つくば産学連携強化プロジェクト 新技術説明会
日時:2016年07月28日(木) 12:30~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、筑波大学、産業技術総合研究所
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)脳波コミュニケーション技術を用いた革新的医療福祉技術の開発
産業技術総合研究所 人間情報研究部門 ニューロテクノロジー研究グループ 研究グループ長 長谷川 良平
新技術の概要
脳波による意思伝達装置「ニューロコミュニケーター」を用いた革新的医療福祉サービスの提供に向け、筑波大学附属病院内に専用実験室を設置するとともに、検査時間を大幅に短縮可能な新規の脳波解読手法を考案した。
従来技術・競合技術との比較
短時間で検査可能な脳波解読技術は、神経難病等による最重度の運動機能障がい者向けの意思伝達支援や、CT/MRIによる画像診断もしくは従来的な知能検査では検出困難な認知機能低下の評価や訓練を可能とする。
新技術の特徴
・コンパクトでモバイル特性の高い脳波計測装置
・リアルタイムで脳情報を解読できるアルゴリズム
・意思伝達から感性評価まで多分野で活用できるアプリケーション群
想定される用途
・重度運動機能障がい者向け意思伝達支援
・脳活動に基づく認知機能評価・訓練
・各種ロボット制御
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
2)再生医療の安全性を向上させる高純度分化組織の単離法
筑波大学 医学医療系 助教 西村 健
新技術の概要
我々独自のSeVdpベクターは、マイクロRNAの機能を利用して、そのマイクロRNAが発現している細胞から、自動的かつ特異的に取り除くことができる。この特長を活かして、組織を分化誘導した際の残存未分化細胞や目的外分化細胞の排除を可能にし、ガン化等のリスクを抑えた高純度な分化組織を用いた安全な再生医療を実現させる。
従来技術・競合技術との比較
未分化細胞の選択的除去によって、分化組織の安全性を向上させる試みが進んでいるが、この方法では、目的外の細胞に分化したものは取り除くことができない。それに対し我々は、分化細胞特異的マイクロRNAを利用することによって、目的外分化細胞も取り除くことができるため、より安全性が高く高純度な分化組織を得ることができる。
新技術の特徴
・分化能に影響を与えず持続感染するSeVdpベクター
・正しく分化した細胞からの、ベクターの選択的自動除去
・ベクター搭載の自殺遺伝子を用いた、ベクター感染細胞の選択的排除
・標的とするマイクロRNAを変えるのみで、様々な種・組織の分化誘導に対応可能
想定される用途
・iPS細胞やES細胞を分化誘導した組織からの、高純度の分化細胞の単離
・上記分化細胞を用いた、ガン化等のリスクを抑えた再生医療
・ベクター残存率を指標とした、分化誘導効率の検証
- 医療・福祉
3)患者の安全・安心を向上させるための医療機器のIoT化と情報共有技術の開発
産業技術総合研究所 企画本部 総合企画室 総括企画主幹 佐藤 洋
新技術の概要
ほぼすべての入院患者に用いる輸液ポンプをIoT化する。その際にセキュリティ技術(開発中)および看護現場の安全性を向上させる操作手順(出願中)を実現するUIを用いている。
従来技術・競合技術との比較
治療機器のネットワーク接続はセキュリティ上の脅威があるためあまり進展していない。データの通信においても機器の操作および動作ログが指定時に転送されるのみである。本プロジェクトは医療上のメリットをきちんと示したうえで必要なIoT化を推進している。
新技術の特徴
・操作フロー
・情報ゲートウェイ
・意思決定アシスト
想定される用途
・病院
・在宅看護
・介護施設
関連情報
・デモあり
- 創薬
4)ポスト抗体医薬:膵癌幹細胞に特異発現する糖鎖を標的とするレクチンートキシンを用いた新規膵がん治療法
筑波大学 医学医療系 消化器外科 教授 小田 竜也
新技術の概要
細胞の最外層は糖鎖で覆われている為、膵癌等の難治癌の絶好の治療標的である。レクチンは糖鎖と特異的に結合する蛋白で、今回我々は、膵癌表面糖鎖に特異的に結合するレクチンを発見した。このレクチンに薬を結合した新規癌標的治療薬はマウスに安全に投与出来、膵癌結節ををほぼ完全に治療する事に成功した。
従来技術・競合技術との比較
糖鎖に対する抗体医薬の作成は技術的に困難で、さらに、国家の医療経済を破綻させかねない高額な抗体薬の開発推進は、医療経済的に大きな問題がある。多くのレクチンが血液凝集をもたらす為、その医療への応用は診断、研究プローブに留まり、がん治療薬として用いられた事は無い。今回、我々が開発した治療薬は血液凝集を全く起こさず、安全に癌表面の糖鎖を標的した。
新技術の特徴
・細胞表面糖鎖を標的する治療薬担体としてレクチンを用いる点
