福岡大学 新技術説明会
日時:2017年06月06日(火) 10:55~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、福岡大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)機能性マイクロカプセルおよび複合微粒子
福岡大学 工学部 化学システム工学科 教授 三島 健司
新技術の概要
超臨界二酸化炭素を用いることで、従来製造が困難であった直径数マイクロメ―トル~数十マイクロメートルの大きさの機能性複合カプセルならびに複合微粒子を製造する方法を開発した。これらの微粒子はpH応答性やガスバリヤー特性を有する。
従来技術・競合技術との比較
薬剤などに広く用いられていたゼラチン、ヒドロキシプロピル メチルセルロース、プルランなどは、直径数ミリ程度のカプセルを製造することはできたが、直径数マイクロメートル程度の微細なカプセルや複合材を作ることは、困難であった。本発明では、これらを可能とした。
新技術の特徴
・有害な有機溶媒を用いない
・直径数マイクロメ―トルオーダーの機能性高分子微粒子
・セルロースナノファイバーでマイクロカプセルを形成
想定される用途
・医薬品
・機能性食品
・化粧品
関連情報
・サンプルあり
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
2)TPPやFTAなんてぶっ飛ばせ! 日本伝統食材こんにゃくの新たな付加価値を見つけてみた・・・
福岡大学 薬学部 薬学科 准教授 池田 浩人
新技術の概要
水溶性多糖類であるこんにゃくグルコマンナンを主成分として作製したフィルムに有用成分を含有させ、嚥下困難な患者や投与困難な動物の口腔内に付着して用いるなどすることにより、フィルムの崩壊とともに有用成分の放出等のコントロールが可能な、放出制御型フィルムならびに有用成分放出システムである。
従来技術・競合技術との比較
先行技術は、食品用ラップや有機EL薄膜の表面保護膜などにおいて、こんにゃくを成分として含んだフィルム技術を提供する点で有用であるものの、単にフィルムとしての用途にとどまるにすぎない。本研究では、こんにゃくが有する可食性かつ生分解性であるという特徴を活かし、薬物に対する新規な剤形を開発している。
新技術の特徴
・親水性あるいは疎水性の有用成分をこんにゃくフィルム中に分散可能
・フィルムの作成条件により、有用成分の放出性を制御可能
・ペットや嚥下困難者に対する有用成分の服用を容易にする
想定される用途
・猫の慢性腎不全治療
・ペットの歯周病治療
・嚥下困難者の口腔内清浄および去痰
関連情報
・サンプルあり
- 機械
3)人間共存・協調ロボットのための近接覚・触覚センサ
福岡大学 工学部 電気工学科 助教 辻 聡史
新技術の概要
近接(非接触)測定及び接触時の圧力の測定が可能なセンサであり、ロボット表面に取り付けが可能である。本センサにより非接触で対象(人)を検知できることから接触前にロボットの動作を減速、停止することが可能であり、人との不意な衝突を避けることができる。また、ロボットを直接触って直感的に操作することができる。
従来技術・競合技術との比較
従来の産業用ロボットの多くは安全確保のために人とロボットの作用スペースが安全柵等で分けられている。本センサをロボットに適応することで人とロボットが同じスペースで協調作業することが可能になると考える。
新技術の特徴
・近接、接触測定が可能
・自己静電容量測定のみを利用
・構造、システムが単純
想定される用途
・産業用ロボットの触覚センサ
・人型ロボットの触覚センサ
・電動車いすのセンサ
関連情報
・デモあり
- 製造技術
4)金属イオン吸着特性を有する側鎖結晶性ブロック共重合体の無電解めっき前処理への利用
福岡大学 工学部 化学システム工学科 助教 中野 涼子
新技術の概要
無電解めっきの前処理行程である不導体(ポリエチレン)への物理的・化学的エッチング処理に代わり、結晶性高分子による表面改質の適用がが可能か検討した。前回はニッケル(Ni)めっきの皮膜応力のためクラックが生じたが、今回比較的応力の小さい銅(Cu)めっきで検討した結果、クラックなく製膜することができた。
従来技術・競合技術との比較
不導体表面に物理的・化学的なエッチング処理を施すことは無電解めっき行程の一つであるが、基板の形状の制限や廃液処理等、解決すべき課題は多い。今回我々が検討した手法は、改質液への浸漬のみであるため、操作が非常に簡易であり、かつ環境負荷の低減が可能である。
新技術の特徴
・改質液への浸漬もしくは塗布のみでPEを改質可能であり、構造体の形状を問わない
・環境負荷の大きな廃液を生じない
・既存の無電解めっき作成行程に容易に組み込むことが可能
想定される用途
・プラスチック表面鏡面化による装飾用途
・多孔膜細孔内表面の改質による排水処理の高次処理膜としての利用
関連情報
・展示品あり
- 情報
5)既築集合住宅における EV、PHEVの普通充電設置の問題点をクリアした充電管理装置
福岡大学 安全システム医工学研究所 医学部 生理学 講師 内田 俊毅
新技術の概要
