スマートQOL(Quality Of Life) 新技術説明会
日時:2016年09月01日(木) 12:25~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、一般社団法人首都圏産業活性化協会、首都大学東京、電気通信大学、東京農工大学、埼玉大学、青山学院大学、芝浦工業大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)希土類を含む自己集合型分子による多重偏光発光膜
青山学院大学 理工学部 化学・生命科学科 教授 長谷川 美貴
新技術の概要
希土類錯体を用いたLB膜においてもff発光が促進されるための充分な物質の設計、さらに、安定した発光特性や偏光性を実現する偏光発光体に適用可能な錯体、LB膜、及びその製造方法。
従来技術・競合技術との比較
発光性ディスプレイ等に用いる際、偏光と発光は偏向板と発光体が個別に製造され、場合によっては蒸着法などによる高電圧、高真空などの環境が必要であった。これらを凌駕する湿式製膜法により得られるLB膜を発光性希土類錯体で調整することで環境負荷の低いプロセスで、偏光を示す発光性デバイスの開発にブレイクスルーを与える。
新技術の特徴
・湿式製膜法であり装置や生成プロセスが環境に与える負荷が低い。
・希土類錯体の光アンテナ効果と自己集積能を共有した分子設計
・付加価値の高い偏光性発光膜の開発
想定される用途
・セキュリティインク
・のぞき見防止ディスプレイ
- 材料
2)ゼオライトの製造方法及びAFY型メタロアルミノホスフェートゼオライト
東京農工大学 大学院工学研究院 応用化学部門 准教授 前田 和之
新技術の概要
層間に有機カチオンを有する層状アルミノホスフェート(ALPO)前駆体を原料とし、層構造を保持しながら層間のカチオン交換により金属イオンで架橋することにより、AFY型メタロアルミノホスフェートゼオライト骨格の形成に成功した。
従来技術・競合技術との比較
従来ゼオライトの合成は水性ゲルからの水熱合成にほぼ限られており、構造を自在に設計することは困難であった。本方法では構造が規定された層状ALPOを用いるので構造・組成が予測でき、特定位置に金属イオンが配置されたゼオライト骨格が得られる。本方法はAFI型のみならず新規構造ゼオライトの合成も期待される。
新技術の特徴
・層間金属イオン架橋によるゼオライト骨格形成
・様々なアルミノホスフェート系ゼオライトに応用可能。
・有機カチオン構造規定剤を含まないゼオライト製造方法
想定される用途
・吸着、分離剤
・固体触媒
・イオン交換剤
- 通信
3)アドホック通信を利用した増設容易な無線カメラシステム
電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 准教授 策力 木格(チリ ムゲ)
新技術の概要
本システムの特徴は複数のTCPセッションを活用して、マルチホップアドホック通信の品質を向上させたところにある。従来アドホック通信に比べて30%以上のスループット増を実現し、マルチホップアドホック通信におけるカメラ映像の転送を可能にした。
従来技術・競合技術との比較
本システムは自律分散無線通信を利用しているため、自動的にネットワークを構築することができ、従来のカメラシステムで実現が困難だったカメラの増設、カメラ設置場所の変更などが容易になる。
新技術の特徴
・無線アドホックネットワークにおけるカメラ映像の転送を実現。
・複数のTCPセッションを利用することにより、マルチホップネットワークにおいて、従来方式より高い通信品質を提供する。(2-hopにおいて30%のスループット増)
想定される用途
・駐車場、工場、公園、小中学校等公的施設などへの低コスト監視カメラシステム
- 情報
4)その場で作れる生体情報を利用した時限鍵
首都大学東京 システムデザイン研究科 経営システムデザイン学域 教授 西内 信之
新技術の概要
個人認証を行なうシステムであって、磁性体が不規則に分散されたシールを被認証者の指の爪に貼付した状態で測定した磁力を被認証者と対応付けて登録し、認証手段で測定した磁力と登録されている被認証者の登録時の測定磁力に基づいて対象者が登録者に一致するか否かを認証する。
従来技術・競合技術との比較
