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京都大学 新技術説明会

日時:2017年05月23日(火) 10:30~15:55

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、京都大学産官学連携本部、関西ティー・エル・オー株式会社、iPSアカデミアジャパン株式会社

後援:特許庁

発表内容詳細

  • 材料

1)錯体ナノ空間を用いたグラフェンナノリボンの精密合成

京都大学 大学院工学研究科 合成・生物化学専攻 博士研究員 北尾 岳史

新技術の概要

グラフェンナノリボン(GNR)は、高い電子移動度を有し、半導体デバイスを初めとする様々な分野において利用が期待される機能性ナノ炭素材料である。GNRは幅やエッジ構造の違いに応じて異なる電子物性を示すため、その制御は非常に重要である。本研究では、多孔性金属錯体の細孔内で多環芳香族化合物を反応させることで、原子レベルで構造が精密に制御されたGNRの合成に成功した。

従来技術・競合技術との比較

従来のGNRの合成では、リソグラフィーを用いたトップダウン法や、基板表面での触媒的な重合法、有機合成法などのボトムアップ法が用いられてきた。しかし、精密に構造が制御されたGNRをリーズナブルな量で合成することはこれまで困難であった。本発明では、多孔性金属錯体を除去可能な鋳型として用いることで、それを達成した。

新技術の特徴

・多孔性金属錯体の細孔サイズを変えることで、用途に応じたGNRのテーラーメイド合成が可能。
・除去可能な多孔性金属錯体を鋳型として用いることで、GNRをリーズナブルな量で合成することが可能。

想定される用途

・半導体デバイスやバイオセンサなどへの応用
・GNRを、ポリマーなどのほかの材料へ添加することによる新規複合材料の作製

  • 材料

2)”円偏光蛍光キラリティをスイッチング”できるフルカラー発光材料

京都大学 大学院工学研究科 合成・生物化学専攻 助教 長田 裕也

新技術の概要

本発明では、溶媒に依存したらせん高分子主鎖の反転現象を利用した「キラリティをスイッチング可能」な円偏光蛍光材料を提供する。さらに、この材料では発光波長を制御可能であり、フルカラー発光が可能である。

従来技術・競合技術との比較

先行技術では、希少性の高い希土類元素(ユーロピウム)を用いる必要がある上に、発光波長制御は非常に困難であった。本発明では、発光色を自在に制御でき、円偏光キラリティを容易にスイッチング可能な発光材料を提供できる。

新技術の特徴

・円偏光キラリティを切替可能
・フルカラー発光可能
・固体薄膜状態でも高効率蛍光発光可能

想定される用途

・化学センシング材料
・偽造防止用セキュリティ印刷
・レーザー発振材料

関連情報

・サンプルあり

  • 材料

3)ナノ材料界面を自在に連結する配位子

京都大学 化学研究所 物質創製化学研究系 准教授 坂本 雅典

新技術の概要

本発明の有機配位子を用いれば、異種もしくは同種のナノ界面を選択的にかつ強力に接合することができる。また、接合で得られるナノ粒子超構造に起因する機能集積により、単粒子エレクトロニクスやエネルギー変換など様々な用途への応用の可能性がある。

従来技術・競合技術との比較

既存のカップリング技術では、集合体におけるカップリングの制御を行うことは可能であっても、粒子の凝集を防ぎながら粒子単位で異種ナノ粒子を精密に集積することは困難であった。本発明の配位子を用いれば、粒子単位での精密な接合制御が可能となる。

新技術の特徴

・ナノ粒子間を強いカップリングで連結する
・同種および/あるいは異種の粒子を選択的に接合できる
・連結ナノ粒子超構造を作ることで、機能集積による新規材料開発が可能となる。

想定される用途

・フレキシブルデバイス
・光電変換デバイス
・キャリア輸送材料

  • 材料

4)多孔性金属錯体(MOF)とナノ金属触媒の一体化による、水素貯蔵および高効率エネルギー変換新規材料の創製

京都大学 大学院理学研究科 化学専攻 連携准教授 小林 浩和

新技術の概要

反応させたい基質の選択的な分離・濃縮に長けた多孔性金属錯体(MOF)と物質変換の要であるナノ金属触媒を一体化させることで、高効率・高選択的なエネルギー・物質変換を可能とする。これにより、既存の材料を凌駕する高い水素吸蔵特性や触媒特性が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