集合住宅において、EV等の使用者の各駐車場の電力積算計(子メータ)から、各世帯の電力積算計(親メータ)へ、電波/PLCを用いて電力使用量を通信、管理を行う。従来の集中管理や課金は生じず、住宅全体の総電力量も各親メータの制限内に留まるため、電力の平準化や高額な変圧器変更も生じず、既築集合住宅の充電設備普及が促進される。
従来技術・競合技術との比較
・既築集合住宅での住居者の承認・運用管理費などの問題がなくなり、EV、PHEVの充電装置設置上の種々の障害を解決できる。
・ユーザー個人専用となるため、従来提案の課金システムの高額な使用料やその都度の個別認証が不要となり、自由に充電できる。
・集合住宅の総電力量増大を防止し、電力の平準化やキュービクルの買い換え、基本電気料の増大を生じることがない。
新技術の特徴
・集合住宅電力が高度にスマート化され、電動車の充電に対応可能になるには時間を要し、その間の電動車普及の手段となり得る。
・親メータと子メータ間での情報のやり取りのため、インターネット網に負担をかけず、セキュリティも高く構築できる。
・既築集合住宅での充電環境の設置承認に関して、飛躍的にハードルを下げることができ、電動車の普及が促進される。
想定される用途
・電動車であるEV、PHEV普及の障害となっている既築集合住宅での普通充電(200V、100V)装置設置に貢献できると思われる。
・電動車の潜在的購入希望者の半数が既築集合住宅に住んでいるため、充電環境整備によって、電動車が普及する。
・新たな電動車のユーザーは、従来の提案されている課金システムを使用しないで済むため、電動車を安価に運用できる。
関連情報
・展示品あり
- デバイス・装置
6)高周波スイッチング電源回路
福岡大学 工学部 電子情報工学科 教授 末次 正
新技術の概要
メガヘルツ以上で動作可能なE級増幅器を用いた電源回路において、スイッチを直列接続することによりスイッチ1個あたりにかかる電圧を低減し、耐圧の低いトランジスタで動作可能な回路を考案した。また高調波電流をスイッチに流すことによってスイッチ電圧波形を成形し負荷インピーダンスの変化に対して適切なスイッチ電圧波形となるように調整することを可能にした。
従来技術・競合技術との比較
一般的なスイッチング電源はスイッチング損失が発生するためメガヘルツでの動作では電力効率が低下したが、本技術はスイッチング損失が少ないので電力効率が高い。また従来のこのような高周波動作可能な技術にはΦ級インバータがあったがトランジスタ1個当たりのピーク電圧は2VDD以下には下げることができなかったが、本技術はスイッチを複数個使うことによりいくらでもピーク電圧を下げることができる。
新技術の特徴
・ネガヘルツで動作するスイッチング電源
・低いピーク電圧
・動作させるスイッチの組み合わせによってインピーダンス変動への対応が可能
想定される用途
・小型ACアダプター
・プラズマ機器用RF電源
- 環境
7)廃棄プラスチックからの高性能ペレット作成リサイクル技術
福岡大学 工学部 化学システム工学科 教授 八尾 滋
新技術の概要
従来廃棄プラスチックから射出成形された製品は著しく物性が劣るとされていた。これに対し我々は、混練機の構成および運転条件を最適化することで、射出成形製品の物性を向上できるペレット作成法を見出した。当該技術を適用することで、プラスチックのマテリアルリサイクルを大きく推進することが可能となる。
従来技術・競合技術との比較
従来廃棄プラスチックは化学劣化により再生が不可能とされてきた。我々は先にこれが間違った概念であり、物性低下は物理劣化であること、またプレス成形条件の最適化により、物性が再生可能であることを見出していた。本技術は、さらに種々の成形に適用可能な高性能ペレット作成法に関するものであり、全く新規な発明である。
新技術の特徴
・混練機の最適運転条件指標
・新たな構造を持つ混練機
・射出成形にも適用できる廃棄プラスチックからの高性能ペレットの作成方法
想定される用途
・廃棄プラスチックからの高性能ペレットの製造と高付加価値製品の製造
・上記を通じた新たな産業の創製
・プラスチックマテリアルリサイクルの推進による資源循環社会の構築と地球環境保全
- 創薬
8)再生医療技術を用いて不妊症の克服を目指す
福岡大学 医学部 産婦人科 講師 四元 房典
新技術の概要
脂肪組織由来再生細胞は血管新生や組織修復を促進する特性があり、子宮内膜を菲薄化した着床不全モデルマウスの子宮内に脂肪組織由来再生細胞を注入することによって子宮内膜は修復され、着床率を改善した。したがって、脂肪組織由来再生細胞は着床不全患者における有効な治療法になる。
従来技術・競合技術との比較
現在6組に1組の夫婦が不妊症と診断されている。人工授精や体外受精などの生殖補助医療技術の発展により治療が可能になってきたが、妊娠率は20-30%に留まっており、とくに不妊症の原因の一つである着床不全については治療法が無いのが現状である。
新技術の特徴
・着床に必要な子宮内膜を十分に厚くする。
・着床に必要な子宮内膜の血流を改善する。
・着床率を改善する。
想定される用途
・菲薄化した子宮内膜を改善し、妊娠率の向上を図る。
・人工授精と併用して、妊娠率の向上を図る。
・体外受精と併用して、妊娠率の向上を図る。
お問い合わせ
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