介護工学 新技術説明会
日時:2017年11月02日(木) 09:55~15:30
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、中国地域産学官連携コンソーシアム(さんさんコンソ)
後援:特許庁、鳥取大学、岡山大学、山口大学、岡山県立大学、広島市立大学、岡山理科大学、近畿大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)認知機能の客観評価と認知症早期発見の新方法・実用化技術
岡山大学 大学院自然科学研究科 機械システム系学科 生命医用工学専攻 教授 呉 景龍
新技術の概要
指先で凹凸のパタン識別能力または視聴覚認知能力の検査を用いて、人間の認知・注意・短期記憶の能力を検査し、認知症の有無を確認する方法及び技術。
従来技術・競合技術との比較
従来の決まっている項目のアンケート調査による認知症早期発見の方法より客観、早期、快速である。
新技術の特徴
・教育レベル・民族・仕事内容などのことに影響されない客観的な認知症早期発見できる方法
・どこでも3分間で認知能力を検査でき、認知症早期発見できる技術
・従来のアンケート調査より客観、早期認知症を発見できる方法・技術
想定される用途
・医療福祉施設での認知機能の臨床検査と認知症早期発見
・老人施設での認知機能早期検査と認知症早期発見
・待合室での認知機能の自己検査と認知症早期発見
関連情報
・サンプルあり
- 医療・福祉
2)早期のリハビリテーションを可能にする頭蓋骨接合技術
岡山理科大学 理学部 臨床生命科学科 教授 辻極 秀次
新技術の概要
申請者らは、既存の方法では治療が難しかった頭頸部骨欠損に適応する新規生体材料の開発に成功している。本材料は、骨組織再生を促す幹細胞を供給可能であり、広範囲に欠損した骨組織を早期に再生させる。また本材料は吸収性であり患者の骨組織と置換するため再手術の必要性が無く、早期のリハビリを可能にする。
従来技術・競合技術との比較
現在、骨欠損の治療には種々の生体材料が使用されているが、強度、生体骨置換性、骨誘導能の全てを満たす材料は無く、完全な骨組織再生は難しいのが現状である。今回開発した新規生体材料は幹細胞を効率よく供給し、高い骨誘導能を有している。また本材料は生体骨置換性を有しており、既存骨と同様の骨組織が再現できる。
新技術の特徴
・頭蓋骨の修復が早く、リハビリが早期に開始できる
・修復された部分が元の形状に再生され審美的な回復が期待できる。
・治療に必要な技術の難易度が低い
想定される用途
・頭蓋骨・顔面骨骨折の治療
・顔面の審美的回復
・頭頸部領域の変形骨・骨奇形の治療
- 医療・福祉
3)シルバーカーの段差乗り降りをスムーズにする踏み下げペダル
岡山県立大学 保健福祉学部 保健福祉学科 教授 中村 孝文
新技術の概要
シルバーカーは後転の危険をなくすため前輪上げが出来ない機構になっており、僅かな段差でも乗り越えが難しい。そこで、簡単に前輪上げができる踏み下げペダルを考案した。可動ペダル、支持部及びフレーム取り付けアダプタから成り、支持部とペダルとの接続を上方折れ曲がりリンク機構とすることで、段差降り時のペダルの段への引っ掛かりを無くし、スムースな段差乗り降りを実現した。
従来技術・競合技術との比較
前輪部に補助輪を取り付けるタイプと、後輪に補助輪を取り付けるタイプが特許公開されているが、市販品は前者1種のみと少ない。前者は補助輪が段差上に乗った時点でハンドルを強く押してキャスターを押し上げる仕組みであるが、乗り越え段差の高さに限度があることと乗り上げ後に勢いで前のめりになる危険を伴う問題を残している。後者は全体が一体・固定化されているため前輪上げ高さの限度と降りる際に段に引っかかる問題を残している。
新技術の特徴
・上方にだけ折れ曲がるリンク機構(180°)
・踏み下げ部高さが4cmと低く、踵を床に着けたまま踏める
・踏み下げ部が後輪軸後方に10cm~16cmの範囲でスライドし、利用者の体格に合わせられる
想定される用途
・シルバーカーへの装備により、移動時の段差部のスムースな乗り越えが実現される
・台車への装備により、精密機器や工芸品などをより安全に運搬移動できる
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 医療・福祉
4)医療従事者の暗黙知を考慮したロコモティブシンドローム診断の定量化
鳥取大学 大学院工学研究科 情報エレクトロニクス専攻 助教 櫛田 大輔
新技術の概要
