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福井大学 新技術説明会

日時:2017年08月29日(火) 10:25~15:00

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、福井大学

後援:特許庁

発表内容詳細

  • 材料

1)フッ素含有表面層を有するポリカーボネート樹脂基材

福井大学 産学官連携本部 本部長 米沢 晋

新技術の概要

透明性・耐衝撃性に優れる樹脂材料、ポリカーボネートについて、その表面をフッ素ガスで改質する方法を紹介する。フッ素化により、表面に親水化層を形成することができ、この層が存在することで、高密着性めっき皮膜の形成や染色が可能になる。

従来技術・競合技術との比較

現在、ポリカーボネートを着色するためには、顔料や染料の練り込みや、界面活性剤を用いた比較的高温での染色、表面に着色樹脂フィルムを貼り付ける等の方法が行われている。これに対し、ガスによる処理で親水化、染色性付与が可能であることから、成形後に染色する等、新プロセスを構築できる。

新技術の特徴

・ポリカに密着性良くめっきすることができる
・ポリカに染色性を付与できる

想定される用途

・電器製品の部品
・光学製品(レンズ、窓材等)
・機能性繊維素材

関連情報

・サンプルあり

  • 材料

2)伸縮性のあるゲルの不織布

福井大学 学術研究院工学系部門 繊維先端工学講座 特命助教 浅井 華子

新技術の概要

2種類の4分岐ポリエチレングリコールプレポリマーからなるゲルの不織布を、静電紡糸法を用いて作製した。この不織布は、親水性かつ高強度で空隙を多数持ち、伸縮性がある。

従来技術・競合技術との比較

通常は型に流し込んでフィルム状に成形されるゲル材料を、ナノ繊維・不織布化することによって、空隙を多数含んだ構造を持たせた。また、凍結乾燥で作製した多孔質ゲルと異なり、微細な貫通孔が多数存在する。

新技術の特徴

・本発明のナノ繊維は水に溶けず、かつ親水性が高い
・生体組織の癒着防止材としての応用が期待
・細孔を多数もつナノ繊維・不織布

想定される用途

・医療用途
・衛生用品

  • 材料

3)多様な樹脂との相溶性に優れた耐熱性を有する高分子紫外線吸収剤

福井大学 学術研究院工学系部門 材料開発工学講座 准教授 阪口 壽一

新技術の概要

ベンゾトリアゾール誘導体をポリブタジエンと重合することで、高分子体の紫外線吸収剤を開発した。高い耐熱性により樹脂加工時における紫外線吸収剤の揮散や分解がなく、さらに他の樹脂との相溶性が高いことから、従来の紫外線吸収剤のように樹脂に添加して使用することが可能である。

従来技術・競合技術との比較

従来の低分子紫外線吸収剤は高温状態でそれ自身の揮散や分解が起こる。また、高分子量化した紫外線吸収剤でも一般的に樹脂との相溶性が不十分であることが多く、ブリードアウトが問題となる。一方、本技術の材料は、高分子量体で且つ樹脂との相溶性が高いため、汎用性の高い高分子紫外線吸収剤である。

新技術の特徴

・紫外線領域に吸収をもつ
・高分子量体で耐熱性が高い
・樹脂との相溶性に優れる

想定される用途

・樹脂への添加剤
・レンズ材料
・塗料

関連情報

・サンプルあり

  • 医療・福祉

4)全身麻酔にて至適量の鎮静薬を投与する自動調節システムの開発

福井大学 学術研究院医学系部門 医学領域麻酔・蘇生学分野 教授 重見 研司

新技術の概要

全身麻酔では、鎮痛薬と睡眠薬および筋弛緩薬を組み合わせて投与し、個々の病気や外傷ならびに全身状態に応じた、無痛・無意識・不動の状態を維持します。本技術は、良質な無意識を実現するために、睡眠薬(鎮静薬)の必要な投与量を、生体の反応(脳波)から自動的に算定して投与するものです。

従来技術・競合技術との比較

従来は、麻酔担当医が、経験と勘に基づいて、鎮痛薬と鎮静薬および筋弛緩薬を適宜投与していました。そのため、長年の訓練と知識の蓄積が必要で、試行錯誤も避けられず、麻酔担当医による麻酔の質もばらつきも大きいものでした。本技術によって、良質な全身麻酔が簡便に実現し、医療の均霑化も進むことが期待できます。

