つくば産学連携強化プロジェクト 新技術説明会
日時:2017年07月27日(木) 11:55~15:30
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、筑波大学、産業技術総合研究所、農業・食品産業技術総合研究機構
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 電子
1)赤外線リモコンを使った屋内測位
筑波大学 システム情報系 助教 善甫 啓一
新技術の概要
リモコンなどで用いられる赤外線を発信するビーコンと、赤外線の輝度分布を計測する受信機によって、角度を計測する。この受信機はパッチワーク的に拡張することが可能であり、これを用いて環境認識型の屋内測位を可能とする。
従来技術・競合技術との比較
自己認識型であると、屋内測位対象にセンシング・演算能力が必要であり、スマートフォン等の処理能力を有するデバイスの付与が必要となる。RFIDだとその実用範囲が数メートル程度であり、電波強度比に基づく角度検出方法が主流である。このことから、環境側が被計測対象の位置を安価に多数同時に計測することは困難であった。
新技術の特徴
・後付け可能な赤外線ビーコン
・角度を直接計測する受信機
・パッチワーク的に拡張可能な受信機
想定される用途
・人の動きのトラッキング
・移動体ロボットの位置検出
・物流倉庫における管理
関連情報
・デモあり
・展示品あり
- 材料
2)太陽光で水を浄化(途上国の飲料水環境を改善するための光触媒技術)
産業技術総合研究所 エネルギー・環境領域 環境管理研究部門 水環境技術研究グループ 上級主任研究員 根岸 信彰
新技術の概要
光触媒による環境浄化の分野で唯一実用化されていなかった水処理に最適な材料を見いだしたことから、今まで光触媒水浄化が実用化されなかった原因を精査し、その解決方法を検討することが可能となった。これにより途上国の多くで問題となっている飲料水を太陽光で浄化を行う目処が立った。
従来技術・競合技術との比較
従前研究がなかった水中無機イオン種の光触媒能に与える影響評価を我々はセラミック光触媒を使うことで明らかとし、光触媒の水処理分野での実用化研究を前進させることが出来た。太陽光による光触媒水処理技術は膜濾過法と比較するとランニングコストで競争力を持ち、途上国の多くで使用が可能と期待される。
新技術の特徴
・太陽光による細菌や農薬に汚染された飲料水の浄化
・光触媒反応に伴うスケール(水垢)蓄積機構の解明
・暗条件でも殺菌作用を有し通水による脱離が起きないリン酸銀系抗菌剤の光触媒上固定化技術
想定される用途
・途上国用飲料水浄化システム
・災害時用パーソナル水浄化システム
・再生水の飲用化技術への応用(末端処理用)
- デバイス・装置
3)高温超伝導体を使った小型コヒーレントテラヘルツ光源モジュールの開発
筑波大学 数理物質系 物質工学域 助教 辻本 学
新技術の概要
幅広い学術及び産業分野で利用可能なテラヘルツ光源モジュールの実現を目指し、高温超伝導体光源素子、電極リード、コリメートレンズなどのパッケージ化技術確立に挑む。素子作製技術と数値シミュレーションによる発熱解析を組み合わせることにより、最適化されたモジュール構造及び制御技術を提供する。
従来技術・競合技術との比較
利便性の高い小型テラヘルツ光源の開発は遅れている。従来の半導体レーザーでは熱励起による出力の低下が指摘されており、サブテラヘルツ帯での連続発振は原理的に困難である。一方、巨視的量子干渉効果を利用した本技術はコヒーレントかつ連続波長可変なテラヘルツ波を発生させることができる点で優れている。
新技術の特徴
・利用価値の高いコヒーレントな連続テラヘルツ波の発生が可能
・物理的・化学的に安定で取り扱いやすい小型モジュール構造
・超伝導体の量子力学的干渉効果に基づいた広帯域の波長可変性
想定される用途
・化学物質の同定及び精密分析
・生体やセキュリティ用途の非破壊・非侵襲イメージング
・高速無線通信用の発振器
- 医療・福祉
4)ヒト胃消化シミュレーターを利用した食品の消化動態の観測・評価技術
農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 食品健康機能研究領域 上級研究員 小林 功
新技術の概要
ヒト胃のぜん動運動を定量的に模擬可能な胃消化シミュレーターは、物理的・化学的消化作用を同時に考慮したin vitro 胃消化試験が可能な装置である。本シミュレーターの利用により、食品粒子が、ぜん動運動が活発に起きる幽門部を模した容器の内部で消化されていく挙動を直接観察することも可能である。
従来技術・競合技術との比較
試験管やフラスコの振とうによる一般的なin vitro胃消化試験では、物理的消化を定量的に模擬しているとは言い難い。また、欧米等で開発されたin vitro胃消化装置は複雑かつ高価であることが多く、消化挙動の直接観察も困難である。
新技術の特徴
・定量的なぜん動運動に誘起された食品粒子の微細化挙動を評価可能
・胃消化試験中における食品粒子の挙動をリアルタイムで直接観察可能
・人工胃液の分泌および胃消化物の排出を模擬可能
想定される用途
・多様な食品の胃消化動態の評価・解析
・消化性が制御された新規食品の設計・開発用ツール
