金沢工業大学 新技術説明会
日時:2017年09月14日(木) 13:10~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、金沢工業大学
後援:関東こぶし会(金沢工大学園同窓会)、特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- エネルギー
1)亜酸化銅(Cu2O)を用いる超低コスト太陽電池技術
金沢工業大学 工学部 電気電子工学科 教授 宮田 俊弘
新技術の概要
資源も豊富で環境負荷も少ない銅を酸化させることによって作製する高品質多結晶亜酸化銅(Cu2O)シートをP形酸化物半導体層として採用し、その上にN形半導体層として亜鉛をベースとする各種酸化物半導体薄膜を積層して作製する亜酸化銅系太陽電池において、世界最高変換効率である8.23%を実現している。
従来技術・競合技術との比較
現在広く実用されているシリコン系太陽電池と比較して、圧倒的な低価格を実現できる。また、すべての構成材料が酸化物であることから高い経時安定性が期待できる。
新技術の特徴
・P形半導体層として高品質多結晶亜酸化銅(Cu2O)シートの採用
・N形半導体層として亜鉛をベースとした各種半導体薄膜の採用
・超低コスト
想定される用途
・太陽電池セル
・太陽電池モジュール
・太陽光発電
関連情報
・サンプルあり
- アグリ・バイオ
2)害虫防除・キノコ工場・植物工場の研究および食品用小型MRI装置の開発
金沢工業大学 工学部 電気電子工学科 教授 平間 淳司
新技術の概要
「生き物」から誘発する微弱な生体電位から生き物の「気持ちを知り」バイオ制御技術に応用する。
昆虫では網膜電位から防除光源装置の開発、キノコでは子実体の生体電位、植物では葉面電位から至適成育環境調節を実現する。また、食品用の小型MRI装置の開発に成功した。
従来技術・競合技術との比較
昆虫の光刺激の網膜電位応答に連動した害虫防除光源装置の開発、キノコ・植物の生育環境変化の生体電位応答特性に連動した人工栽培の至適環境調節方法の提案
新技術の特徴
・外的刺激に対する「生き物の気持ち」を間接に知る
・害虫防除光源装置の開発およびキノコや植物工場の環境調節技術の開発
・食品向け小型・低磁場型MRI装置
想定される用途
・「衣食住」の特に「食」に関する新技術
・減農薬や無農薬栽培技術
・植物工場やキノコ工場
- アグリ・バイオ
3)IoT技術と植物葉の葉面電位応答特性を融合した「わさび植物工場」の至適環境制御
金沢工業高等専門学校 電気電子工学科 講師 ボラジ オグントインボ
新技術の概要
わさび工場における人工栽培でIoT技術を導入したSPA(Speaking Plant Approach)方式の生育環境制御の開発である。更に、葉面の微弱生体電位を生育期間中連続して計測することで「わさびの気持ち」を知ることができ、至適環境制御パラメータとして利用している。
従来技術・競合技術との比較
従来のSPA方式と葉面電位計測を併用し生育環境を調節することで、路地栽培に比べて生育速度が4倍となった。わさび工場の至適環境調節を無人で遠隔操作できる。
新技術の特徴
・わさび工場の実現
・IoT技術と葉面電位計測技術の融合
・生育速度が4倍
想定される用途
・わさび工場
・至適環境調節技術
・大量生産技術の提案
- 材料
4)生体材料としてのマグネシウムの生分解性制御
金沢工業大学 工学部 機械工学科 教授 高野 則之
新技術の概要
骨折時の治療に用いられるKワイヤーなどの固定部材は治癒後再手術により抜去されるが、抜去せずに自然に分解消失することが理想的である。マグネシウムはこのような生分解性の生体部材とし注目されているが、そのままでは分解速度が早過ぎる。マグネシウムに圧縮の残留応力を与えておくと分解速度が遅くなることを見出した。
従来技術・競合技術との比較
生分解性の生体部材としては、高分子系の材料が実用化されているが、強度が低いことと、価格が高いことが問題である。マグネシウムに関しては、合金元素を添加することで分解速度を低下させる技術はあるが、まだ実用化には至っていない。
新技術の特徴
・合金元素を添加することなく分解速度を抑制できる
・応力の大きさにより分解速度を制御できる可能性がある
想定される用途
・骨折手術用Kワイヤー
・骨折手術用プレート
・骨折手術用スクリュー
- 建築・土木
5)都市を冷やす貯水型の「蒸発冷却舗装システム」
金沢工業大学 環境・建築学部 建築学科 准教授 円井 基史
新技術の概要
降雨を面的に貯留し、(空洞を有した)舗装体の毛管吸水と蒸発冷却により、夏季晴天日連続期間でも最大で13日間程度、路面温度を日中で気温+10℃以下、夜間では気温-3℃程度に低く抑える。白華が起きない材料(セラミック)を用いることで、数年間に渡り高い蒸発冷却性能を維持する。
従来技術・競合技術との比較
従来の保水性舗装は、降雨後の晴天日で1~2日程度しか蒸発冷却効果を維持できないが、本技術では最大13日間ほど維持できる。セメント系の貯水型の舗装では数ヶ月で白華が生じて蒸発冷却性能が低下したが、本技術で用いるセラミックブロックでは試験段階で少なくとも3年間は蒸発冷却性能が低下しない。
新技術の特徴
・路面温度が日中で気温+10℃以内、夜間で気温-3℃の状態を、降雨後晴天日で最大13日間維持する。
・都市型水害の対策(遅延)に寄与する。
・数年間、屋外で貯水・蒸発を継続しても、蒸発冷却性能が維持する。
想定される用途
・重量車両が通行しない歩道、公園の広場や園路での適用
・藻類、苔類、草類が生えて問題のない場所での適用
・水路と組み合わせ、水の流れ・循環が可能な場所での適用
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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