富山大学 新技術説明会
日時:2017年10月31日(火) 13:25~15:25
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、富山大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 医療・福祉
1)TRIM21/Ro52分子に対する自己抗体が認識するエピトープ
富山大学 大学院医学薬学研究部(医学) 内科学 医師 奥村 麻衣子
新技術の概要
皮膚筋炎に間質性肺炎を合併した患者由来のモノクローナル抗TRIM21/Ro52抗体にて同定されたエピトープに反応する血液中の自己抗体の有無を調べることが、膠原病関連間質性肺炎の診断、発症の予測、重症度の診断、および重症化の予測ができる一つの方法となる。
従来技術・競合技術との比較
抗Ro52/TRIM21自己抗体を検出する従来法(EUROLINE scan)は、間質性肺炎のみに特化せず、他の臓器病変でも陽性になるため間質性肺炎のみの指標にはならない。また、間質性肺炎の重症度を予測する指標としてKL-6があるが、KL-6は悪性疾患でも上昇するので判別が困難なことがある。我々の方法は膠原病関連間質性肺炎の検出に有用である。
新技術の特徴
・TRIM21/RO52分子に対する自己抗体が認識するエピトープの同定
・エピトープ(ペプチド)ペプチドに結合する自己抗体を検出
・間質性肺炎の発症率と重症度との関連を解析
想定される用途
・自己免疫疾患患者において、間質性肺炎を併発するかの予後の予測
・自己免疫疾患患者において、間質性肺炎の、重症度の予測
・自己免疫疾患患者において、間質性肺炎を予測する検査キットの作製可能性
- 製造技術
2)異種材料接合の新展開 -円盤摩擦接合技術-
富山大学 大学院理工学研究部(工学) 材料機能工学科 教授 柴柳 敏哉
新技術の概要
回転する円盤の両側に被接合材を配し、円盤に押しつける荷重を負荷して発生する摩擦熱で試料の一部を軟化させ、同時に試料表面の汚染層を除去しながら表面粗度を平滑化し、円盤の外縁部を試料が抜け出た瞬間に試料同士が接触して加圧され接合されるという機構である。原理的に無限長の接合が可能である。
従来技術・競合技術との比較
摩擦現象を利用する接合法には、摩擦圧接、超音波接合、冷間圧接、摩擦攪拌接合、Liner Friction Weldingなどがある。この中で、摩擦攪拌接合だけが長尺部材の接合に適用されているが、塑性変形能が大きく異なる材料の異種材接合が難しいという問題を抱えている。本法ではこの問題が解決できると期待される。
新技術の特徴
・板材の連続接合が可能である。
・円盤の表面と裏面で摩擦係数を相互に異なるようにできる。
・金属以外の異種材料の接合にも適用できる。
想定される用途
・自動車部材への異種材料接合体の適用
・鉄道車輌のマルチマテリアル化
関連情報
・サンプルあり
- 製造技術
3)印刷技術で生命を守る:印刷技術で拓く未来医療
富山大学 大学院理工学研究部(工学) 生命工学科 教授 中村 真人
新技術の概要
世界一の安心安全な社会作りを目指して、印刷技術を活用した新しい医薬品生産技術の実用化に取り組む。印刷の可能性を大いに発揮させた試作装置の作製、候補薬剤の選定を行い、具体的な医薬品生産事業の構想を確立し社会実現を目指す。また、IoT-AI時代の未来社会を見据えて、印刷技術で生命を守る未来医療の構想設計を行う。
従来技術・競合技術との比較
フィルム製剤の作製法は、作製した薬物含有シートをくりぬいて製品としている。くりぬいた残りは廃棄している。薬成分を印刷すれば、高価で環境毒性もある薬の廃棄が減る。印刷技術は生産技術としても能力が高い。相性が良いフィルム製剤は、印刷技術で可能性がより発揮できる。錠剤を超える高度な薬生産の発展が見込める。
新技術の特徴
・印刷技術を薬自体を印刷することに応用し、高生産性、高品質の薬生産が可能になる。
・数ある印刷技術の内、本研究では有用性が高いスクリーン印刷とインクジェット印刷に絞って実用技術として開発する。
・印刷技術はデジタルデータの出力装置でもあり、IoTやAIが主流となるデジタル時代にかなう薬生産が実現可能。
想定される用途
・フィルム製剤の発展(新ジェネリック剤、小児用製剤、DDSへの応用発展)
・新製剤装置の開発(日本の高い印刷技術を活用し、日本の強みを活かす)
・印刷はコンピュータの出力装置であり、IoTやAI時代のビッグデータを活用したより安全安心の医療への実手段となる。
関連情報
・サンプルあり
・外国出願特許あり
- 創薬
4)細胞SPRイメージングセンサで医薬品の迅速評価を実現する!
富山大学 大学院理工学研究部(工学) 生命工学科 教授 篠原 寛明
新技術の概要
表面プラズモン共鳴(SPR)イメージング技術を用い、薬物や毒物によって引き起こされる細胞内反応を屈折率変化として可視化し、非標識で迅速な薬理作用評価・定量評価を実現しました。細胞をオンチップ培養したSPRイメージングセンサにより、神経系、免疫系、内分泌系の細胞に作用する医薬品の評価が可能となっています。
従来技術・競合技術との比較
細胞レベルの薬理作用評価は、臨床検査前の動物実験を少なくするためにも重要ですが、従来、薬物応答を調べるには蛍光性の色素やタンパク質で細胞を標識する必要があり、煩雑で時間がかかりました。本技術では、培養細胞の染色、標識操作が一切不必要なため、自然な状態での細胞の薬物応答を迅速、簡単に観察できます。
新技術の特徴
・オンチップ上の細胞を薬物刺激した際の細胞内情報伝達反応を非破壊、非標識で可視化できる。
・個々の細胞内反応を可視化でき、多数の細胞の同一薬物応答の統計解析が可能。細胞の応答選別も可能。
・異なる種類の細胞の薬物応答を同時観察できるので、マルチ薬物スクリーニングも可能。
想定される用途
・合成医薬、バイオ医薬、天然物医薬の薬理作用試験及び毒性試験、また有効成分のスクリーニング
・既承認薬のリポジショニング(新規な薬効の発見と異なる治療薬としての利用)
・薬物応答性の違いを利用した細胞スクリーニングや幹細胞の分化状態の評価
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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