東北大学 新技術説明会
日時:2016年07月07日(木) 12:55~15:30
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、東北大学
後援:株式会社東北テクノアーチ
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)触覚・触感に関わる計測技術
東北大学 大学院医工学研究科 医工学専攻 教授 田中 真美
新技術の概要
触覚刺激には、自らが対象物を触り刺激を受ける能動的なもの、あるいは、何かが皮膚に接触することにより刺激を受ける受動的なものがあり、本技術では皮膚がどのような刺激を受けどのような触感につながるかを、動作や皮膚の受容器特性などに着目し定量化する計測技術である。
従来技術・競合技術との比較
従来は、摩擦や力などから人の触覚や触感情報を得ようとされているが、人間の感覚とは十分な対応がない。本技術では触覚・触感について刺激が生じる動作から皮膚の受容器特性までを検討し計測が行われており触感との対応が得られている。
新技術の特徴
・人の接触動作から触覚感覚受容器の特性に基づく触覚・触感計測
・触動作の解明および実現
・触覚刺激と触感の関係の解明
想定される用途
・触覚・触感の定量化
・触感に関わる要素の解明や触感の制御
・熟練者の動作や触感を解明することによるトレーニング装置の開発
関連情報
・展示品あり
- 医療・福祉
2)ソフトウェット電極で創る生体親和デバイス
東北大学 大学院工学研究科 ファインメカニクス専攻 教授 西澤 松彦
新技術の概要
寒天やコラーゲンのように柔軟なハイドロゲルの表面に電極を配線する技術を開発した。体液・培養液・薬剤などが自由に透過できるので、体表・臓器・細胞に直接貼り付けて電気的計測・刺激が行える。酵素によるバイオ発電を組み合わせると、電気的な投薬デバイスになる。
従来技術・競合技術との比較
伸縮性と分子透過性を有するので生体親和性が極めて高い。乾燥・膨潤によるサイズ・形状の可逆な変化が、電極の搬送や固定に利用できる。
新技術の特徴
・伸縮性と分子透過性、および生体親和性
・乾燥と膨潤によるサイズ・形状の可逆な変化
・バイオ発電と組み合わせた通電デバイス
想定される用途
・体表貼付による生体電気計測
・体内貼付による手術中神経モニタリング
・経皮投薬デバイス
関連情報
・展示品あり
・外国出願特許あり
- 材料
3)セラミックスでもなければ金属でもない!?高硬度・高靭性で高耐熱性の超モリブデン合金
東北大学 大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻 教授 吉見 享祐
新技術の概要
モリブデン−シリコン−ボロン合金と炭化チタンを溶解鋳造法で複合化することに成功した。これによって、ニッケル並みの密度である上、高温でセラミックスのような高強度と室温でも合金のような良好な高靭性を兼ね備えた、まったく新しい夢の超高温材料を開発した。この材料は放電加工が可能なほか、切削・研削加工も可能である。
従来技術・競合技術との比較
密度はニッケル基超合金と同じ、高温クリープ強度はCMC(SiC/SiC複合材料)よりも強く、融点は約1900℃であるため超硬合金とは違って1500℃でも使用可能な優れた耐熱性を有している。室温での破壊靭性値は超硬合金と同等である。溶解鋳造法によって作製することを特徴としており、従来の超硬合金やセラミックスとは作製方法が異なる。
新技術の特徴
・超高温特性に優れセラミックスや超硬合金のような焼結体よりも強くてタフ。
・溶解鋳造によって作製するため、大型化が可能で原材料費は比較的安価。
・切削、研削加工が可能なほか、放電加工による精密加工も可能。
想定される用途
・超高温部材
・超高温金型
・切削工具
関連情報
・展示品あり
- 材料
4)粒子共存重合による高分子表面機能化フィラー
東北大学 多元物質科学研究所 助教 有田 稔彦
新技術の概要
フィラー粒子共存下で重合を行うだけという簡便な方法で、ブロック共重合体のような機能性高分子でフィラー表面の加工を可能にした粒子共存重合法を開発した。粒子共存重合は表面の被覆機能化と、粒子の分散過程を兼ねることが可能で、かつ処理濃度と効率が著しく高いため、工業生産向きの表面加工技術であると考える。
従来技術・競合技術との比較
従来の高分子表面機能化フィラーは、グラフト重合法や、末端変性ポリマー、両親媒性(ブロック)共重合体等で作製されており、高性能・高機能であるが、高コスト化し、工業利用は難しかった。粒子共存重合法は出来る限り性能と機能を犠牲にすることなく、現実的な価格で高分子表面機能化フィラーを生産できる。
新技術の特徴
・高分子で表面を被覆機能化したナノ粒子(フィラー)を超高効率、安価に作製可能。
・フィラー(ナノ粒子)の種類によって成否が大きく左右されない。
・フィラー(ナノ粒子)表面の高分子の配向、配列状態を制御可能。
想定される用途
・ゴム、エラストマー
・塗料、接着・粘着剤
・フィラーを必要とするすべての高分子材料
関連情報
・展示品あり
・外国出願特許あり
- 環境
5)イオン交換樹脂を触媒・吸着剤とする油脂の徹底活用技術
東北大学 大学院工学研究科 化学工学専攻 准教授 北川 尚美
新技術の概要
樹脂充填層に通液するだけの簡便な操作で油脂も遊離脂肪酸もエステルに完全変換可能。エチルエステルも高効率で合成でき、エステル合成と同時に原料中のビタミンEを分解損失なしで選択的に回収可能。分離性状が近い遊離脂肪酸のみを完全除去できる樹脂も見出しており、容易に食品用途のビタミンE高純度品を獲得可能。
従来技術・競合技術との比較
従来のエステル合成技術では遊離脂肪酸が石鹸化し品質や収率低下の原因。エチルエステル合成では脱水条件が必須のため実用レベルの技術は皆無。ビタミンE回収では多段分子蒸留が必須でトコフェロール収率50%、トコトリエノール27%と低く、高純度化のためにクロマト分離が必須。また、遊離脂肪酸の除去には未だ鹸化が利用。
新技術の特徴
・油脂だけでなく遊離脂肪酸も完全転化率で脂肪酸メチル・エチルエステルに変換可能、水による活性低下なし。
・微量ビタミンEを50℃大気圧下で選択的に回収可能。トコフェロール100%、分解し易いトコトリエノールでも70%である。
・樹脂充填層に通液するだけの簡便な操作で遊離脂肪酸のみを選択的に除去可能。
想定される用途
・高品質の脂肪酸メチルエステルあるいはエチルエステルの高効率製造
・トコフェロールやトコトリエノールなどのビタミンE類の濃縮・精製(高純度品製造)
・油脂製品などからの微量遊離脂肪酸の選択的かつ完全除去
関連情報
・展示品あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東北大学 産学連携機構 総合連携推進部
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