3次元ビジョンセンサによって取得した歩行に関わる時系列データと、医療従事者の主観的な診断結果(ロコモ診断)を結び付けるモデリング技術である。診断対象者にセンサ取り付けは不要であり、健診現場などで3〜5m程度の通常歩行を実施することで医療従事者と同等精度のロコモ診断(スクリーニング)が可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来技術は、医療従事者が目視で診断、対象者のアンケート結果で診断、対象者に運動タスクを与えて診断、のいずれかであった。本技術は客観的データに基づいて診断を定量化するものであり、診断結果のゆらぎが生じ難い。また、医療従事者の目視診断結果を尊重する仕様であるため、診断結果には医療従事者の経験(暗黙知)が反映される。
新技術の特徴
・ロコモティブシンドローム診断(スクリーニング)の定量化
・客観的なデータによって主観的な判断を実現
・非接触・非拘束でのロコモティブシンドローム診断
想定される用途
・ロコモティブシンドロームのスクリーニングおよび診断
・非接触・非拘束な運動機能解析
・運動機能解析に基づく運動療法処方
- 情報
5)聞き上手な身体的インタラクション・コミュニケーションシステム
岡山県立大学 情報工学部 情報システム工学科 教授 渡辺 富夫
新技術の概要
うなずきや身振りなど身体リズムを共有する引き込み動作を、発話音声からリアルタイムに自動生成する技術をロボットやCGキャラクタのメディアに導入することで、一体感が実感できる身体的コミュニケーション支援技術とメディア場にはたらきかけることで場を盛り上げ、場の雰囲気をつくる技術を研究開発している。
従来技術・競合技術との比較
発話音声から絶妙なタイミングで聞き入っているように、うなずき反応などのコミュニケーション動作を自動生成することができる。ソフトウェアSDKとして提供している。うなずき玩具やコミュニケーションロボットなど商品化した実績もあり、実用化が容易である。
新技術の特徴
・ユーザに一体感とともに自然な発話やインタラクション促進効果
・ユーザの語りかけに対するかかわりを実感できるシステム構築
・開発・製作予算の削減、商品の魅力アップ
想定される用途
・福祉ケア
・e-Learnig・学習支援
・モバイル端末
関連情報
・デモあり
・展示品あり
- デバイス・装置
6)簡易没入型歩行感覚呈示装置の開発
広島市立大学 大学院情報科学研究科 システム工学専攻 助教 脇田 航
新技術の概要
簡易的な構造でより自然な歩行感覚を呈示可能な装置および呈示方法を提案する。具体的には、ユーザの進行方向に大腿部を支え、実際には前に出ることのない足の動きを大腿部支持部に備える荷重センサによって推定し、推定した歩行動作および映像をHMDに呈示することで、自然な歩行感覚を錯覚させる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では、装置構造や制御が複雑で装置が大型化してしまう問題があった。一方、簡易的な方法では、足が滑る、歩行感覚に乏しいといった問題があった。この点、本技術では必要な空間も狭く、装置構造が簡易で、足が滑ることなく、錯覚を利用することでより自然な歩行感覚を簡易的に作り出すことができる。
新技術の特徴
・設置場所をとらない
・コンパクトで簡易的な装置構造
・自然な歩行感覚を作り出すことができる
想定される用途
・住宅展示
・デジタルツアー
・リハビリ・健康促進
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 医療・福祉
7)歩行アシスト効果を図る歩行車の開発
近畿大学 工学部 ロボティクス学科 教授 黄 健
新技術の概要
病気や加齢で下肢部の弱い高齢者の立ち上がりと歩行を支援するため、胸部支持パッドに1自由度のフリー回転機構を有するリフト型歩行車を試作した。また、開発された歩行車の歩行促進効果が実験で確認されており、さらに歩行促進の影響要因を明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
高齢者の歩行を支援するため、現在さまざまな商品が開発されている。しかしながら、市販されている歩行支援機器のほとんどは、高価でありながら使いにくいものが多く、さらに歩行補助効果の定量評価が技術的に検証されていない。
新技術の特徴
・1自由度フリー回転機構つき胸部支持パッドを有する。
・歩行中支持パッドの回転によって腰のスイングを自然的に引き出せる。
・ベルトを介して大腿部を引っ張ることで利用者の歩行意欲を促す。
想定される用途
・病気や加齢で下肢の弱い患者に歩行促進効果のある歩行を実現できる。
・リフト機能も有するため、ベッドや椅子からの移乗にも利用できる。
・自宅での日常生活での歩行で利用するだけではなく、歩行のリハビリ効果も期待できる。
関連情報
・サンプルあり
- 医療・福祉
8)こころを育てるICT、IoT情育空間:小児、成人、高齢の精神医工学
山口大学 大学院創成科学研究科 工学部附属ものづくり創成センター 副センター長・准教授 小柴 満美子
新技術の概要
