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ライフサイエンス系 新技術説明会

日時:2017年11月16日(木) 10:00~15:25

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、北海道大学産学・地域協働推進機構

後援:特許庁、北見工業大学、帯広畜産大学、北海道立総合研究機構

発表内容詳細

  • 創薬

1)抗原虫作用を有す新規薬剤候補物質群の紹介

帯広畜産大学 原虫病研究センター 准教授 加藤 健太郎

新技術の概要

発表者らが開発したトキソプラズマの増殖・潜伏感染誘導をともに抑制する薬剤のスクリーニング系を用いて、各種薬剤ライブラリーから潜伏感染を誘導しない既存薬よりも優れた抗トキソプラズマ候補薬を複数見出し、特許出願している。トキソプラズマ以外の原虫に対して抗原虫作用を有した物質についても特許出願しており、これらについても紹介する。

従来技術・競合技術との比較

トキソプラズマ症の既存薬であるpyrimethamineは原虫の潜伏感染を誘導してしまうが、今回紹介する薬剤候補物質群は潜伏感染誘導を阻止することが可能である。現在有効な薬剤が存在しないクリプトスポリジウム症に対して一定の効果のある薬剤を同定した。マラリア原虫の薬剤耐性を解消するための薬剤選択肢が広がる。

新技術の特徴

・既存薬よりも細胞レベルではあるが宿主への毒性が低い。原虫に対する選択毒性が高い
・既存薬とは異なり潜伏感染を誘導しない

想定される用途

・抗トキソプラズマ薬
・抗原虫薬
・原虫感染予防薬・治療薬

  • 創薬

2)世界トップクラスのノックダウン効率を実現 ~高機能pH感受性カチオン性脂質による核酸送達システム~

北海道大学 大学院薬学研究院 薬剤分子設計学研究室 助教 佐藤 悠介

新技術の概要

従来よりも効率的かつ安全性の高い核酸送達を実現する新規pH感受性カチオン性脂質とそれを主成分として含む脂質ナノ粒子。幅広い範囲で酸乖離定数をチューニング可能であることから、in vitroおよびin vivoへの幅広い応用が可能である。

従来技術・競合技術との比較

効率的な核酸送達能、安全性および物性(酸乖離定数)のチューニングそれぞれの要素技術はこれまでに存在していた。一方で、これらを同時に実現する技術は本技術が初である。

新技術の特徴

・優れた核酸送達能
・高い安全性
・幅広い応用性

想定される用途

・疾患治療
・遺伝子機能解析

  • 製造技術

3)~迅速、簡便、任意のサイズで作製可能~ 脂質ナノ粒子作製用マイクロ流体デバイス

北海道大学 大学院工学研究院 応用化学部門 教授 渡慶次 学

新技術の概要

任意のサイズ(直径:20nm~150nm)の脂質ナノ粒子を簡便かつ迅速に作製することができるマイクロ流体デバイス。脂質ナノ粒子の内部に低分子や核酸などを簡単に内包することができ、原料濃度や流速を変えるだけで粒径を精密に制御しながら脂質ナノ粒子を作製することができる。

従来技術・競合技術との比較

従来技術(バッチ法)では、粒径を制御して脂質ナノ粒子を作製することができないため、作製後にフィルターを通すことでフィルターのポアサイズ以下の粒子をサイズ分離する。新技術は、任意の粒径の脂質ナノ粒子を作製できるため、後処理が不要である。また、作製した粒子の粒径分布も従来技術よりも狭い。

新技術の特徴

・粒径の精密制御(20nm~150nm)
・簡便・迅速

想定される用途

・DDS製剤の製造
・リポソームの製造

関連情報

・サンプルあり

  • 創薬

4)マイクロナノ基板上に細胞内細胞浸潤によって自己組織化される生きている微小癌のダイナミクス

北海道大学 大学院医学研究院 分子病理学教室 助教 宮武 由甲子

新技術の概要

我々は、微細加工技術を利用して、癌細胞が組織運動極性のある癌細胞集合体組織(微小腫瘍)への自発的分化を誘導するマイクロ・ナノサイズのパターン基板(マイクロナノ基板;新規細胞培養基材)を発明した(特願2017-725121)。本技術により、これまで実現不可能であった、まるで一つの生き物のようにアグレッシブな組織運動性を示す成熟微小腫瘍のダイナミクスをin vitroで簡単にライブイメージングすることが可能となった。

従来技術・競合技術との比較

本マイクロナノ基板を用いることにより、細胞外微粒子の取り込みとその制御機構の解明を、がん細胞同士がそれぞれに協同し、がん組織形態を自己構築させることにより潜在的機能をさらに誘導し、組織レベルまで階層的につながる個と集団組織との関係性と絡めて理解を図る研究アプローチはこれまでにない。よって本研究提案は、がん基礎研究のみならず、次世代の生命科学を支える再生医療における組織工学研究のためにも、非常に有用な知見が豊富に得られるであろうと期待する。

