静岡大学 新技術説明会
日時:2017年10月05日(木) 13:00~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、静岡大学
後援:特許庁
協力:静岡技術移転合同会社(静岡TTO)
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)焼成処理により高強度化・高機能化する白金構造体の製造法
静岡大学 学術院理学領域 化学系列 准教授 加藤 知香
新技術の概要
白金担持材料は一般に、H2PtCl6やPt(NH3)4Cl2などの白金化合物を固体表面に含浸担持後、焼成処理を施すことで調製される。本技術では、ポリオキソメタレート骨格構造中に白金種を組み込んだ新規化合物を合成し、得られた化合物を焼成処理することで、安定性・耐久性に優れ、高い触媒機能を有する白金構造体の製造を行った。
従来技術・競合技術との比較
従来の白金化合物を焼成すると、配位子が脱離してPt(0)やPtOx等の不溶性粒子を形成するが、焼成や反応条件によっては粒子の凝集・シンタリングが進行し活性低下を引き起こす。本発表では、無機構造体への白金サイトの原子レベル導入による凝集・シンタリングの抑制と白金サイトの高機能化・高効率利用技術について説明する。
新技術の特徴
・単一な水溶性Pt-W構造体の形成
・不溶性白金ナノ粒子への変換技術と凝集・シンタリングの抑制
・焼成処理による白金構造体の高機能化
想定される用途
・触媒材料
・電極材料
・コーティング材料
関連情報
・サンプルあり
- 情報
2)AIを用いたトマトのストレス養液栽培技術
静岡大学 学術院情報学領域 情報科学系列 准教授 峰野 博史
新技術の概要
草姿画像や環境データ(温度、相対湿度、明るさ、など)を用いた機械学習によってトマトのストレス度合いを推定し、高糖度化するように自動潅水制御するストレス養液栽培技術を研究開発しました。
従来技術・競合技術との比較
草姿画像や環境データといった比較的容易に現場で収集可能なデータのみで植物の萎れ具合を推定・予測し、適切なタイミングで適切な量の潅水制御を実現することで、容易にストレス養液栽培できる。
新技術の特徴
・ストレス養液栽培
・マルチモーダル深層学習
・草姿画像、環境データ
想定される用途
・高品質な果菜類の養液栽培
・植物工場
- 材料
3)分子の規則的配列と動的機能を利用した固体電解質材料
静岡大学 学術院理学領域 化学系列 講師 守谷 誠
新技術の概要
構成要素に有機イオン種を用いることにより、新規結晶性固体電解質を開発した。有機分子の特徴である構造多様性と組み合わせの多様性、さらには結晶構造に由来する有機分子の規則的配列と構成要素の動的機能や部分的な融解を活用することにより、種々のイオンを固体状態で高速に拡散させることを可能にした。
従来技術・競合技術との比較
固体電解質として精力的に研究が進められてきた材料としてポリマー(非晶質有機物)とセラミックス(結晶性無機物)が知られている。我々が開発した材料(結晶性有機物)であり、柔軟性や加工が容易といったポリマーの特徴と高速イオン拡散に求められる秩序構造(イオン伝導パス)というセラミックスの特徴を併せ持った材料といえる。
新技術の特徴
・有機物の構造多様性と柔軟性を活用した固体マグネシウムイオン伝導
・有機イオン種の規則的配列と動的機能を活用した中温無加湿条件下での固体プロトン伝導体
想定される用途
・燃料電池
・二次電池
・センサー
関連情報
・サンプルあり
- 材料
4)350℃までの高温で動作可能なマグネシウム二次電池用電解液の開発
静岡大学 学術院工学領域 電子物質科学系列 講師 嵯峨根 史洋
新技術の概要
マグネシウム二次電池の負極反応である金属Mgの析出を、熱安定性に優れたイオン液体中で可能とする技術。イオン液体中でマグネシウムイオンを環状エーテルと配位させ、1:1錯体を形成することで電極反応と熱安定性の両立に成功した。
従来技術・競合技術との比較
金属マグネシウムを電気化学的に析出可能な電解液には厳しい制約があり、一部のエーテル系電解液に
限られてきた。しかしこれらの電解液は耐熱性、耐酸化性に乏しく、高温作動・高電圧化は困難であった。
新技術の特徴
・イオン液体を用いることで350℃まで安定
・電解液中でマグネシウムイオンが環状エーテルに配位することで、析出に好ましい環境を形成
想定される用途
・電池用電解液
- 製造技術
5)大気圧プラズマによるフッ素樹脂材の常温表面処理技術
静岡大学 電子工学研究所 ナノマテリアル研究部門 教授 永津 雅章
新技術の概要
本研究では、フッ素樹脂表面に大気圧プラズマジェットを加速的に照射する前処理工程を設け、フッ素樹脂の炭素―炭素結合の切断を実現することにより、後処理工程において官能基を修飾することで樹脂表面を親水化し、接着性の向上を大気下、常温下で実現する。
従来技術・競合技術との比較
従来、フッ素樹脂の接着では、化学薬品を用いたウエットプロセスが用いられてきたが、環境面での問題が課題であった。本技術は、真空装置を必要としない大気圧プラズマによるドライプロセスが可能であり、常温下において表面接着性を実現するなど、大きな特徴を有する。
新技術の特徴
・イオン衝撃効果を利用した大気圧プラズマによるフッ素樹脂表面処理が可能
・大気圧下、常温下におけるフッ素樹脂表面処理が可能
・化学薬品を用いない環境面で優しいドライプロセスが可能
想定される用途
・自動車など輸送産業における金属とフッ素樹脂の接合技術
・耐腐食性フッ素樹脂材の医療器具への応用
・建築産業分野における各種異種材料とフッ素樹脂との接着
- 計測
6)製造現場での高分解能観察のための構造化照明顕微鏡
静岡大学 学術院工学領域 機械工学系列 准教授 臼杵 深
新技術の概要
超解像蛍光観察装置として実用化されている構造化照明顕微鏡において、低コヒーレンス干渉に基づいた構造化照明と照明位相検出機構を導入することによって、振動やドリフトなどの環境外乱が想定される製造現場においても高分解能観察を可能とした。
従来技術・競合技術との比較
従来の構造化照明顕微鏡に対するアドバンテージとして、振動ノイズにロバストであることの他に、低コヒーレンス干渉によるスペックルの少ない非蛍光観察が可能であること、照明位相フィードバック機能により高速・低コストな位置決め機構が利用可能であること、が挙げられる。
新技術の特徴
・ノイズにロバストなイメージング
・高精度位置決め機構が不要
・キャリブレーションが容易
想定される用途
・精密加工表面の評価
・半導体基板のパターン検査
・非蛍光物質の高分解能観察
関連情報
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
静岡大学 イノベーション社会連携推進機構
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URL:http://www.oisc.shizuoka.ac.jp/
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