チャンネル型蛍光検出器を備えた共焦点顕微鏡により、まず反射像により微生物(集団)形態を捉え、次に自家蛍光パターンを取得・解析することで環境中の複合微生物サンプル中に存在する微生物種を同定し、集団中でのそれらの位置情報も低侵襲で得ることができる。

従来技術・競合技術との比較

これまでの微生物種同定は「コッホの原則」で体系化されたように、微生物を単離・培養する手法、もしくは次世代シークエンサー技術を基盤にしたメタゲノム解析による存在微生物種のリスト化しかなかったが、本法により環境中の複合微生物集団サンプルをそのまま用いて、単離や培養を経ずに、微生物種を同定し、かつそれらの集団中での位置情報も非染色で得ることができる。

新技術の特徴

・環境中での複合微生物集団サンプル中において、非染色・低侵襲で存在微生物種とそれらの位置情報を同定することが可能。
・顕微鏡下にそのままサンプルを配置するのみで、極めて簡便、迅速、低侵襲(特殊な前処理は不要)。
・培養系を組み合わせた顕微鏡観察では、各同定微生物種の経時的な動態(生長や移動)をも追うことが可能。

想定される用途

・ヒトの腸内細菌叢や口腔内細菌叢、さらには農作物の根圏微生物叢などのマイクロビオーム同定および動態解析
・水処理などで用いられる活性汚泥中の微生物叢の同定および動態解析
・環境サンプル中からの難培養性新規有用微生物の同定

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

科学技術振興機構 産学連携展開部 先端計測グループ

TEL:03-3512-3529
Mail:sentanアットマークjst.go.jp
URL:http://www.jst.go.jp/sentan/
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

Go Top