反応させたい基質の選択的な分離・濃縮に長けた多孔性金属錯体(MOF)と物質変換の要であるナノ金属触媒を一体化させることで、高効率・高選択的なエネルギー・物質変換が可能な複合物質の創製が期待される。また、MOF細孔中のナノ粒子の規則的な配列により、触媒の他、磁性、電子材料用途としても期待される。

新技術の特徴

・金属ナノ粒子にMOFを被覆することにより、既存の材料を凌駕する高い水素吸蔵特性や触媒特性
・MOFの加熱分解による金属および合金ナノ粒子とMOFのハイブリッド材料を作製

想定される用途

・触媒
・磁気材料
・電子材料

関連情報

・外国出願特許あり

  • 情報

5)個性的データを発見し潜在的グループ数を推定するデータ分類技術

京都大学 大学院教育学研究科 助教 橋本 敦史

新技術の概要

近年話題の深層学習などでは、人の顔などの画像データを100次元以上の数値データとして表現します。本技術はこのような「複雑なデータ」を人間による教示なしに完全に自動でグループに分割する上で、(1)外れ値を検出し、(2)グループの数をデータの分布に合わせて自動で調整する世界初の技術です。

従来技術・競合技術との比較

同様の処理を行うDBSCANという手法では、合成データによる実験において、64次元程度の特徴までは期待通りの挙動を行いますが、256次元をすぎると意味のないグループしか抽出できないのに対し、提案手法では128次元を超える辺りでDBSCANの精度を超え、高次元となり情報量が増えるほど精度が向上する性質を確認しました。

新技術の特徴

・データのグルーピングにおける外れ値(他と違う変わったデータ)の自動検出
・データ中の(潜在的な)グループ数の自動推定
・「人物の顔」のような「複雑なデータ」に適用可能な現在唯一の技術

想定される用途

・フォトアルバムに対する自動人物タグ付け(親密な人物を抽出、通行人などを外れ値として除外)
・データの圧縮などを介さない生信号データのグルーピング
・その他、深層学習に基づいて抽出した対象のグルーピング、ネットワーク中のグループ解析など

関連情報

・サンプルあり

  • 医療・福祉

6)眼球運動を利用して視覚の時間分解能を測定する

京都大学 大学院医学研究科 医学専攻高次脳科学講座 認知行動脳科学分野 助教 三浦 健一郎

新技術の概要

簡単な画像を用いて被験者の眼球運動反射を誘発し、その反射運動を計測し、解析することによって視覚の時間分解能を測定する新しい技術です。この方法により、視覚機能の客観的な評価が可能になり、眼疾患や神経疾患の他覚的検査、スポーツ関連機器、リハビリテーション機器等に応用できる可能性もあります。

従来技術・競合技術との比較

従来の視覚の時間分解能の検査方法では、被検査者の主観的な見え方を口頭や手で報告します。一方、本技術では反射的な眼球運動を利用するため、被検査者の主観によらない客観的かつ定量的な測定が可能となります。また、眼の反応を利用しますので、幼児や高齢者などの幅広い被験者に適用でき、さらには実験動物にも適用できます。

新技術の特徴

・眼の反応を利用した新たな評価技術
・視覚の時間分解能の他覚的検査が可能
・広い範囲の検査対象者に利用可能

想定される用途

・医療検査機器(眼科、耳鼻科、神経内科、精神科など)
・スポーツ関連機器
・リハビリテーション機器

関連情報

・サンプルあり

  • 創薬

7)植物由来の高分子物質を利用した抗ウイルス自然免疫の活性化:ヒト、家畜に於ける応用の可能性

京都大学 ウイルス・再生医科学研究所 分子遺伝学研究分野 教授 藤田 尚志

新技術の概要

今回は、ピーマンあるいは米糠(その中でも皮)から高分子物質を効率的に抽出し、この高分子物質を細胞レベル・動物レベルで評価したところ、体内の自然免疫を賦活化し、その結果として抗ウイルス活性を有することがわかった事を紹介します。

