バイオサイエンス 新技術説明会
日時:2017年06月20日(火) 13:25~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、岐阜大学、三重大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 創薬
1)早期膀胱がんに対する新規合成マイクロRNAによる抗がん作用
岐阜大学 大学院連合創薬医療情報研究科 創薬科学専攻 教授 赤尾 幸博
新技術の概要
早期膀胱癌の中で平坦型浸潤タイプは現在薬剤がなくBCGが使用されているが成績が悪く、悪性進行癌に移行しやすい。この場合は膀胱全摘をしなければならない (全膀胱がんの10%)。我々はマイクロRNAの膀胱内投与で効果が見られることを担癌マウスを用いて実証している(Onco Target, 2015)。今回マイクロRNA-143、-145をナノポリマーに搭載して膀胱内投与した結果、抗腫瘍効果は顕著であり、副作用はほとんど無かった。投与量も少量で効果的であった。
従来技術・競合技術との比較
早期膀胱癌に対する薬剤としてはBCGが使用されており、確立された抗がん剤が無い状態である。マイクロRNAの膀胱内投与で抗がん効果を認めており、核酸医薬をのキャリアーも副反応、全身の副作用など軽微であった。今後、新規なRNA創薬が期待される。
新技術の特徴
・早期膀胱がんに対する核酸医薬
・早期膀胱がんに対する膀胱内投与
想定される用途
・抗がん剤(膀胱がんなど)
関連情報
・サンプルあり
- 材料
2)多彩な蛍光色を示す炭素ナノ粒子とナノカーボン構造体の生体への応用
三重大学 大学院工学研究科 分子素材工学専攻 助教 小塩 明
新技術の概要
本技術ではアーク放電法で作製した不純物が極めて少ない、清浄なナノカーボン構造体を原料とすることで、蛍光性炭素ナノ粒子を効率よく作製できる。清浄なナノカーボン構造体に化学処理を施すことで、様々な波長の蛍光性を制御性良く付与することができ、生体適合性の高い蛍光性炭素ナノ粒子を提供することができる。
従来技術・競合技術との比較
一般的な半導体無機ナノ粒子や金属ナノ粒子を生体へ導入するためには細胞毒性を引き起こさないよう、複雑な化学処理が必要になる。その点で炭素ナノ粒子は優位な材料ではあるが、炭化水素ガスの熱分解や有機化合物の燃焼などの従来法では不純物が多く、また性状も明確でないため、そのまま生体へ導入することは困難である。
新技術の特徴
・高純度炭素電極を用いたアーク放電法により清浄なナノカーボン構造体が作製可能
・様々な波長で蛍光発光するカーボン量子ドットを有する炭素ナノ粒子
・安価で環境負荷の少ない“オールカーボン”素材
想定される用途
・医薬・バイオ分野(バイオイメージング等)
・発光デバイス
・カーボン触媒あるいは触媒担持材
- 創薬
3)ベンゼン-グリコール骨格含有人工核酸の合成と核酸医薬への応用
岐阜大学 応用生物科学部 分子生命科学 教授 上野 義仁
新技術の概要
今回、設計・合成したベンゼン-グリコール骨格含有人工核酸は、標的RNAと安定な二重鎖を形成し、天然の核酸と比較してヌクレアーゼ耐性、細胞膜浸透性が向上することから、核酸医薬、遺伝子検出プローブへの応用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
脂溶性のベンゼンを基本骨格としていることから、従来型の人工核酸と比較して細胞膜浸透性である。また、標的RNAと安定な二重鎖を形成し、かつ、天然の核酸と比較してヌクレアーゼ耐性である。
新技術の特徴
・標的RNAと安定な二重鎖を形成する
・ヌクレアーゼ耐性が向上する
・細胞膜浸透性が向上する
想定される用途
・核酸医薬への応用
・遺伝子検出プローブへの応用
関連情報
記入例
・サンプルあり
- アグリ・バイオ
4)大型海藻からの希少糖およびマリンポリフェノールの生産
三重大学 大学院生物資源学研究科 生物圏生命科学専攻 助教 三宅 英雄
新技術の概要
大型海藻に含まれるアルギン酸から希少糖である4-deoxy-L-erythro-5-hexoseulose uronic acid(DEH)を効率よく生産する方法を開発した。さらにマリンポリフェノールの抽出法も開発し、それらの持つ多彩な生理機能を明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
新規菌株であるFalsirhodobacter sp. alg1が生産するエキソ型アルギン酸リアーゼを使用することで、アルギン酸から副産物無しにDEHのみを生産することができる。マリンポリフェノールの分子構造は、カテキン類等、既知のポリフェノールとは異なっており、それらを凌駕する抗酸化性、抗アレルギー性、抗糖化性を持っている。
新技術の特徴
・DEHのみを高収率で生産することが可能
・多彩な生理機能を持つ新規ポリフェノール類を抽出可能
想定される用途
・機能性食品
・新素材
・燃料
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
5)脂肪幹細胞を用いた生殖医療方法
岐阜大学 応用生物科学部 共同獣医学科 教授 村瀬 哲磨
新技術の概要
これまでは薬物を利用した家畜精子の運動性状改善方法はあったが、本研究では初めて細胞による方法を開発した。また、精子のみならず卵子に対しても受精能力促進効果を見出した。
従来技術・競合技術との比較
これまでは薬物を利用した家畜精子の運動性状改善方法はあったが、本研究では初めて細胞による方法を開発した。
新技術の特徴
・精子の直進性が上昇する。
・受精卵の作成効率が上昇する。
想定される用途
・豚の人工授精
・牛の人工授精
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
三重大学 知的財産統括室
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URL:http://www.mie-u.ac.jp/
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TEL:058-293-3183 FAX:058-293-3346Mail:chizaigifu-u.ac.jp
URL:http://www.gifu-u.ac.jp/
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