先端的低炭素化技術開発(ALCA) 新技術説明会
日時:2018年01月30日(火) 09:55~14:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)優れた加工性を有する熱処理型展伸マグネシウム合金の開発
長岡技術科学大学 技学研究院 教授/高性能マグネシウム工学研究センター センター長 鎌土 重晴
新技術の概要
アルミニウム合金と同等以上の押出し性や室温張出し成形を持つマグネシウム合金展伸材を開発した。さらに、加工後に単純な熱処理を施すだけで、微細な析出物が分散し、6000系のAl-Mg-Si合金に匹敵する強度の付与にも成功した。
従来技術・競合技術との比較
これまでにも、アルミニウム合金のような高速で押出せるマグネシウム合金や、優れた室温成形性を持つマグネシウム合金板材の研究開発はあった。しかし、いずれの開発合金でも、成形性が増すと強度は低下するという問題があった。本技術では、熱処理型のマグネシウム合金を用いることで、強度と成形性の両立に成功した。
新技術の特徴
・出口速度60m/minの高速押出しが可能なマグネシウム合金
・室温エリクセン値8mmを示す高成形性マグネシウム合金板材
・30分の短時間の時効処理のみで、200MPaを超える降伏強度を示す熱処理型マグネシウム合金展伸材
想定される用途
・自動車ボディパネル
・自動車バンパー補強材
・新幹線ダブルスキン構体
- 材料
2)金属チタンの新しい製造方法
京都大学 大学院工学研究科 教授 宇田 哲也
新技術の概要
今回、我々は、液体チタン合金の活用を核として新しいチタンの連続製造法を確立した。具体的には、チタンをビスマス合金として還元工程から連続的に取り出し、偏析濃化工程を経て、蒸留により純チタンを製造する。EB溶解を施した場合には、チタン中のBiは180ppmまで除去可能であることが確認できている。
従来技術・競合技術との比較
金属チタンは、構造用金属の中でもっとも製錬が困難な金属であり、およそ70年に渡って技術革新がない。この古典的な従来法はバッチ式であり世界中で同一な方法でチタンは製造されており、金属チタンが高価な要因である。ただし、新規製錬の立ち上げには膨大な資金が必要であり企業連合などを想定したい。
新技術の特徴
・連続チタン製造法
・チタン粉末の直接製造
想定される用途
・廉価なチタンの製造
・チタン粉末の製造
・チタン合金への応用
関連情報
・サンプルあり
- 材料
3)一段上の技術革新を目指した超耐熱モリブデン合金
東北大学 大学院工学研究科 教授 吉見 享祐
新技術の概要
モリブデンにチタン、シリコン、炭素、ホウ素を添加して耐熱性と靭性を高めた全く新しいモリブデン基超耐熱合金を開発しました。融点を1900℃前後まで低下させることに成功したため溶解法で大型鋳塊が作製でき,大型部材への適用も可能です。
従来技術・競合技術との比較
本合金は、耐熱温度が1300〜1400℃とCMCを凌駕しながら、密度はニッケルとほぼ同じ,弾性率はモリブデンとタングステンの中間程度、室温靭性は超硬合金並みという、新規で画期的な超耐熱合金です。合金化によって耐酸化性の改善も可能です。
新技術の特徴
・耐熱性能はCMCに匹敵
・超硬合金レベルの室温靭性
・融点が1900℃前後で大型の鋳造品が作れる
想定される用途
・熱間加工用金型
・摩擦攪拌接合ツール
・超耐熱容器
関連情報
・サンプルあり
・外国出願特許あり
- 環境
4)ホワイトバイオによる廃グリセロールからのポリマー原料生産プロセスの開発
筑波大学 生命環境系 教授 中島 敏明
新技術の概要
バイオディーゼル燃料や石けんの生産過程で生じる廃グリセロールからの1,3-プロパンジオール(1,3-PD)の生産を行っている。研究保有のCitrobacter braakii TB-96株は高い増殖能と優占化能力を持った実用に適した菌株であり、最高約50g/Lの1,3-PDを生産する。代謝制御により現在70g/L以上の生産性向上と副産物の抑制に成功。
従来技術・競合技術との比較
TB-96株 は他の研究中にパイロットスケールの実証試験中に混入・優占化したもので、実用に適した菌株であり、すでにゲノム解析と代謝ルート解明、遺伝子破壊・導入技術を確立済である。また、酵母による1,3-PDからの3-ヒドロキシプロピオン酸生産技術も有しており、将来的に一段階での反応を目指している。
新技術の特徴
・廃グリセロールの有効利用
・バイオマスからのポリマー原料生産
・実用化に適した菌株
想定される用途
・プロパンジオールからのポリマー生産
・アクリル酸の生産とポリマーへの転換
関連情報
・サンプルあり
- アグリ・バイオ
