工学院大学 新技術説明会
日時:2017年12月05日(火) 09:55~11:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、工学院大学
後援:特許庁
協力:東京医科大学
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)生命情報ビッグデータからの発見技術
工学院大学 工学部 電気電子工学科 教授 福岡 豊
新技術の概要
DNAマイクロアレイなどの技術が発展し、生命情報のデータが大規模化している。近年では、異種データの統合的な解析法も提案されている。本技術は、このようなビッグデータを生物学的な知見に基づきグループ化して、統計的に比較するものである。この方法によって、測定条件(患者など)数が少ない場合でも、有用な知見を発見できる。
従来技術・競合技術との比較
生命情報ビッグデータは、パラメータ(遺伝子など)数に比べて、測定条件数が少ないというデータ構造のため、数理的な処理法によって有用な知見を発見することが困難である。本技術では、データ構造を考慮して、これまで捨てていたデータもグループに取り込むことで、精度を高め、適用範囲を広げた。
新技術の特徴
・先見的知識を活用したビッグデータ解析
・異種データの統合的解析
・測定条件数が少ない場合(培養細胞を用いた研究)でも適用可能
想定される用途
・がんをはじめとする疾患のバイオマーカー探索
・医療・健康分野のビッグデータに基づく要因分析
・ビッグデータのマイニング
- 医療・福祉
2)低侵襲医療のための機械学習による耳小骨病変の診断法
工学院大学 工学部 電気電子工学科 准教授 向井 正和
新技術の概要
鼓膜正常の伝音難聴では、耳小骨の調査を要する。耳小骨は小さく機能的な3つの骨からなる。鼓膜があるために耳小骨病変の視認は困難である。本研究では、ニューラルネットワークを用いた機械学習によって、低侵襲な検査の精度改善を目指す。
従来技術・競合技術との比較
連続周波数ティンパノメトリは耳小骨病変(固着・離断)の診断のために開発されたが、その正診率は十分ではなく(約50%)、確定診断には手術(試験的鼓室開放術)を要する。新技術では、手術は不要で診断率が高い。
新技術の特徴
・低侵襲である
・診断率が高い
想定される用途
・診断補助
・医療応用
- 医療・福祉
3)脳情報技術による認知症早期診断技術
工学院大学 情報学部 コンピュータ科学科 教授 田中 久弥
新技術の概要
認知症早期診断における言語理解・注意・探索・計数課題の遂行能力を機械(ブレイン・コンピュータインタフェース)で数値化する技術である。患者の前に置かれたコンピュータ画面に課題を提示すると同時に、患者の脳波(事象関連電位)を計測し機械学習で認知機能を分析分類する。検査時間は約15分である。
従来技術・競合技術との比較
従来ある技術として例えばもの忘れ診断を患者の機械操作によって調べる装置があるが、対して提案技術は患者が機械操作する必要がなく画面を注視するだけでよい。また画面の文字を多言語化することによって、認知症患者の増大が見込まれるアジア圏での活用が見込まれる。
新技術の特徴
・ブレイン・コンピュータインタフェース
・事象関連電位
想定される用途
・認知症早期診断
- 医療・福祉
4)個別細胞の含水状態での高空間分解能成分イメージング技術
工学院大学 先進工学部 応用物理学科 教授 坂本 哲夫
新技術の概要
含水試料の物理固定し、真空中での高い空間分解能での成分イメージングが可能となった。物理固定には急速凍結を用い、霜の付着を防ぐ工夫を凝らした。イメージング装置では無機元素、化合物、および有機物の検出が可能である。現在、1細胞レベルでの成分イメージングに適用し、がんの悪性度評価に応用している。
従来技術・競合技術との比較
細胞分析には蛍光顕微鏡が多用されるが、同時には複数の成分をモニタリングすることは難しい。また、成分イメージングにはMALDI等が用いられるが、面分解能は個別細胞分析には不十分であり、あくまで組織切片全体のイメージングに留まる。本新技術はこれらの問題点を同時にクリアするものである。
新技術の特徴
・高い空間分解能(40ナノメートル)での成分イメージング(従来法より1桁向上)
・揮発性成分を含む微小領域イメージング分析(Liイオン電池など)
・その他、揮発性成分を含む工業材料、デバイスの解析
想定される用途
・がんの悪性度評価(バイオマーカーの探索)
・抗がん剤等の作用メカニズムの解析
・細胞内でのイオン偏在の可視化
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
工学院大学 研究戦略部 研究推進課
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