従来技術・競合技術との比較

従来技術では、種々のウイルス感染に対して共通に効果のある予防法・治療法が無く、一部のウイルス(C型肝炎ウイルス)ではインターフェロン療法がおこなわれていますが、副作用などの問題から予防的に用いることは困難でした。

新技術の特徴

・我々が常食している農作物由来の成分であり、安全性が高い
・米糠は本邦では副産物として大量、かつ安価に利用できる
・ワクチンではないので様々なウイルスに対して広く効果が期待できる

想定される用途

・ウイルス感染予防効果のある健康食品や医薬品などへの応用
・高病原性トリインフルエンザウイルスなどのウイルスへの抵抗性を高める動物飼料、あるいは添加物として

  • アグリ・バイオ

8)実用珪藻のバイオファクトリー化に向けた基盤技術の開発

京都大学 大学院生命科学研究科 全能性統御機構学 助教 伊福 健太郎

新技術の概要

漁業資源として大量培養が行われ実用化されている実用珪藻、ツノケイソウは、高い環境適応能と高油脂生産性を有しています。我々は、ツノケイソウを物質生産のプラットフォームとして利用すべく、屋外培養から破砕抽出、高効率形質転換物質などの基盤技術の開発を進めました。

従来技術・競合技術との比較

ツノケイソウが屋外開放系でより簡便に培養可能であることを示しました。また、開発した技術により、従来の遠心分離や膜濃縮技術に比べ、はるかに低コストかつ高効率で珪藻から有用脂質や色素の回収が可能となりました。さらに、珪藻への遺伝子導入技術についても、効率を飛躍的に高めることに成功しました。

新技術の特徴

・低コスト微細藻類培養
・微細藻類からの有用物質の高効率抽出
・微細藻類の高効率形質転換法

想定される用途

・化成品原料
・医薬品、健康食品
・代替エネルギー資源

関連情報

・サンプルあり

  • アグリ・バイオ

9)RNAナノスイッチ:目的の細胞を安全かつ簡便に同定・識別する新技術

京都大学 iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門 教授 齊藤 博英

新技術の概要

マイクロRNAを感知する合成mRNAを使って細胞を選別する新しい方法を開発した。本手法は、高純度な細胞の作製に活用できる。人工RNAを細胞に作用させる本研究成果は、ゲノムに傷をつけにくいことと、作用させるRNAの寿命が短く、自然に除去されることが利点であり、再生医療などの臨床においても利用可能。

従来技術・競合技術との比較

マイクロRNAスイッチを使うことで、目的の細胞を識別し純化できることを示した。また、心筋細胞の純化を、セルソーターといった機械で細胞に負担をかけることなく自動で行うことが出来る。さらに、心筋細胞だけではなく、内皮細胞、肝細胞、膵臓細胞(インスリン産生細胞)の選別もRNAの配列を変更するだけで簡単に実現できたことから、従来の方法で選別が困難であった様々な細胞を今後取得できる。人工RNAを細胞に作用させるこの方法は、ゲノムに傷をつけにくいことと、作用させるRNAの寿命が短く、自然に除去されることが利点であり、再生医療などの臨床においても利用可能と考えられる。今後、幹細胞分野の基礎から臨床まで、幅広い研究での応用が期待できる。

新技術の特徴

・細胞内マイクロRNAを使って目的細胞を選別する人工RNA (RNAスイッチ)を開発した
・分化した心筋細胞、内皮細胞・肝細胞・インスリン産生細胞を選別することができた
・分化が失敗に終わった細胞や、未分化iPS細胞を自動的に除去することも可能

想定される用途

・細胞選別のRNA試薬
・目的細胞を選別するためのプラットフォーム提供
・創薬事業

関連情報

・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

関西ティー・エル・オー株式会社 京都大学オフィス

TEL:075-753-9150 FAX:075-753-9169
Mail:eventアットマークkansai-tlo.co.jp

iPSアカデミアジャパン株式会社

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