首都大学東京 新技術説明会
日時:2016年07月05日(火) 13:30~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、首都大学東京
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)透明高効率紫外(ナローバンドUVB)蛍光ガラス
首都大学東京 都市環境科学研究科 分子応用化学域 准教授 梶原 浩一
新技術の概要
発光中心元素と該発光中心元素に対する光増感元素とがリンの存在下にシリカガラスにドープされてナノ結晶を形成することで得られた、紫外透明性に優れ、光励起によって高効率に紫外(ナローバンドUVB)光を発光する蛍光ガラスに関する技術である。
従来技術・競合技術との比較
治療効果が高く、紅斑反応を起こしにくい波長300nmよりも長波長のナローバンドUVB光源が要望されていたが、従来のUVB光(波長280nm~320nmの紫外光)を発光する蛍光体は、いずれも粉末で粉末表面での光散乱や励起の失活が大きいため、励起効率や発光効率が低いことが課題であった。
新技術の特徴
・優れた紫外透明性
・ナローバンドUVB光の高効率発光
・狭い発光スペクトル線幅
想定される用途
・高効率なナローバンドUVB光の発光素子
・自己免疫疾患に関する皮膚疾患の治療機器
・光パターニング光源
関連情報
・展示品あり
- 医療・福祉
2)新規な電気エネルギーフリーマイクロポンプとその投薬システムへの応用
首都大学東京 システムデザイン研究科 知能機械システム学域 教授 楊 明
新技術の概要
金属粉末の酸化による体積膨張の化学反応を利用したマイクロポンプ及びこれを用いた投薬システムの技術である。これにより、安全かつ利便性の高く在宅医療及びその他先端医療分野などへ応用可能な投薬システムを提供する。
従来技術・競合技術との比較
在宅医療などに多く利用される投薬システム(DDS:Drug delivery System)に関する研究開発がなされてきたが、投薬に必要なポンプ以外に電源系統や制御回路など全体的に大きく、また電池切れによるトラブルやコスト高などの課題がある。
新技術の特徴
・体積膨張の化学反応を利用したマイクロポンプ
・酸化による膨張剤
・マイクロポンプを有する投薬システム
想定される用途
・在宅医療
・投薬システム
・ドラッグデリバリーシステム
関連情報
・サンプルあり
- 環境
3)磁気特性及び吸着特性に優れた磁性活性炭の開発と、これを用いた磁気分離による水浄化システム
首都大学東京 理工学研究科 電気電子工学専攻 教授 三浦 大介
新技術の概要
鉄化合物を含浸させたもみ殻を窒素ガス雰囲気下にて第1熱処理工程と、第1熱処理工程終了後のもみ殻を二酸化炭素ガス雰囲気下にて第2熱処理工程を行い、磁気特性と吸着性に優れた磁性活性炭を簡易かつ簡便に製造する技術。この磁性活性炭と永久磁石を用いたロータリー式磁気分離器を用い、高速で水浄化システムの構築ができる。
従来技術・競合技術との比較
従来、活性炭を用いた水浄化システムは提案されていたが、本技術は炭素系廃棄物である籾がらに着目し、これを原料としてより効果的に物質を吸着でき、磁気特性にも優れた磁性活性炭と磁気分離器を用いた水浄化システムを新たに提案するものである。
新技術の特徴
・吸着特性に優れるもみ殻由来の磁性活性炭
・窒素ガス雰囲気下及び二酸化炭素ガス雰囲気下の2種類の熱処理工程による坦磁と賦活
・孔径が拡大されたメソ孔を有する。
想定される用途
・難分解性有機物等の吸着による水の浄化システム
・有価、有害金属イオンの回収
・サテライト型水処理システム
関連情報
・サンプルあり
- 医療・福祉
4)液液界面と管内二次流れを活用した細胞・粒子にやさしい分離・分級法
首都大学東京 理工学研究科 機械工学専攻 准教授 小原 弘道
新技術の概要
細胞懸濁液などの粒子分散流体とこれに対して密度の高い流体間に形成される液液界面を活用し、曲管などに誘起される二次流れを利用することで、細胞など粒子に優しく、高い効率で粒子をその密度や粒径、凝集度に応じて精度よく、迅速に、分別する技術である。
従来技術・競合技術との比較
細胞移植や再生医療に用いられる細胞を低侵襲で分離・分級する繊細な取り扱いが求めらている。特に,沈降する細胞をやさしく取り扱うことには多くの困難があった。粒子を密度、凝集状態、粒径等をもって分別する技術は提案されているものの、このようなニーズに対応する技術は存在していなかった。本技術は、細胞にやさしい分離を可能とする技術である。
新技術の特徴
・液液界面上における細胞、粒子の補足、操作
・管内に形成される二次流れの積極利用
・細胞・粒子にやさしい分離・分級・精製
想定される用途
・細胞移植のための細胞分離・精製
・各種粒子分別
・再生医療のためのES細胞・iPS細胞利用
- 医療・福祉
5)組織内の水・脂肪・硬さの画像を同時に得る磁気共鳴撮影装置
首都大学東京 人間健康科学研究科 放射線科学域 准教授 沼野 智一
新技術の概要
核磁気共鳴画像装置(MRI)を利用して、組織の硬さを画像化するMRエラストグラフィ(MRE)は組織の硬さを定量的に評価できる可能性をもった画像診断法として注目を集めている。本技術はこのMREに組織内の水・脂肪分布を分離して画像化する技術を組み合わせることで、水・脂肪・硬さの画像を同時に得ることができる。
従来技術・競合技術との比較
MREおよび水・脂肪の分離画像化技術を組み合わせた技術はこれまでに1例ある。この従来技術と比べて、本技術はエコー時間を大幅に短くすることが可能であるため、横緩和の影響を受けにくく、信号雑音比の高い画像を同時に得ることができる。
新技術の特徴
・MREにメーカ対応していないMRI装置でも実施が可能。
・体内組織の硬さを画像化。(一般的に硬さと共に悪性度が高まる)
・スポーツ医学での利用が期待される。(必要以上のトレーニングによって生じる筋肉のコリを定量評価できる)
想定される用途
・画像診断技術
・触診の代用(定量性を持った触診)
・ゲル状物質の弾性率計測
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