・標準的な胃消化試験・評価方法
- 医療・福祉
5)オレキシンペプチドの敗血症性ショック治療への適用
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 機構長/教授 柳沢 正史
新技術の概要
敗血症は致死性が非常に高く未だ確立した治療法がない。発表者らは、敗血症性ショックマウスに対し、睡眠・覚醒や食欲を司る神経ペプチドであるオレキシンを末梢投与したところ、生存率を有意に改善させることを発見した。その作用機序として、末梢投与したオレキシンが脳内に移行し中枢神経系を介した体温・心拍数の上昇などの薬理作用を示すことを見出した。
従来技術・競合技術との比較
通常は末梢から脳へ移行しないオレキシンを、敗血症性ショック時の病態(血液脳関門の破綻)を逆手にとって脳内に移行させて中枢神経系で作用させる点に、新規性と進歩性がある。敗血症性ショック動物で報告されているノルエピネフリンの中心静脈投与による生存率の改善よりも治療効果が優れている。従来の治療法と作用点が異なるため、既存の昇圧剤、抗凝固剤、抗菌剤との併用が可能。
新技術の特徴
・ペプチドを、敗血症性ショック時の血液脳関門の破綻を逆手にとって脳内に移行させ中枢神経系で作用させる点。
・既存の昇圧剤、抗凝固剤、抗菌剤との併用療法が可能と思われる点。
想定される用途
・ヒト型オレキシンペプチド注射薬
・敗血症性ショックに対する治療薬
関連情報
・外国出願特許あり
- アグリ・バイオ
6)紅茶由来高分子ポリフェノールによる筋持久力強化機構
筑波大学 体育系 教授 武政 徹
新技術の概要
ミトコンドリア膜電位の上昇を、共焦点顕微鏡の動画をもとに、評価するシステムを構築した。これにより発酵茶から抽出した高分子ポリフェノールであるMAF(Mitochondria activation factor)成分が、生きている骨格筋培養細胞のミトコンドリアを活性化することを初めて実証した。
従来技術・競合技術との比較
従来、MAF様の活性を持つ候補原末摂取の効果は、実験動物を用いた「持久力の増強」を指標とし、多大な労力と時間をかけ確認していた。今回開発した骨格筋培養細胞を用いた検定により、多種類の原末に対するハイスループットのスクリーニングが短時間で可能となると見込まれる。
新技術の特徴
・MAFを持久力アップを目的としたサプリメントとしてエビデンスを提示しながら提案できる
・ポリフェノールに限らず、骨格筋のミトコンドリアを活性化する物質がスクリーニングできる
・活性化したミトコンドリアの動態観察が生きた細胞で可能
想定される用途
・ミトコンドリア活性化物質のハイスループットスクリーニング
・アスリートの筋持久力増強サプリメント
・高齢者の持久力強化サプリメント
関連情報
・サンプルあり
- 通信
7)個人レベルの常時宇宙利用を実現する宇宙プラットフォーム技術
筑波大学 システム情報系 准教授 亀田 敏弘
新技術の概要
民生用電子部品のシステマティックで効率的な放射線耐性試験方法を実現するとともに、評価を行った低軌道超小型衛星用の通信モジュールならびに可搬性のある衛星管制地上局から構成されるシステムをコア技術として、1機50万円かつ24時間常時アクセス可能な人工衛星を実現する技術。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では、1機数億円の50㎝角の衛星数十機と大型で高価な衛星地上管制局を用いて地球観測データを毎日更新することを目標としていたが、本技術を用いると、数千機規模の人工衛星と地上局の活用によって、単なる地球観測にとどまらない24時間常時の宇宙各種諸量の動的センシングをローコストに遂行する世界が実現できる。
新技術の特徴
・個人レベルでも可能な低価格の宇宙開発の実現
・24時間常時データダウンリンク可能な分散型低価格可搬衛星管制局システム
・Cubesat打ち上げコストを1/10にする複合型プラットフォーム
想定される用途
・人工衛星による各種観測データの常時ダウンリンク
・個人レベルの衛星開発,打ち上げ,管制の実現
・エンターテインメントやアミューズメントなどの新規分野における宇宙利用の促進
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
筑波大学 産学連携部 産学連携企画課
TEL:029-859-1489 FAX:029-859-1693Mail:tloilc.tsukuba.ac.jp
URL:http://www.sanrenhonbu.tsukuba.ac.jp/
産業技術総合研究所 産学官・国際連携推進部 連携企画室
TEL:029-862-6144 FAX:029-862-6148Mail:cpiad-mlaist.go.jp
URL:http://www.aist.go.jp/
農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 企画連携室
TEL:029-838-7990 FAX:029-838-8005Mail:renkei-nfrinaro.affrc.go.jp
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