新技術の特徴

・従来の3Dスフェロイド培養とは異なる、活発な運動性を持った微小腫瘍の自己組織化を一晩で誘導。
・非常にシンプルで低コストな3D細胞培養技術である。
・ライブイメージングが簡単にできる。

想定される用途

・がん基礎研究および抗癌剤開発のための創薬スクリーニング
・組織ベースのオートファジー研究
・再生医療・組織工学に関する基礎研究

関連情報

・サンプルあり

  • 創薬

5)合成高分子ゲルを用いた癌幹細胞標的プレシジョンメディシンの確立

北海道大学 大学院医学研究院 腫瘍病理学教室 准教授 津田 真寿美

新技術の概要

癌の根治には癌幹細胞の根絶が重要であり、その成否が治療成績に連結する。本技術は、オリジナルバイオマテリアル(合成高分子ハイドロゲル)を用いて癌幹細胞を効率的に誘導し、癌幹細胞の性状や遺伝子変異を解析することで、各癌患者に適確な癌幹細胞標的プレシジョンメディシン(次世代型癌個別化医療)を提供、患者予後の改善を目指すものである。

従来技術・競合技術との比較

癌幹細胞を濃縮する従来技術として、1)Spheroid形成、2)Side population分画、3)癌幹細胞表面マーカーによる分離、4)低酸素下・無グルコース下培養、等が存在するが、高額機器の必要性、ランニングコストや時間がかかる、等の問題が存在する。それに比して、当該技術は、ハイドロゲルを用いて癌細胞の初期化を促し、簡便・迅速・低コストに癌幹細胞化を積極的に誘導するものである。

新技術の特徴

・合成高分子ハイドロゲルを用いた革新的癌幹細胞誘導技術
・簡便・迅速・低コスト
・癌幹細胞標的プレシジョンメディシン(個別化医療)の実現化

想定される用途

・がん幹細胞体外診断キット
・癌患者における抗がん剤のスクリーニング
・再発がんの性状予測と予防的最適薬剤の提供

関連情報

・サンプルあり

  • 医療・福祉

6)迅速簡便なアゾール耐性アスペルギルス・フミガーツス検出法

帯広畜産大学 獣医学研究部門 基礎獣医学分野 講師 豊留 孝仁

新技術の概要

日和見感染症の一つ、アスペルギルス症の原因菌アスペルギルスがアゾール薬に耐性化しつつあり、日本国内でも発見されはじめた。新技術は原因菌アスペルギルスがアゾール薬に耐性かどうかを迅速・簡便に検出する方法を提供する。

従来技術・競合技術との比較

アゾール耐性アスペルギルス・フミガーツスを検出する方法として、直接標的配列の塩基配列を決定する方法、アガロース電気泳動法によりサイズの差を検出する方法、プローブの分解によって塩基置換を検出する方法、増幅産物のTm値から検出する方法などがあるが、操作が煩雑である、時間がかかる等の問題があった。

新技術の特徴

・サイクリングプローブの設計を工夫することでタンデムリピートを確実に捕捉
・リアルタイムPCRで迅速に判定可能

想定される用途

・アスペルギルス症の原因菌のアゾール耐性について迅速判定

  • 創薬

7)パーキンソン病患者の認知障害を正常化する薬

帯広畜産大学 獣医学研究部門 基礎獣医学分野 教授 石井 利明

新技術の概要

パーキンソン病に併発した認知障害に対して、セロトニン5-HT4 受容体作動性の蠕動運動促進剤(便秘薬)、ホスホジエステラーゼ阻害薬、アデニル酸シクラーゼ活性化薬又はcAMP誘導体を有効成分とする薬は有効であることを見つけ、また、当該認知障害に対する治療薬開発のための in vivo スクリーニング方法を確立した。

従来技術・競合技術との比較

パーキンソン病に併発した認知障害はパーキンソン病の治療薬であるレボドパ等のドパミン前駆体薬に無効、有効あるいは増悪させるとの様々な報告があり、確固たる見解が得られていない。

新技術の特徴

・パーキンソン病に併発した認知障害に特異性の高い治療薬
・海馬記憶の消去促進により低下した記憶保持能力を回復させる
・中脳黒質の神経細胞変性や傷害に起因した認知障害の治療薬

想定される用途

・パーキンソン病に併発した認知障害の治療薬開発
・恐怖記憶の消去を調節する薬の開発(PTSDの治療薬)
・パーキンソン病に併発した認知障害に対する治療薬開発のためのin vivo スクリーニング方法の提供

  • アグリ・バイオ

8)ホタテ漁業および加工で生じる未・低利用物を機能性素材へ

北海道立総合研究機構 水産研究本部 網走水産試験場 主査 武田 浩郁

新技術の概要

ホタテガイ貝柱を原料とした加工品は数多くあるが、外套膜の用途は少ない。外套膜の新たな利用方法として外套膜由来の分解物に脂質吸収を促進する機能を発見した。この分解物は、高齢者における低栄養や若年女性の低体重などの健康問題を解決する方法の一つとして活用することが期待できる。