新技術の特徴

・鎮静薬のドース・レスポンス・カーブを逐次予測
・BIS値を入力して鎮静薬を投与
・鎮痛薬と筋弛緩薬の投与についてもシステムを開発中

想定される用途

・手術に必要な全身麻酔
・検査に必要な深い鎮静

関連情報

・サンプルあり
・デモあり

  • 医療・福祉

5)脳機能画像の動的位相変動を用いた神経ネットワーク機能評価法

福井大学 保健管理センター 准教授 高橋 哲也

新技術の概要

各脳部位から得られた神経生理情報の位相差を動的に捉え、その振る舞いを非線形解析によって定量化することに成功した。この技術は、機能的神経ネットワークに新たな指標をもたらし、多くの精神神経疾患の神経基盤に共有される「神経ネットワーク異常」の抽出を可能にする脳機能画像解析法となる。

従来技術・競合技術との比較

従来の機能的神経ネットワークの評価は、その技術的限界からネットワーク構造を静的なものとして捉えるにとどまっている。しかし脳内で生じている神経ネットワーク結合は常に変動しており、本技術は世界で初めてその動的変動を高い時間分解能で捉え、可視化することに成功したものである。

新技術の特徴

・各脳部位間における動的位相差の抽出
・非線形解析を用いた動的位相差の定量化
・本技術の精神神経疾患診断における有用性

想定される用途

・精神神経疾患の早期診断技術の開発
・他の解析技術との複合による精神神経疾患のテイラーメイド治療の推進
・本技術のBrain-machine-interfaceへの導入による新たな治療技術の開発

  • 医療・福祉

6)生体膜を模倣した安定な人工脂質二重膜の作成

福井大学 学術研究院医学系部門 医学領域分子生理学分野 教授 老木 成稔

新技術の概要

創薬の重要なターゲットである膜蛋白質の簡便かつ正確な機能評価が可能となる。膜蛋白質は生体膜と類似の環境で実験を行う必要がある。このための一つの有力な方法が脂質二重膜法である。従来チェンバーを使う方法が標準的で生体膜を模倣した人工脂質二重膜の安定な作成技術を開発した。脂質組成や膜電位の完全な制御下で機能解析を行える実験システムやこの膜を使ったデバイスの応用を提案する。

従来技術・競合技術との比較

人工脂質二重膜の小孔作成は、従来手作業に拠っており、ある程度の熟練を必要としていたが、人工膜の安定性は小孔の形状で決まることから、より安定し、再現性の高い人工膜を作成できる本技術では、未経験者でも僅か1日で膜の作成から機能測定までを行うことが可能となる。

新技術の特徴

・膜蛋白質の簡便な機能評価
・生体膜を模倣した安定な人工脂質二重膜
・細胞システムのモデル化

想定される用途

・創薬のための膜蛋白質評価システム
・複雑な膜形成導入のための基盤技術
・学生実習など教育現場への導入

関連情報

・サンプルあり

  • 医療・福祉

7)胎児の健康状態の早期診断を支援する新しい分娩監視装置

福井大学 学術研究院医学系部門 医学領域産科婦人科学分野 客員教授 荒木 睦大

新技術の概要

胎児の健康状態に関する、詳細な解析結果を得ることによって、これまで見つけにくい異常に繋がる状態を、医師が定期的な検診段階で早期発見できるように支援するための、新しい分娩監視技術を開発した。また、その胎児の異常に繋がる要因を、母親の健康状態から予測が可能になる。

従来技術・競合技術との比較

既存する心電図法では余分な機能が必要となるに対して、従来の分娩監視装置の超音波ドプラ信号・ドプラ心音を利用するため、高機能を確保しつつ、合理的でコスト低減につながり、高齢妊娠や不妊治療による、ハイリスク妊娠などに柔軟に対処できるようになる。

新技術の特徴

・胎児心拍細変動解析
・超音波ドプラ心音
・パワースペクトル解析(LF/HF)

想定される用途

・胎児の早産予防
・胎児の感情表現
・胎児と母親のコミュニケーション

お問い合わせ

新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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