横浜国立大学 新技術説明会
日時:2017年06月22日(木) 12:55~15:30
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、横浜国立大学
後援:特許庁
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)多成分の材料系に適用できる微粒子分散技術とその応用例
横浜国立大学 大学院環境情報研究院 人工環境と情報部門 准教授 飯島 志行
新技術の概要
本新技術はカチオン性高分子と、各種脂肪酸やアニオン性界面活性剤との会合体を設計し表面修飾剤として利用する微粒子分散技術であり、一般に困難とされる表面官能基が少ない微粒子に対する表面修飾や、複数種類の微粒子を同時に扱う多成分系分散体の分散状態と粒子集合構造の制御を実現可能とする技術である。
従来技術・競合技術との比較
本新技術は、従来、修飾が困難であった微粒子の表面設計や、複数種類の材料からなる微粒子の集合構造制御を可能とする技術である。本技術の適用により、特異微構造をもつ複合材料や、微粒子の分散状態を反映した複雑形状成形体の設計が可能となり、複合材料の階層構造設計に基づいた新機能創出に繋げることができる。
新技術の特徴
・面官能基が少ない金属微粒子等、従来表面修飾が困難とされる微粒子に対する表面修飾を実現できる
・溶媒中における複数種類の微粒子の凝集生成防止、分散安定化と粒子集合構造の制御が容易に実現できる
・複数種類の原料微粒子の分散状態や集合構造を制御しながら、複雑形状成形体を製造できる
想定される用途
・これまで表面修飾が困難であった微粒子に対する表面修飾、表面機能化や分散安定化技術
・ポリマーコンポジット製造工程におけるフィラー粒子の凝集生成防止、配列制御とワニス増粘防止技術
・原料微粒子の分散・集合構造が制御された、セラミックスや粉末冶金用途を例とした複雑形状成形体の製造
- 材料
2)CNT複合糸、布地による感熱センサー、熱電エネルギーハーベスティング素子
横浜国立大学 大学院工学研究院 知的構造の創生部門 准教授 大矢 剛嗣
新技術の概要
本新技術は、極めてフレキシブルかつ大変身近な材料に適用可能な熱電変換デバイス技術である。p型、n型それぞれの半導体性カーボンナノチューブ(CNT)を糸に複合化し、それを用いゼーベック効果による熱電変換を行う。CNT複合糸は主に感熱センサー、織物にした布地では熱電エネルギーハーベスティング素子として応用展開する。
従来技術・競合技術との比較
本技術は、従来と比較して、極めてフレキシブル、大変身近な材料に適用可能、同様の特徴を持つ技術に比較して高効率である。化合物半導体熱電変換デバイスは堅硬でありウェアラブルなど柔軟性が必要な分野には不適、CNT複合化高分子インクを用いたフレキシブルデバイス研究もあるがpn接合数や熱的構造制御等の面で本技術が優位である。
新技術の特徴
・従来に無く極めてフレキシブル、かつ大変身近な材料に適用できる。
・利用温度域が、殆ど未活用の低温域(~150℃程度)である。
・布地状にする事でpn接合数の飛躍的向上、及び布地構造を活かした断熱設計、等々により変換効率が高い。
想定される用途
・ウェアラブルセンサー(ヘルスケア等)分野でのセンサーや電源。例えば、ヒトや動物の体温で発電する熱電エネルギーハーベスティング素子。
・家庭内見守りシステム等のセンサーネットワークのセンサーや電源。例えば、壁紙、家具、インテリア等に用い、生活環境内温度差により発電する熱電エネルギーハーベスティング素子。
・ビニールハウス内センサーネットワーク等の農業分野でのセンサーや電源。例えば、ハウスの室内外温度差により発電する熱電エネルギーハーベスティング素子。
関連情報
・展示品あり
- 材料
3)蛍光色変化が目視では識別できないフォトクロミック分子
横浜国立大学 大学院工学研究院 機能の創生部門 助教 中川 哲也
新技術の概要
光照射によって蛍光特性が可逆的に変化することに加え、その蛍光特性変化が目視においては認識されない「不可視蛍光変調性」を有する、全く新規な蛍光性フォトクロミック分子である。
従来技術・競合技術との比較
従来のフォトクロミック分子は可視領域で蛍光色変化を示すが、今回報告する物質は蛍光色変化が目視で認識されない従来にない極めて稀な蛍光性フォトクロミック分子である。従来にないセキュリティ用途への応用が期待される。
新技術の特徴
・光照射によって「蛍光波形」を可逆的に制御することができる。
・光照射によって不可視蛍光変調を起こすことができる。
・二重蛍光特性を温度・光照射によって制御することができる。
想定される用途
・蛍光性セキュリティインク
・蛍光性セキュリティタグ
・バイオイメージング(細胞内温度分布の一細胞レベルでのイメージング、等)
- 材料
4)セラミックス及びセラミックスプロセスチェーンを革新する新観察方法
横浜国立大学 大学院環境情報研究院 人工環境と情報部門 教授 多々見 純一
新技術の概要
本技術は、セラミックスプロセスチェーンである、粉体作成・スラリー調整・成形体・焼結体における構造形成過程をリアルタイム、3次元、且つ高分解能で観察できる唯一の方法であり、セラミックスの内部欠陥除去だけでなく、セラミックスの製造プロセスの革新や新しい機能を付加したセラミックスの開発に不可欠となる新技術である。
従来技術・競合技術との比較
経験や勘に依存することが多かったセラミックスプロセスチェーンに対して、従来は光学顕微鏡、X線CT、超音波CTなどの観察手法が検討されてきたが、いずれも、リアルタイム、3次元、高分解能のすべてを満足する技術ではなかった。本技術は新しい観点に基づく観察手法であり、セラミックス産業の革新化を目指すものである。
新技術の特徴
・他分野で汎用化が進展している導入可能な観察技術
・リアルタイム、3次元、高分解能を実現できる唯一のものつくりプロセスに対する観察技術
想定される用途
・セラミックス製造プロセスの構造形成過程の可視化を通じてのプロセスの革新
・低欠陥セラミックスの製造プロセス開発
・高機能セラミックス(透明セラミックス、配向セラミックス、積層セラミックスなど)の製造プロセス開発
関連情報
・デモあり
- アグリ・バイオ
5)特異的阻害剤を用いた新規なルシフェラーゼアッセイ
横浜国立大学 大学院環境情報研究院 自然環境と情報部門 教授 平塚 和之
新技術の概要
ルシフェリンを基質として用いた複数のルシフェラーゼの発光を選択的に阻害するためのルシフェラーゼ分子に特異的な阻害剤を提供する。反応溶液に当該化合物を添加することによる発光色調の変換や、デュアルルシフェラーゼレポーターアッセイ等に応用可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来型のデュアルルシフェラーゼアッセイは、基質が異なる2種類のルシフェラーゼを使ったり、発光波長が異なるルシフェラーゼ発光をフィルターによって分光することによってそれぞれの発光を分離する手法を用いてきたが、特異的ルシフェラーゼ阻害剤を用いることによって簡便に実施することが可能である。
新技術の特徴
・ルシフェリンを基質とするルシフェラーゼを用いたデュアルルシフェラーゼアッセイが可能
・フィルターによる分離が困難な発光波長帯が重複している場合でもデュアルルシフェラーゼアッセイが可能
・フィルターを用いないので微弱な発光にも対応可能
想定される用途
・新規なデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイへの応用
・ルシフェラーゼアッセイを利用した検出定量系への応用
・ルシフェリンールシフェラーゼ反応による発光色調の変換
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
横浜国立大学 研究推進部 産学・地域連携課 知的財産係
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