ライフサイエンス分野 新技術説明会
日時:2018年01月16日(火) 09:55~11:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、和歌山大学、山形大学、千葉大学
後援:特許庁
発表内容詳細
- アグリ・バイオ
1)国産さくらんぼの海外輸送用鮮度保持パッケージ技術
山形大学 大学院有機材料システム研究科 高分子・有機材料工学科 准教授 東原 知哉
新技術の概要
佐藤錦や紅秀峰に代表される高級さくらんぼ品種は、それらの鮮度保持が課題である。海外輸出に特化した鮮度保持技術の創出を目的とし、ハイドロゲルを利用した温湿度平衡機能設計と3Dプリンタによる衝撃緩衝機能設計を併せ持った新型パッケージ開発を行った。
従来技術・競合技術との比較
これまで、さくらんぼの海外輸出用パッケージとして、二重外装フィルムと果実ホールドトレイによる緩衝設計がなされている。本技術では、初めて温湿度平衡機能を有するハイドロゲルの導入を行うとともに、緩衝シート設計のスピード化・低コスト化のため、金属金型の代わりに3Dプリンタ製鋳型を利用した。
新技術の特徴
・温湿度平衡機能を有するハイドロゲルの導入
・3Dプリンタによる緩衝シート形状設計
・海外輸送試験の実施評価
想定される用途
・さくらんぼ海外輸出用鮮度保持パッケージ
・シャインマスカット海外輸出用鮮度保持パッケージ
・青果物宅配サービスにおける鮮度保持パッケージ
関連情報
・展示品あり
- アグリ・バイオ
2)イッキに測定!新アミノ酸分析法
和歌山大学 システム工学部 化学メジャー 准教授 坂本 隆
新技術の概要
これまでアミノ酸分析は液体クロマトグラフィーによる「分離」と光学システムによる「検出」を個別に行い、クロマトグラムを得ることで行われてきた。新技術では19F NMRを用いて単一スペクトル上で「分離」「検出」をイッキに行うことで簡便・迅速なアミノ酸分析を実現した。
従来技術・競合技術との比較
従来の液体クロマトグラフィーに基づくアミノ酸分析では、1検体あたり10分〜60分程度の分析時間を必要としたが、本技術では数分の測定で分析が可能である。また、液体クロマトグラフィーで汎用されるアセトニトリルやメタノールなどの劇物指定有機溶媒を必要としないことから、安全性も高い。
新技術の特徴
・アミノ酸をフッ素誘導体化し19F NMRを測定
・単一のNMRスペクトル上でアミノ酸を分離検出
・迅速な分析が可能
想定される用途
・血中遊離アミノ酸分析によるがん診断
・食品品質管理
・研究用試薬
- 創薬
3)双極性障害と強迫性障害に対する新薬開発のためのモデルマウス
千葉大学 大学院理学研究院 教授 坂根 郁夫
新技術の概要
ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)のηとδアイソザイムのノックアウト(KO)マウスは、それぞれ双極性障害(BPD)の躁状態様と強迫性障害(OCD)様の表現型を示した。BPDやOCDのモデルマウスは未だ少なく、本KOマウスはこれら障害の発症機構解明、治療薬や診断法の開発へ寄与出来る可能性がある。
従来技術・競合技術との比較
今のところBPDやOCDのモデル動物はほとんど存在しない。また、既存のBPDやOCDモデル動物とはKO対象蛋白質が異なるので競合しない。更に、これらのKOマウスは従来のモデルマウスに比べ、よりヒトのBPDやOCDに近いモデルとなる可能性が高い。
新技術の特徴
・DGKηとδのKOマウスは、それぞれBPDの躁状態様とOCD様の表現型を示す
・本BPD及びOCDモデルマウスの行動変化は、汎用のBPD治療薬(リチウム)とOCD治療薬(SSRI)によって抑制される
・現在、BPD及びOCDの治療方法として、対症療法薬を用いるしかないので、本モデルマウスを用いると原因療法薬の開発に繋がる可能性がある
・DGKη-及びDGKδ-KOマウスは従来のモデルマウスに比べ、よりヒトのBPDとOCDに近いモデルとなる可能性が高い
想定される用途
・BPD及びOCDの病態解明のツール
・BPD及びOCDの治療薬開発の評価系
・BPD及びOCDの診断法開発の評価系
・BPD及びOCDの症状を軽減する食品の開発の評価系
- 医療・福祉
4)チオールを特異的に酸化し、発色する
山形大学 理工学研究科 バイオ化学工学専攻 准教授 今野 博行
新技術の概要
ポリオキソメターレートによるチオール特異的な酸化反応によって反応液が透明から濃青色に変化する。この現象を様々な角度から検証し、用途に応じた実用化を検討する。水中での反応に有効なため生体成分、環境水質調査などへの適用さらにはバイオコンジュゲート試薬としてサイエンスでの展開も期待できる。
従来技術・競合技術との比較
高感度チオール検出剤は現在いくつか市販されているが大変高価である。ポリオキソメタレートは現時点で感度の面では劣るものの、価格が数万分の一であり、色調の変化が鮮やかなことから用途をマッチングすることで実用化が見込まれる。
新技術の特徴
・チオールを検出すると濃青色に発色することができる
・水中でより効果を発揮する
・発色試薬は無機物質で従来の試薬と比較して安価である
想定される用途
・生体内や環境検査でのチオール測定
・新規バイオコンジュゲート試薬への展開
・ペプチド,タンパク質の特異的微量測定
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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山形大学 国際事業化研究センター 知的財産部門
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千葉大学 学術研究推進機構 産業連携研究推進ステーション
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