横浜国立大学 新技術説明会
日時:2016年06月30日(木) 13:25~16:00
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、横浜国立大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- デバイス・装置
1)構造単純化と高推力密度化を両立する積層型リニアモータ
横浜国立大学 大学院工学研究院 知的構造の創生部門 准教授 下野 誠通
新技術の概要
本技術は、コイル可動子部と永久磁石固定子部とを積層した簡素な構造の多層平板状リニアモータに関するものである。積層数の変更によりモータの推力特性を容易に設計可能であり、積層数の増加により推力発生に寄与する内部の磁束密度を向上させることでモータの高推力密度化も同時に達成できる。
従来技術・競合技術との比較
従来のリニアモータは、複数の永久磁石によって一つの磁界を構成する等複雑な構造を持つ。そのため、推力特性を変更する際には、構造設計を再度行う必要が有る。また、単純な推力向上はモジュールの設置個数を増やせば可能であるが、容積が単純比例的に増大してしまう。本技術は、それらの課題を解決する。
新技術の特徴
・積層数により推力特性を容易に変更可能
・積層化により推力向上と同時に推力密度を20%程度向上
想定される用途
・電子部品実装や半導体製造等に用いられる産業ロボット用アクチュエータ
・手術支援ロボット等の医療福祉ロボット用アクチュエータ
・力触覚技術用アクチュエータ
関連情報
・サンプルあり
- 計測
2)テラヘルツ応答の超高速モニタリング
横浜国立大学 大学院工学研究院 知的構造の創生部門 准教授 片山 郁文
新技術の概要
テラヘルツ波の電場波形を、チャープパルスを用いることでレーザーパルス1ショットで高繰り返しに検出できる手法を開発した。本手法では、単一のフォトダイオードとオシロスコープで波形が検出できるため、種々のデバイス、物質のテラヘルツ応答を高繰り返しで検出できる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術ではテラヘルツ波形の測定に多数の光パルスが必要であり、測定時間は少なくともミリ秒程度は必要であった。本技術では測定自体はテラヘルツ波のパルス幅10ps程度で終了するため、光源などのスキャンを必要とせずに広帯域の情報を、高い繰り返しで検出できる。
新技術の特徴
・テラヘルツ電場波形の瞬時検出
・テラヘルツ電場波形の高繰り返し測定
・広帯域テラヘルツスペクトルの計測
想定される用途
・製品のテラヘルツ応答のモニタリング
・テラヘルツイメージングの超高速化
・テラヘルツイメージングのカラー化
- 材料
3)こすると色が変わり、自ら元に戻る新規有機蛍光色素
横浜国立大学 大学院工学研究院 機能の創生部門 助教 伊藤 傑
新技術の概要
本技術の有機蛍光色素は、粉末状態で効率良く発光し、機械的刺激を加えると、この発光色が変化する。発光色の変化した色素は、室温下で静置すると自発的に元に戻る。元に戻るまでの時間は分子構造の選択によって、数秒程度〜2時間程度の範囲で変化させることができる。
従来技術・競合技術との比較
固体発光性色素の発光色が機械的刺激により変化する現象は「蛍光メカノクロミズム」と呼ばれ、近年徐々に報告例が増えているが珍しい現象である。従来の色素は、機械的刺激により変化した発光色を元に戻すために加熱や溶媒蒸気に曝露する必要があるが、本色素は室温下で自発的に元に戻るため新たな用途への応用が期待される。
新技術の特徴
・固体状態で効率良く発光する有機蛍光色素である。
・機械的刺激により変化した発光色が室温下で自発的に元に戻る。
・分子修飾により発光色と変化した発光色の回復時間を制御することができる。
想定される用途
・インフラ構造物における歪みや劣化の可視化
・生体組織の局所圧力を検出するバイオセンサー
・書き換え可能な発光表示材料
関連情報
・サンプルあり
- 製造技術
4)超3D造形プラットフォームによるオープンイノベーション
横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門 教授 丸尾 昭二
新技術の概要
フェムト秒レーザー光をドーナツ状に成形することで加工線幅を0.1~3μmで動的に変更できる精密加工制御技術、及び、硬化用青色半導体レーザーと硬化阻害用レーザを併用することで0.5~10μmの加工線幅の精密加工制御技術。
従来技術・競合技術との比較
光造形は、3Dプリンティングの中でも最も高精度な技術として注目されている。現在、約10μmの加工線幅を持つ中型・大型装置と、約0.2μmの加工線幅をもつ微細造形装置が市販されているが、最も需要が高い1μm程度の加工線幅を有する市販装置がない。本プラットホームにより、加工線幅0.1~3μmもしくは加工線幅0.5~10μmの精密な造形が可能となる。
新技術の特徴
・光造形方式による精密微細構造物の高速造形(加工線幅1μmレベル)
・高アスペクト比構造物の造形
・樹脂、セラミックス等の多様な材料を使った造形
想定される用途
・3D人工臓器作製用足場、補綴治療向け部材の作製 等医療分野への応用
・ナノインプリント用モールド作製及びそれらに対する微細付加加工(経皮吸収マイクロピラーアレイ、LED用部材等への応用)
関連情報
・サンプルあり
- アグリ・バイオ
5)微細加工を用いた毛髪再生医療のための細胞培養皿
横浜国立大学 大学院工学研究院 機能の創生部門 准教授 福田 淳二
新技術の概要
酸素透過性に優れたシリコーンゴムで作製したマルチウェルスフェロイド培養容器を用いることで、良好な生存状態を維持しつつ均一な大きさの毛包原基を大面積で作製することができる。このようにして作製した毛包原基を移植したところ、効率的な毛包の生成が確認された。
従来技術・競合技術との比較
従来は、2種類の細胞のペレットを遠心操作により作製し、これらを融合させて毛包原基を一つ一つ作製していた。しかし、数万本の毛髪を再生することを考えると、作製及び移植効率の悪さが問題であった。この発明により、一度に数千個、かつ、均一サイズの毛包器官を作製し、それを幅広い領域について生体の毛密度と同程度の密度で規則配置して移植することができ、移植効率が大幅に向上できる。
新技術の特徴
・球状の細胞組織体を大量、大面積で調製することができる。
・複数種類の細胞の自己組織化によって、移植に適した組織を生体外で作製できる。
想定される用途
・毛髪再生医療のための培養器
・毛髪関連の創薬のための評価ツール
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
横浜国立大学 研究推進部 産学連携課 知的財産係
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