生涯、動機的に活き活きと生きることを支援する、真にスマートなIoTの開発を目指しています。胎児から高齢まで、多様な環境と動機的に相互作用し、ポジティブやネガティブに感じ、意欲的に周囲と関わり、学び、あそび、発達することの包括的な支援技術を、領域を超え融合し精神生物工学を背景に社会実装を目標とします。
従来技術・競合技術との比較
ヒトの本質的な生の向上の支援を、定量再現的な科学技術で「見える化」を図り、得る複雑な情報に基づきながら、適切な時空間と、質、量を返す、ヒトとモノのインタラィテクブな機能の開発を目指しています。現場との共同研究を重視します。
新技術の特徴
・脳の多様な感覚を刺激
・心身の状態の見える化
・衣食住や社会環境の選択を支援
想定される用途
・教育、家庭、社会、一般住環境のスマート空間
・あらゆるモノの心身発達支援機能
関連情報
・サンプルあり
- 医療・福祉
9)高齢者や身体障害者のための安全移動支援技術
山口大学 大学院創成科学研究科 電気電子工学分野 講師 中島 翔太
新技術の概要
高齢者や身体障害者が用いる移動補助具を、より安全かつ快適に利用するための支援システムである。本システムは、超音波センサから得られる反射波形と加速度センサから得られる加速度から路面状態を把握し、必要に応じた支援を行う。適用可能な補助具の例として、車椅子やシルバーカー、シニアカー、歩行器、白杖などがある。
従来技術・競合技術との比較
従来の超音波センサを用いた移動支援技術の多くは、距離情報から前方の段差や壁などの障害物を検知して利用者へ回避を促すものである。そのため、距離情報が正常の範囲内であれば砂利などの路面状態が悪い場合であっても危険と判断することが難しい。本技術では、距離情報に異常がない場合でも路面状態の認識が可能である。
新技術の特徴
・本装置と測定対象の距離や角度が変化しても測定対象の路面状態の認識が可能
・検出装置にカメラや深度センサを使わないため計算コストが低くプライバシーを侵害しない
・補助具への取付け時に装置自身の姿勢や対象物との位置関係を自動で認識するためキャリブレーションが容易
想定される用途
・移動補助具の安全移動支援
・自動車や農業機械などのGPSを利用した自律走行のための路面状態センシング
・プライバシーやコストの関係でカメラやレーダを利用できない場面での対象物識別
関連情報
・デモあり
・展示品あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
中国地域産学官連携コンソーシアム(さんさんコンソ)事務局
TEL:086-251-7151 FAX:086-251-8442Mail:infosangaku-cons.net
URL:http://sangaku-cons.net
岡山大学 研究推進産学官連携機構 知的財産本部
TEL:086-251-8476 FAX:086-251-8961Mail:office-okadaisangaku-cons.net
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岡山理科大学
TEL:086-256-9730 FAX:086-256-9732Mail:renkeioffice.ous.ac.jp
URL:http://renkei.office.ous.ac.jp/
岡山県立大学 地域共同研究機構 産学官連携推進センター
TEL:0866-94-2205 FAX:0866-94-2206Mail:rcr-secad.oka-pu.ac.jp
鳥取大学 産学・地域連携推進機構
TEL:0857-31-5546 FAX:0857-31-5571Mail:chizaiml.adm.tottori-u.ac.jp
URL:http://www2.cjrd.tottori-u.ac.jp/
広島市立大学 社会連携センター
TEL:082-830-1545 FAX:082-830-1555Mail:office-shakaioffice.hiroshima-cu.ac.jp
URL:https://www.hiroshima-cu.ac.jp/
近畿大学 次世代基盤技術研究所
TEL:082-434-7005 FAX:082-434-7020Mail:riithiro.kindai.ac.jp
URL:http://kuring.hiro.kindai.ac.jp/
山口大学 大学研究推進機構 (産学公連携センター/知的財産センター)
TEL:0836-85-9961 FAX:0836-85-9962Mail:yuicyamaguchi-u.ac.jp
URL:http://kenkyu.yamaguchi-u.ac.jp/sangaku/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
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