・血液、細胞凝集反応を起こさない安全なレクチンを発見出来た事
・難治癌の代表である膵がんモデルを、ほぼ完全に治療できた点
想定される用途
・膵癌にとどまらず、各種がんにおける新規治療として
・癌以外の炎症性疾患、動脈硬化などの代謝性疾患等の治療治療として
・新規、疾患診断マーカーとして
- アグリ・バイオ
5)未培養微生物(ダークマター微生物)の培養化が可能な実用的な培養基材の開発と利用
筑波大学 生命環境系 教授 青柳 秀紀
新技術の概要
液体培地を保持した足場(セルロース製不織布)の上に特殊セルロースフィルムを設置し、栄養成分をフィルム上に供給し、微生物を培養する簡便な培養基材である。培養中の成分のモニター、各種成分の添加や培地交換、極限環境条件下での使用が可能である(従来法では不可能)。本培養基材により環境中より未培養微生物が取得できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の微生物培養法(寒天平板培養法)では、環境中に存在する微生物のうち、わずか1%程度しか培養できていないことが、近年のDNA解析技術により判明している。従来法の問題点を排除した本培養プレートは、簡便な操作で、残された99%の未培養微生物の培養化を実現する。
新技術の特徴
・従来の寒天平板培養法の問題点を排除している
・従来の培養法が使用できない培養条件下での使用が可能
・簡便で実用性が高い
想定される用途
・新たな未培養微生物の獲得とライブラリー化
・難培養な微生物の検査
・食品、医薬、環境、様々な微生物分野
関連情報
・展示品あり
- 計測
6)液中計測可能な高感度超微小質量計
筑波大学 システム情報系 知能機能システム 教授 藪野 浩司
新技術の概要
これまでにない全く新しい発想のレゾネータ(自励発振型弱連成ダブルレゾネータ)を用いて、バイオナノセンシングには必要不可欠な液中での高感度な超微小質量リアルタイムセンシングを可能にするもので、注目すべき最先端超微小質量計測法として、アメリカ物理協会から全世界に向けて2015年5月にプレスリリースされた新技術。
従来技術・競合技術との比較
感度がレゾネータ質量に対する測定質量の比と同程度である従来法(シングルレゾネータ)に対して、提案手法はその約100倍の感度である。さらに独自の発振法(非線形自励発振法)でレゾネータを励振しているため、真空装置などの大がかりなシステムを必要としないばかりか、液中環境中で直接質量計測が可能である。
新技術の特徴
・高粘性環境中でもナノグラムオーダー以下の超微小質量計測が可能である
・ナノグラムオーダーの質量を5%以下の誤差で計測可能である
・レゾネータのさらなる微細化により計測精度を維持したままより微小な質量計測が高粘性環境下で可能になる
想定される用途
・生体分子の反応過程の測定(DNA伸長反応の時間追跡など)
・大気中の微小粒子計測
・匂いや味覚の定量的評価
- デバイス・装置
7)グラフェンを用いた低電圧・低真空で動作可能な高効率平面型電子放出素子
産業技術総合研究所 ナノエレクトロニクス研究部門 カスタムデバイスグループ 主任研究員 村上 勝久
新技術の概要
グラフェンを上部電極としたGraphene/Oxide/Semiconductor(GOS)構造を用いた平面型電子放出素子を開発しました。GOS構造に10~20Vの低電圧を印可するだけで、平面から1~10mA/cm2の高い電流密度で電子を放出させることができ、大気圧下でも電子放出が可能です。
従来技術・競合技術との比較
従来型の平面型電子放出素子は上部電極に金属を用いているため、金属電極での電子散乱により電子の放出効率が0.001%程度と非常に低く、実用化が妨げられていました。上部電極をグラフェンにすることで電極での電子散乱を抑制し、従来素子に比べて電子放出効率と放出電流密度の100~1000倍向上を達成しました。
新技術の特徴
・平面からの均一な電子放出
・低真空、低電圧で電子放出可能
・高効率、高放射電流密度
想定される用途
・高速電子ビームリソグラフィのための電子源
・高感度イメージセンサ
・平面型X線源
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
筑波大学 産学連携部 産学連携企画課
TEL:029-859-1486 FAX:029-859-1693Mail:tloilc.tsukuba.ac.jp
URL:http://www.sanrenhonbu.tsukuba.ac.jp/
産業技術総合研究所 産学官・国際連携推進部 連携企画室
TEL:029-862-6144 FAX:029-862-6148Mail:cpiad-mlaist.go.jp
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