5)抵抗性誘導能を有する低分子環状ペプチド型病害防除剤
岡山大学 大学院環境生命科学研究科 准教授 能年 義輝
新技術の概要
任意の3箇所を含む7残基の天然アミノ酸からなる低分子環状ペプチドライブラリー(計8,000分子)を構築し、植物免疫活性化能を定量評価する独自技術によってスクリーニングを実施した。その結果、病害防除効果を示す10個の環状ペプチド分子の単離に成功した。
従来技術・競合技術との比較
本資材はこれまでの抵抗性誘導剤が効果を示さない紋枯病に対して病害防除効果を発揮する点が最大の特長である。また、様々なアミノ酸や糖による病害防除効果が報告されているが、本資材はそれら有効濃度のおよそ1/10から1/100のレンジで効果を発揮する。
新技術の特徴
・天然アミノ酸を素材とする環境負荷低減効果
・微生物発酵生産による資材調製が可能
・(環状ペプチドライブラリーは新規有用生理活性物質の探索資源となる)
想定される用途
・植物病害抵抗性誘導剤
・植物成長調節剤
・肥料
- エネルギー
6)塗って作れる太陽電池の半導体ポリマー開発
広島大学 大学院工学研究科 教授 尾坂 格
新技術の概要
半導体ポリマーを塗って作る太陽電池として知られる有機薄膜太陽電池は、変換効率と耐久性の向上が課題です。今回、当グループでは、新しい半導体ポリマーを開発し、高い効率と耐久性を有する有機薄膜太陽電池を実現しました。
従来技術・競合技術との比較
従来の半導体ポリマーを用いた有機薄膜太陽電池では、耐熱性試験において、500時間後の変換効率はせいぜい初期値の50%程度でしかありません。当グループの新半導体ポリマーでは、同様の試験において、500時間後の変換効率は初期値の95%以上を保持します。
新技術の特徴
・塗って作れる太陽電池
・フレキシブル・軽量な太陽電池
・(半)透明な太陽電池
想定される用途
・外壁・窓
・軽量建造物
・エネルギーハーベスティング(室内)
関連情報
・サンプルあり
- エネルギー
7)中低温イオン液体を用いたナトリウム二次電池の開発
京都大学 大学院エネルギー科学研究科 教授 萩原 理加
新技術の概要
不揮発性不燃性を有し、電気化学的安定性に優れたイオン液体を電解質に用いた、安全性に優れ、室温から高温まで広い温度範囲で使用できる電力貯蔵用のナトリウム二次電池を開発した。製造はリチウムイオン電池製造設備をマイナーチェンジすることで対応できる。リチウムを含むレアメタル不使用で、今後大型電池の大量生産に伴う資源枯渇の心配がない。
従来技術・競合技術との比較
現在開発されている革新電池と異なり、ほぼ完成された技術である。リチウムイオン電池との類似性も多く、上述のように同じ製法、設備による製造が可能である。リチウムイオン電池よりエネルギー密度は若干低いが、安全性が極めて高く、リチウムイオン電池が使用できない60~90℃においても、安定した高速充放電が可能。
新技術の特徴
・レアメタル不使用
・室温から高温まで広い作動温度領域
・高い安全性
想定される用途
・特殊環境(高温)での使用(MWD等)
・高い安全性を求められる場所での使用(航空機等)
・電力貯蔵、補助電源
関連情報
・サンプルあり
・外国出願特許あり
- デバイス・装置
8)高効率・深紫外線LEDの普及に向けて
理化学研究所 平山量子光素子研究室 主任研究員 平山 秀樹
新技術の概要
透明p型コンタクト層、高反射フォトニック結晶、反射電極、レンズ、加工サファイア基板を用いて、殺菌用AlGaN系深紫外LEDの光取り出し効率を現在の約10倍向上させる技術を提供する。最近、本技術を用いて世界最高の電力変換効率10%以上を実現した。
従来技術・競合技術との比較
これまでの開発競争において深紫外LEDの内部量子効率は向上しているが、他企業では光取り出し効率は依然8%程度と非常に低い。そのため深紫外LEDの効率は青色LEDに比べ極端に低いのが現状である。本研究では光取り出し効率を50%以上に向上させ、殺菌用水銀ランプと同等以上の効率の実現を目指す。
新技術の特徴
・透明p型コンタクト層と高反射電極で光取り出し効率を3倍に向上
・反射フォトニック結晶で90%以上の反射を実現し光取り出し効率を向上
・レンズ接合と加工サファイア基板を用いてさらに光取り出し効率を向上
想定される用途
・殺菌用ランプ
・浄水器、冷蔵庫、エアコンなど殺菌を必要とする家電製品
・アトピー性皮膚炎などのための皮膚治療器
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
科学技術振興機構 環境エネルギー研究開発推進部
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