早稲田大学 新技術説明会
日時:2017年05月25日(木) 13:25~16:00
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、早稲田大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 機械
1)草も枯れ木もかき分け進む小型屋外移動ロボット
早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 総合機械工学科 准教授 石井 裕之
新技術の概要
山林や岩場など、車輪やクローラでは移動がままならない路面状況であっても段差を乗り越え進み続けることができる移動機構を備えた小型ロボット。機能や形状の異なる複数のロボットを目的に応じて使い分けることで、さまざまな用途に利用可能。
従来技術・競合技術との比較
従来の不整地移動ロボットは、多数のモータによって脚やフリッパーを駆動するものが多く、そのために非常に高価となり、それが普及の妨げとなっている。開発したロボットの移動機構にはモータが2個しか使われておらず、高い経済性と堅牢性を実現している。
新技術の特徴
・岩石や倒木、草葉を踏破可能な高い不整地移動能力
・2個のモータで駆動されるシンプルな駆動機構
・センサから得られる情報で路面の性質や状態を認識
想定される用途
・山林での環境モニタリング
・災害現場の調査
・狭隘空間への進入
関連情報
・デモあり
- デバイス・装置
2)一対の支持梁かつ単一駆動信号で3自由度駆動可能なMEMSスキャナ
早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 機械科学・航空学科 准教授 岩瀬 英治
新技術の概要
小型のミラー部とそれを支える梁部からなるMEMSスキャナは、光を走査するために用いられている。本技術は、梁形状を工夫することで、一対の梁のみ単一の駆動信号のみで3自由度駆動を実現している。これは、ヘッドマウントディスプレイなど収納体積の限られる用途では大きな利点である。
従来技術・競合技術との比較
近年MEMSスキャナは、手のひらサイズの小型プロジェクタ、ヘッドマウントディスプレイなどに用いられている。しかしながら、これを3次元画像表示や取得のために3自由度などに拡張しようとした場合、ミラーを支える梁部の構造が相対的に大きくなってしまったり、駆動部の構造が大型・複雑化してしまうという問題があった。
新技術の特徴
・梁の形状を工夫し、ミラー駆動に用いる各自由度の共振駆動の周波数を設計・分離
・梁部が従来に比べ非常に小さく、ミラー部の専有面積割合が大きいため、小型光学デバイスにおいて有利
・駆動部および駆動信号が1つのみで、3自由度のミラー駆動および光走査が可能
想定される用途
・小型プロジェクタ、ヘッドマウントディスプレイ、網膜投影ディスプレイなどでの2次元または3次元画像表示
・内視鏡カメラなどでの2次元または3次元画像取得
・MEMSスキャナをアレイ配置した光位相・偏向素子
- 材料
3)両性イオンポリマーの表面偏析に基づく超親水性コート剤の開発
早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 応用化学科 専任講師 須賀 健雄
新技術の概要
小型船舶や洋上風力発電システムの浮体など、より高強度、軽量製が望まれる用途に向けて炭素繊維を用いたFRP製の構造部材が求められる一方、表面への海洋生物の付着は課題となっている。本技術ではFRPとの界面密着性に優れ、かつ水と接する表面のみ超親水性化した高分子コート剤を提示するものである。
従来技術・競合技術との比較
スルホベタインなど両性イオンを持つポリマーは高い親水性を示すが、架橋しただけでは剥離しやすい。基材表面との間に化学結合を持つポリマーブラシ法は高い機械強度を示す一方、複雑な形状かつ広範囲に構造部材を表面改質するには不向きである。一方、本技術は、両性イオンポリマーを汎用熱・光硬化樹脂の表面に偏析させ、超親水性と機械強度を両立する。
新技術の特徴
・コーティング作成時の両性イオンポリマーの表面偏析および水浸漬により超親水性化する
・簡便かつ機械強度を満たすコーティングとして提示する
想定される用途
・FRP製構造部材の防汚コーティング剤
・水処理装置の防汚表面改質
関連情報
・サンプルあり
- 製造技術
4)3Dナノ構造を有するアルミニウムと熱可塑性炭素繊維強化プラスチックの直接接合技術の開発
早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 機械科学・航空学科 准教授 細井 厚志
新技術の概要
アルミニウム表面にナノスパイク構造を創製し、アンカー効果,表面積の増大の効果を利用した熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)との直接接合技術を開発した。本技術は、接着剤が不要で、厚さの制限がなく,短時間で接合が可能であり、リサイクル性にも優れる。JIS K6850に基づく試験方法では接合部ではなくアルミニウム母材から破断が生じた。
従来技術・競合技術との比較
アルミニウム表面のナノスパイクが凸構造を有するために、熱可塑性樹脂との接着性が良く、接着剤が不要でホットプレスによる直接接合が可能である。また、ナノスパイクがアルミナであることから、ガルバニック腐食の防止も期待でき、アルミナナノスパイクをエッチングすることで容易に分離可能であり、リサイクル性に優れる。
新技術の特徴
・アルミニウム表面にナノスパイク構造を形成する。
・ホットプレスによりCFRTPとアルミニウムの直接接合が短時間で可能である。
・エッチングにより容易に分離可能でリサイクル性にも優れる。
想定される用途
・自動車・航空機部品の異種材接合
・デバイスの異種材接合
・アルミニウム/CFRTPを積層させた新規材料開発
関連情報
・サンプルあり
- 建築・土木
5)柱や壁になるガラスの構造体
早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 建築学科 講師 山村 健
新技術の概要
ガラスの構造体は建築学のみならず、機械工学や宇宙技術などでも使用できると考えている。建築学の範疇で考えるならば、ガラスの透過性は魅力的な空間の創出に必須である。今回、提案するのは、もしガラスが柱や梁の構造体になるならば、透過性や視認性を確保しつつも、構造的耐久性や室内環境をも保持できるような、新たな建築を切り開く新素材となりえると考えている。
従来技術・競合技術との比較
従来、ガラスは小物から建築の建具まで様々な用途に使用されてきた。近代建築の発展以降ガラスは主として外観のファサードとして使用されることが多く散見されるようになってきた。既往の技術としては、ガラスブロックような構造体にもなるものはあるが、ガラス自身が柱や壁になることはなかったため、既往の技術とは峻別されるべきものであると考える。
新技術の特徴
・建築構造における革命的な空間ならびに構築物の創出
・新たな建築構法の創出
想定される用途
・柱や梁、床などに使用される
・建築のファサード
・車やロボットなど
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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