従来技術・競合技術との比較

現代の食生活において、脂質の過剰摂取は大きな問題であり、吸収抑制に関する多くの商品が存在する。しかし、高齢者の低栄養や若年女性の低体重も問題であり、本発明はその解決が期待できる。現時点で物質を特定した競合製品はない。

新技術の特徴

・脂質吸収促進剤を含む脂肪蓄積を目的とした養殖魚類用サプリメント
・脂質吸収促進剤を含む脂肪交雑や脂溶性成分蓄積を目的とした家畜(豚、鶏)用サプリメント
・脂質吸収促進剤を含む色上げを目的とした観賞魚用サプリメント

想定される用途

・脂質吸収促進剤を含む高齢者用又は病者用の栄養補助飲食品
・脂質吸収促進剤を含むアスリート用の栄養補助飲食品

  • アグリ・バイオ

9)マツタケ山を作ってみませんか!まずは苗木作りから!

北海道立総合研究機構 森林研究本部 林産試験場 主査 宜寿次 盛生

新技術の概要

本発明は、土壌に炭を混合して作製した活性の高いマツタケの接種源と、水耕処理で雑菌根菌を除去し、細根を多数発生させた宿主となる樹木苗を用いることで、非無菌環境下において通常の栽培容器で菌根苗を作製することを可能とする。

従来技術・競合技術との比較

従来、マツタケ菌根苗の作製には、菌根菌と樹木苗の両方を「無菌環境下」において管理する必要があった。本発明では、「非無菌環境下」において通常の苗を用いることが出来るので優位である。

新技術の特徴

・土壌に炭を混合して活性の高いマツタケの接種源を作製する。
・水耕処理で雑菌根菌を除去し、細根を多数発生させた宿主となる樹木苗を作製する。
・非無菌環境下において通常の栽培容器で菌根苗を作製することを可能とする。

想定される用途

・マツタケ菌根苗の生産
・マツタケ菌根苗の大量生産技術の開発
・未発生林へのマツタケ導入技術の開発

  • アグリ・バイオ

10)オガ粉の1/10量で機能する堆肥・敷料用木質資材

北海道立総合研究機構 農業研究本部 根釧農業試験場 研究主任 大越 安吾

新技術の概要

本資材は、木材を厚さ0.05~0.5mmの極薄状に加工したものである。堆肥用としては、家畜ふん尿と混合した際の気層率を高く維持し、完熟たい肥化を容易にする。また、敷料としては、高い水分吸収・発散能力を有し、水分活性値を細菌増殖限界値0.75未満に調整できる。

従来技術・競合技術との比較

本資材は、従来から畜産農場で使用されているオガ粉と比較して、1/10の少ない使用量で家畜ふん尿を堆肥化することができる。また、高い水分活性調整能を有し、細菌類の増殖を抑制することから、乳房炎や他の疾病予防を期待できるなど高い敷料適性を有する。

新技術の特徴

・低密度かつ気層率を高く維持できる堆肥用水分調整資材
・敷料利用時の水分活性値を細菌繁殖限界値以下に抑えることができる
・従来品(オガ粉)と比較して、使用量を1/10に抑えることができる

想定される用途

・酪農、肉牛、養豚農場での家畜ふん尿の堆肥化用水分調整資材
・酪農、肉牛、養豚農場での敷料資材

  • 医療・福祉

11)洗剤で水を洗う? 界面分離場設計による薬物含有排水浄化

北見工業大学 工学部 地球環境工学科 教授 齋藤 徹

新技術の概要

界面活性剤修飾粘土鉱物(オルガノクレー)に排水中β-ラクタム系抗生物質を捕集し、低環境負荷に分解・不活性化する技術。オルガノクレーを充填した層を調製し、流量を調節することにより、抗生物質の吸着飽和を避けつつ、抗生物質含有排水の連続処理の可能性が示された。

従来技術・競合技術との比較

従来の処理技術では、処理施設への影響、耐性菌の達成、環境や人への影響が懸念された。本法により抗生物質使用量の6割を占めるβ-ラクタム系抗生物質を高効率かつ低環境負荷で除去できる。さらに、フローテーション法の併用により、ほとんどの薬物を一斉かつ迅速に排水から除去でき、薬物による環境リスクの低減がはかれる。

新技術の特徴

・排水中β-ラクタム系抗生物質の完全除去
・抗生物質の低環境負荷不活性化
・透水性・遮水性の調節

想定される用途

・抗生物質等医薬品類含有排水の浄化
・抗生物質等医薬品類の漏出防止
・薬品製造工場排水の低コスト処理

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

北海道大学 産学・地域協働推進機構

TEL:011-706-9561 FAX:011-706-9550
Mail:jigyoアットマークmcip.hokudai.ac.jp
URL:http://www.mcip.hokudai.ac.jp
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