山梨大学 新技術説明会
日時:2017年12月19日(火) 13:30~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、山梨大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 環境
1)植物由来未利用資源を活用した接着剤の開発
山梨大学 教育学域 人間科学系 准教授 森長 久豊
新技術の概要
食品廃棄物の有効活用を目的とする技術である。柑橘類の加工過程で発生する絞りかすに含まれる柑橘類精油を原料として、熱硬化性樹脂を作成することに成功した。精油は、非石油資源且つ未利用資源の植物由来であり、地球環境、人に優しいといえる。また、その応用である接着剤の接着強度は市販の接着剤相当を実現している。
従来技術・競合技術との比較
石油資源への依存を40%削減でき、地球温暖化の原因である二酸化炭素削減に寄与できる。また、市販品相当の接着強度(約21MPa)の達成や架橋物としての柔軟性からも、その適用・応用領域は無限の可能性を秘めている。
新技術の特徴
・石油資源への依存を40%削減
・柔軟なエラストマーから比較的靭性のある硬化物まで作り分けが可能
・約21MPaの引っ張りせん断接着強度を達成
想定される用途
・接着剤
・半導体封止材
・コーティング剤
関連情報
・展示品あり
- 材料
2)シリカコーティングによって安定化された高分散性金ナノ粒子の開発
山梨大学 生命環境学域 生命農学系 准教授 新森 英之
新技術の概要
本技術では分裂型光吸収を持つ異方性金ナノロッドの界面シリカコーティングにより、安定化された高分散性微粒子材料を開発した。これまで金ナノロッドは凝集等で実用化や取扱いに難点があったが、本技法の微粒子界面でのゾルゲル過程によるシリカのエピタキシャル成長反応で作製したナノ材料はそれらの問題点を解決できる。
従来技術・競合技術との比較
これまで金ナノ微粒子は界面での有機保護剤(高分子や硫黄化合物)によって分散安定性を維持する場合が殆どであった。しかし、これら有機保護層は解離や構造変性の為に安定性に欠け、材料としての実用化が困難となる場合が多い。本技術で採用した保護層は安定性の高い無機系シリカであり、新規な微粒子系材料と成り得る。
新技術の特徴
・シリカ保護層を形成することで金界面の腐食防止ができる
・シリカコートによって従来の水溶性のみから多種の媒体への高分散性を実現
・保護層形成はシリカのエピタキシャル成長で極めて容易
想定される用途
・濃縮金微粒子系塗料
・電気電子および光デバイス
・バイオセンサ
- 分析
3)網羅的な分子のひっぱり試験による新規分子解析技術
山梨大学 工学域 機械工学系 助教 浮田 芳昭
新技術の概要
本技術は、1分子同士で形成される分子複合体(結合体)の結合力を数100以上並列して測定できる新規の分子力学測定法である。多数の分子複合体の結合力を網羅的に解析することで、分子結合力をスペクトルとして計測可能であり、分子の結合形態や構造の多様性を調べることができる史上初の技術である。
従来技術・競合技術との比較
分子間相互作用の評価手法としては表面プラズモン共鳴法(いわゆるビアコア)が信頼を得ているが、本技術は1分子毎にひっぱり試験を行うことで結合力を調べる点でこれとは原理的に全く異なると言える。敢えて類似の技術を上げるのであれば原子間力顕微鏡による力学測定法が原理的に最も近いと言えるが、本技術はスループットの点でこれよりも圧倒的な優位性がある。
新技術の特徴
・ひっぱり試験に基づく分子複合体の結合力測定法
・数100以上の結合力の網羅的測定を確立
・結合力スペクトルを指標とする新たな分子評価手法
想定される用途
・バイオマーカー解析(検査・診断)
・分子構造解析(基礎科学)
・創薬における分子設計ツール
- デバイス・装置
4)高周波において銅線に代わる低損失線材(高周波用超伝導線材)の開発
山梨大学 工学域 電気電子情報工学系 准教授 關谷 尚人
新技術の概要
従来の超伝導線材は直流では無損失であるが、高周波では損失が大きすぎるためその応用は未開拓であった。本発明では高周波で低損失を実現できる高周波用超伝導線材を開発し、それを様々な装置に応用することで飛躍的な性能改善が期待される。
従来技術・競合技術との比較
銅線を使ってコイルや共振器を形成する装置で、特に高感度を必要とする信号検出装置に高周波用超伝導線材を用いることで、従来では実現することができなかった装置の性能改善が可能となる。
新技術の特徴
・銅線に比べて超低損失
・コイル(共振器)に応用することで飛躍的に高いQ値を実現可能
・ワイヤレス電力伝送に応用すると伝送効率を改善できる.
想定される用途
・ワイヤレス電力伝送(非接触給電)
・NMR,MRI,NQRを計測するためのRFコイル
・金属製品の異常検出
- 環境
5)自然エネルギー及び地下水などを利用した温調システム
山梨大学 工学域 機械工学系 准教授 鳥山 孝司
新技術の概要
本システムは、ビニルチューブ内に地下水などの恒温水を通水し、それを熱交換として用いることにより温調するものである。冬場においても地下水の通水のみで春の陽気を容易に実現できる。設定温度に追随しやすくなるよう、圧縮空気を同時注入する手法も考案されており、年間を通した農作物の育成や、居住空間の温調にも適用可能である。
従来技術・競合技術との比較
ビニルハウスに重油式ボイラや電気を用いたエアコンを使用した場合と比べて温調性能はやや悪いものの、約10分の1以下のランニングコストであるというメリットがある。なお、エアコンの熱交換器部分を地下にする地中熱ヒートポンプという技術もあるが、こちらはおよそ3分の1程度のランニングコストとなるので、それよりもランニングコストが低いという特徴がある。
新技術の特徴
・従来の10分の1以下の低ランニングコストで温調が可能
・圧縮空気を用いて内部の流れを改善し、より素早い温調が可能
想定される用途
・年間を通して育てる農作物用のビニルハウスの温調
・工場などの温調
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
山梨大学 研究推進・社会連携機構 社会連携・知財管理センター
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