慶應義塾大学 新技術説明会
日時:2017年07月06日(木) 13:25~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、慶應義塾大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 創薬
1)新規パーキンソン病治療薬
慶應義塾大学 理工学部 生命情報学科 教授 井本 正哉
新技術の概要
今回同定した新規化合物群は、ドーパミン分泌細胞の変性や細胞死を抑制するものであり、パーキンソン病の発症機序に作用し、対症療法に過ぎなかった従来の治療薬とは異なり、パーキンソン病の根本的な治療が期待できるものである。
従来技術・競合技術との比較
従来のパーキンソン病治療薬(ドーパミン補充薬、ドーパミン受容体刺激薬、ドーパミン放出促進薬、ドーパミン分解阻害薬等)はいずれも、不足したドーパミン量を補ってパーキンソン病を治療しようとするものである。本新規化合物群は、ドーパミン分泌細胞の変性や細胞死を抑制することができる。
新技術の特徴
・パーキンソン病の発症機序に作用することで、根本的なパーキンソン病治療を可能とする。
想定される用途
・パーキンソン病治療薬
・ハンチントン病治療薬
- アグリ・バイオ
2)単一粒子上での共培養のためのコラーゲンヤヌスビーズの作製
慶應義塾大学 理工学部 機械工学科 准教授 尾上 弘晃
新技術の概要
遠心力を駆動源としたマイクロ流体デバイスを用いることにより, 複数種類の細胞外マトリックスゲル(コラーゲンゲルやマトリゲル等)を異方的に有する直径100 µm程度のヤヌスゲルビーズを簡便かつ大量に製作できる技術を提供する。ビーズに細胞を封入することで単一粒子内に異種類の細胞を共培養させることが可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来のコラーゲンビーズの作製手法としては,エマルジョン(油中水滴)や微細管より射出されたコラーゲンの液滴をゲル化させる手法が主である。しかし、これらの手法では作成されたコラーゲンゲルビーズは等方的であり,in vivoにみられる異方的な微小環境の再現は困難であった。本発明によりこの課題を解決する。
新技術の特徴
・均一径かつ異方性を付与したコラーゲンビーズを実現
・生体内部の環境を再現可能
・簡便な装置で作成可能
想定される用途
・個々の幹細胞の分化誘導
・単一粒子上における異種細胞間の共培養
- アグリ・バイオ
3)アニオン性ナノ粒子として振る舞う新規人工タンパク質超分子
慶應義塾大学 理工学部 生命情報学科 専任講師 川上 了史
新技術の概要
本技術は、本来幾何学的に異なる構造の構造体となるタンパク質において、フラーレン様やシート状の所望の構造を呈したタンパク質の作製及び利用に関する技術である。捕集剤やフィルター等の利用も含めて、当該構造と物性を組み合わせた新たな活用の可能性を模索している。
従来技術・競合技術との比較
従来の技術では、3量体と2量体とからタンパク質の構造体を作製した場合、幾何学的に異なる構造の構造体が必ず製造されるため、所望の構造を有する構造体のみを得ることができなかった。しかし、本技術を用いることで、構造の均一性の高いタンパク質の構造体の作製が可能となる。
新技術の特徴
・構造の均一性の高いタンパク質の構造体の作製が可能
・本タンパク質の構造体の作製が簡便な方法により可能
想定される用途
・捕集剤(例えば、分析又は分取用のカラムの担体)
・フィルター(例えば、物質の集団中から目的の成分のみ単離)
・固定化酵素
- 医療・福祉
4)すり抜けて逃れるウイルスを騙して捕捉するには
慶應義塾大学 理工学部 生命情報学科 専任講師 松原 輝彦
新技術の概要
インフルエンザの早期治療のためには、感染初期における迅速な診断が必要ですが、ウイルスが増えていない発症直後では感度の低い迅速診断キットによる診断は困難です。今回、ウイルスを捕捉可能なペプチドを修飾した電極デバイスを開発し、少ないウイルス量でも検出することに成功しました。
従来技術・競合技術との比較
これまでの迅速診断キットは感度が低く、また変異し続ける亜型に対応した抗体を準備する必要があります。また高感度に検出する装置はありますが高価であり、すべての医療機関に設置することはできません。本技術では、グルコースセンサーに使われている電気化学で検出しており、安く小型で製品化できることが期待できます。
新技術の特徴
・発症直後などウイルス量が少なくても検出が可能となる高感度な電極デバイスを開発
・抗体を用いることなく、ペプチドでどの亜型のウイルスでも検出することが可能
・携帯型およびウエアラブル型の小型デバイスへの実用化が期待
想定される用途
・携帯型およびウエアラブル型のウイルス検出デバイス
・ウイルス除去するバイオペプチドフィルター
・養鶏場や動物園など、ウイルス感染する動物の健康管理システム
関連情報
・外国出願特許あり
- 医療・福祉
5)ダイヤモンド電極の医療分野への展開~生体物質の高感度リアルタイムモニター~
慶應義塾大学 理工学部 化学科 教授 栄長 泰明
新技術の概要
ホウ素を高濃度にドープした導電性をもつダイヤモンドを合成し、電極として用いる応用展開について研究開発を推進しています(ダイヤモンド電極)。ここでは、ダイヤモンド電極が、ウイルスの高感度検出をはじめ、高感度、リアルタイムで生体計測ができる電気化学センサーとして医療分野へ応用する展開について紹介します。
従来技術・競合技術との比較
投薬や治療などによる薬物や腫瘍マーカーの濃度変動をリアルタイムで計測できる技術が求められている。従来技術ではリアルタイムモニターは困難であるが、ダイヤモンドマイクロ電極により電気化学的に高感度に検出が可能である。
新技術の特徴
・生体関連物質、薬物等を生体内でリアルタイムモニターが可能。
・従来法で必須となっている試薬、抗体等を用いる必要がない。
・簡便かつ高感度、さらに耐久性に優れている。
想定される用途
・腫瘍マーカー、pH、薬物動態の生体内計測
・携帯型・ウエアラブル型のウイルス検出デバイス
・水質等、環境計測へも応用可能
関連情報
・外国出願特許あり
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