芝浦工業大学 新技術説明会
日時:2016年11月10日(木) 09:50~11:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、芝浦工業大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 電子
1)デバイス基板に触媒凝集を抑制して均一なグラフェン電極・配線を形成する方法
芝浦工業大学 工学部 電子工学科 教授 上野 和良
新技術の概要
高融点のグラフェンは、耐熱性や電流密度耐性に優れた電極・配線材料として注目されるが、デバイス応用には、所望の膜厚の多層グラフェン膜を、別基板からの転写なしに均一にデバイス基板上に形成する技術が必須である。本発明は合金触媒を用いたCVDや、積層構造を用いた固相析出法で触媒凝集を抑制して均一な多層グラフェン膜を形成できる。
従来技術・競合技術との比較
高品質化のためグラフェンCVD温度を高くすると、従来のCo触媒ではCoが凝集し不均一になるのに対して、本発明のCoW合金触媒では凝集が抑制され高温でも均一膜が得られる。従来のCo/C構造からのグラフェン固相析出法では、凝集のため不均一になるが、本発明のCu/Co-C構造ではCuキャップ層の作用で凝集が抑制され、均一膜が絶縁膜上に直接形成できる。
新技術の特徴
・Co-W-Bなど合金を用いた触媒の耐熱性向上によるCVDグラフェン膜の高品質化と均一性改善
・触媒からの固相析出においてCuキャップ層がCo触媒の凝集を抑制し絶縁膜上に均一グラフェン固相析出
・NiB触媒からのグラフェン層へのBなどのオートドーピングによるグラフェンの低抵抗化可能性
想定される用途
・高耐熱、高信頼が求められるパワーデバイスなどの電極・配線
・Cu配線を代替する集積回路用のグラフェン配線
- デバイス・装置
2)三次元誘電泳動デバイス
芝浦工業大学 工学部 電気工学科 教授 西川 宏之
新技術の概要
誘電泳動のための捕集場を三次元構造化し、微生物、微粒子等に高い捕集効果を有する誘電泳動デバイスに関する技術である。捕集場の部材となるピラーアレイ等の作製に用いる陽子線描画技術は、高アスペクト比の試作に好適であると同時にモールド形成とインプリントリソグラフィと組み合わせた生産性向上も可能である。
従来技術・競合技術との比較
MeV級のビームエネルギーを有する陽子線を用いた直接描画技術により、従来型の電子線描画において困難な長深度(>10µm)、高アスペクト比(縦/横比>10)の微細構造形成が可能である。SU-8やPMMA等のレジストのみならず、ポリジメチルシロキサン、ポリイミド、PTFE等の汎用、高機能性のゴム・プラスチックにも適用可能である。
新技術の特徴
・高アスペクト比三次元構造を利用した誘電泳動効果による高速な有害微生物の検出
・陽子線描画技術を用いた適用可能な材料範囲の広いフレキシブルなパターニング
・材料を選ばない3次元微粒子のボトムアッププロセスへの適用可能性
想定される用途
・微生物濃縮による食の安全安心のための高速かつ低コストな有害微生物検出
・誘電泳動による各種ナノ粒子の三次元構造のボトムアップ形成プロセスへの適用
・三次元金属配線技術への応用
- エネルギー
3)フリーピストンスターリングエンジンの不安定性の回避と波形改善
芝浦工業大学 工学部 電気工学科 教授 高見 弘
新技術の概要
力率と効率の改善のためのハイパスフィルタを有するフリーピストンスターリングエンジン発電機を、系統連系やバッテリー充電のための単相昇圧コンバータで直接駆動すると高調波電流が流れ、不安定になる。本発明は、高調波電流カット回路に関するものであり、高力率・高効率状態を維持しつつ安定な発電を実現できる。
従来技術・競合技術との比較
スイッチングモード整流器によりスターリングエンジンの発電機電流の位相及び振幅を制御することでピストンストロークを制御する方法や交流通電回路に接続および切断する方法が開示されているが、センサによる複雑な制御が必要であり、本装置のように簡単な電気回路と昇圧単相コンバータを組み合わせたものはない。
新技術の特徴
・フリーピストンスターリングエンジン発電機のすべての運転状態で安定な発電が可能になる。
・構造が簡単で安価である。
想定される用途
・フリーピストンスターリングエンジン発電機の安定化
・フリーピストンスターリングエンジン発電機の電圧と電流に含まれる高調波ひずみの除去
・フリーピストンスターリングエンジン発電機の高力率・高効率運転
- 通信
4)メタマテリアル回路を用いた次世代マイクロ波電力増幅器の高効率化
芝浦工業大学 工学部 通信工学科 教授 田中 慎一
新技術の概要
無線端末の電池駆動時間の延長、および無線基地局の電力消費による炭素排出の削減のため、無線機において電力消費の割合が大きい電力増幅器の高効率化が求められている。本技術は、電力増幅器の高効率化に欠かせない電波のF級高調波処理を右手左手系複合線路を用いて実現するものである。
従来技術・競合技術との比較
従来の技術でF級高調波処理を行う場合、回路が大型化したり、扱える高調波が3倍波までに限定され十分な高調波処理ができないなどの問題があった。これは、マイクロ波帯で用いられるマイクロストリップ線路における右手系の電波伝搬モードに制約があるためだが、本技術では左手系の伝播モードを引き出す回路設計方法に特徴がある。
新技術の特徴
・原理的には任意の次数の高調波を処理する回路を容易に設計、製作できる。
・占有面積が1/10の超小型で実現可能。
想定される用途
・マイクロ波増幅器の高効率化
・無線電力伝送のマイクロ波整流回路の高効率化
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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