従来公知のキャンセラブルバイオメトリクス(特開2012-146121)において、認証情報登録装置と認証装置とでの照明の個体差による光量差等によって認証情報登録時と認証時とでの画像精度の違いに起因する認証精度の低下を改善することができる。
新技術の特徴
・磁力を利用することにより認証の精度を向上
・光量差による影響を受けない。
想定される用途
・病院、アミューズメント施設などでの個人認証
・ホテルなどの宿泊施設における鍵、電子マネー
・重要施設、工場などのワンタイムパス
- 医療・福祉
5)人の動きに調和した移動ロボット技術
埼玉大学 理工学研究科 数理電子情報部門 准教授 小林 貴訓
新技術の概要
電動車いすや電動台車などの電動移動体の自動化や歩行者との混在を考えると、交通ルールが規定された道路における車の自動運転技術とは異なり、周囲の人の動きと調和して安全に移動できることが求められる。そこで、人物行動の計測技術と移動ロボット技術を用いた人の動きに調和した移動ロボットシステムを開発している。
従来技術・競合技術との比較
移動ロボット技術はこれまでも多数研究開発されているが、人物行動計測技術と組み合わせ、人とロボットの自然な協調移動の実現を目指している。会話を促進するフォーメーションなど、社会学的分析に基づいたノウハウや知見を多数取り入れている点が特徴である。
新技術の特徴
・カメラやレーザ距離センサを用いた人物追跡や動線計測技術
・地図に基づいて自分の位置を知り、障害物を避けながら目的地まで自動走行するロボット技術
・人と一緒に移動するロボットの振舞いに関するノウハウ、知見
想定される用途
・電動車いすや電動台車のロボット化
・物流現場での搬送ロボット
・ショッピングカートのロボット化
- 医療・福祉
6)超音波診断・治療ロボット開発プロジェクトのご紹介
電気通信大学 大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 准教授 小泉 憲裕
新技術の概要
がんや結石の位置を肋骨などの遮蔽構造物ごしに高精度に抽出・追従・モニタリングしながらピンポイントに超音波を照射する診断・治療ロボットを実現します。これまで、運動するヒトの腎臓・肝臓を1mmの精度で追従する実験や、摘出動物腎内の人工結石を追従・破砕する実験に成功しています。
従来技術・競合技術との比較
これまで 呼吸・拍動等により運動・変形する臓器には照射の精度が要求される治療法の適用が困難でした。医療技能をデジタル・機能関数化(医デジ化)してシステムの機構・制御・画像処理・アルゴリズム上に実装することにより、システム上で医療の質の向上を図ります。
新技術の特徴
・がんや結石の位置を高精度に抽出、追従、モニタリングしながらピンポイントに超音波を照射する点
想定される用途
・変形をともなって運動する臓器の医療診断
・変形をともなって運動する臓器の治療
・変形をともなって運動するさまざまな物体を遮蔽構造物ごしに抽出、追従、モニタリングする用途一般
- エネルギー
7)温度差のみで流体の成分分離を実現する小型デバイス
芝浦工業大学 工学部 機械機能工学科 教授 小野 直樹
新技術の概要
温度差の印加のみで流体中に物質移動を生じるソーレ効果を利用し、化学的処理を一切用いずに混合ガス等の成分分離を行う小型デバイスを開発している。多数の微細な分離器を連結することで、全体として高い性能を達成する独自の原理に基づいており、現在デバイスを試作して実証実験を推進中である。
従来技術・競合技術との比較
化学吸着や分離膜などの既存の分離技術と比較して、特殊な材料に依存しないため低コスト化が可能であり、機器構成もシンプルかつコンパクトである。温度差の源としては、例えば焼却炉の排熱や液化天然ガス蒸発時の冷熱などを利用することも可能で、省エネで環境にやさしい技術である。
新技術の特徴
・成分分離に必要な駆動源は温度差のみである。
・ガスや液体の種類を選ばない。(どんな流体でも可)
・小型なサイズで済む。
想定される用途
・混合ガスからの利用価値のあるガス成分(水素等)の分離
・液と微粒子の混合液からの微粒子の分離
関連情報
・サンプルあり
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
一般社団法人首都圏産業活性化協会 産学連携・研究開発部
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