ハイインパクトテクノロジー 新技術説明会
日時:2018年10月04日(木) 10:25~14:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、名古屋大学、産業技術総合研究所
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 創薬
1)生体分子情報の解析に基づく中分子薬の新規基盤技術開発に向けたペプチド設計
産業技術総合研究所 人工知能研究センター インテリジェントバイオインフォマティクス研究チーム 研究チーム長 富井 健太郎
新技術の概要
プロファイル比較法を利用した小型タンパク質候補配列の同定とNMRによる分子内水素結合の計測法による小型タンパク質の設計を実施している。
従来技術・競合技術との比較
タンパク質立体構造推定法の一つである高感度のプロファイル比較法(開発手法)を用いた構造予測実験で最高位の実績を有する。また、NMRによる分子内水素結合の計測法は共同研究者である名古屋大学廣明教授の研究室で開発された優れた独自技術である。
新技術の特徴
・小型タンパク質
・分子内水素結合の計測
・安定性向上
想定される用途
・創薬シーズ開発
・ワクチン開発
・新規有用物質開発
関連情報
・外国出願特許あり
- 材料
2)メタン分解カーボンナノチューブの複合材料特性に関する研究
名古屋大学 大学院工学研究科 材料デザイン工学専攻 助教 入澤 寿平
新技術の概要
CO2フリーな水素製造技術としてメタン直接分解法が有効である。この技術では炭素が固相として固定され、好適な触媒の適用によりカーボンナノチューブ(CNT)の大量生産が可能となる。このCNTの有効活用先として高分子複合材料への応用例を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
CNTの高分子複合材料への適用については知見が蓄積されている。一方、メタン直接分解法による水素製造では副生成物として大量のCNTが廉価に供給される可能性がある。このCNTを複合材料に展開すれば、従来CNTでは困難な高配合率複合材料の製造や、低コスト化に資する事ができる。
新技術の特徴
・CNTの大量生成
・高分子複合材料への展開
想定される用途
・自動車用構造材料
・高機能性材料
- 製造技術
3)【都合により当日の発表は中止】 新IV族半導体のトランスファー&ビルトによる新機能集積技術(Heterogeneous Integration)
産業技術総合研究所 ナノエレクトロニクス研究部門 研究主幹 前田 辰郎
新技術の概要
これまでシリコンでは実現不可能だった機能を生み出す半導体材料(ポストシリコン材料)であるSiGeSn系IV族半導体を、様々な基板に転写し、その実用性をデバイス性能として実証した。本手法は様々な機能をモノリシックに集積化するための鍵となる技術である。
従来技術・競合技術との比較
既に実用化されている3次元機能集積SoCには、TSV技術を使ったLSIウエハー積層(CPU + メモリー + センサー + α)があるが、
積層はシリコン ICのみ
ポストシリコン異種材料の積層は想定外
さらなる高密度化、高機能化が困難
等の問題があり、さらなる新機能情報処理には限界がある。
新技術の特徴
・SiGeSn系新材料は低温プロセスデバイス化が可能。3次元集積化に有利
・SiGeSn系にのみならず化合物半導体も転写可能
・多積層化や試作したデバイスを転写して接続することも可能
想定される用途
・モノリシック3D CMOSデバイス
・積層型イメージセンサー
・OEIC
関連情報
・サンプルあり
- エネルギー
4)相分離型省エネルギーCO2吸収剤の高圧領域への応用研究
名古屋大学 大学院工学研究科 化学システム工学専攻 助教 町田 洋
新技術の概要
地球温暖化対策技術として二酸化炭素回収貯留技術CCSが注目されている。名古屋大学、産総研で連携し、CO2吸収時の相分離する吸収剤を開発し、CO2回収の省エネルギー化を進めている。特に本発表では高いCO2分圧を有する天然ガス、複合ガス発電を対象とした技術を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
従来技術はアミン吸収法、吸着剤法、膜分離法などが挙げられる。アミン吸収法は古くから研究や実用化の報告がある代表的な技術であるが、吸収液の再生に大きなエネルギーが必要とされていた。開発技術は従来より温和な条件で再生が可能であり、省エネルギー化に貢献できる。
新技術の特徴
・CO2吸収時に2液相に相分離する
・CO2を省エネルギーで回収できる
・低温で再生する
想定される用途
・CO2分離回収
・CO2回収資源化
・新規分離溶媒
関連情報
・サンプルあり
- 医療・福祉
5)多能性幹細胞の立体培養細胞塊における軸を決める培養装置の開発
産業技術総合研究所 創薬基盤研究部門 医薬品アッセイデバイス研究グループ 上級主任研究員 杉浦 慎治
新技術の概要
下垂体原基となる細胞塊を液性因子の濃度勾配の下で培養できる培養容器としてハイドロゲル拡散チャンバーを開発した。本培養チャンバーは培養容器の構造、ハイドロゲルを保持する特殊コーティング、ハイドロゲルの組成等において工夫がなされている。
従来技術・競合技術との比較
従来技術としてマイクロ流路を使用した濃度勾配の形成方法が知られているが、下垂体原器のように直径数mmの細胞塊を導入することはできなかった。また、マイクロ流路を使用するためのポンプ等、特殊な装置が必要であった。我々の開発した技術では、簡便に細胞塊を濃度勾配の下で培養することができる点が特徴的である。
新技術の特徴
・濃度勾配を数週間に渡って維持できる
・細胞毒性のない材料で構成されている
・直径数mmの臓器原器を簡便に培養することができる
想定される用途
・再生医療用途の臓器原器の製造
・創薬開発の薬剤候補化合物評価のための臓器モデルの製造
・細胞走化性など、濃度勾配に基づく生物現象の評価
関連情報
・サンプルあり
- エネルギー
6)革新的超小型低コスト超電導磁気エネルギー貯蔵技術(SMES)の要素技術開発
名古屋大学 未来社会創造機構 マテリアルイノベーション研究所 元廣 友美
新技術の概要
4インチSiウェハ全面に長さ約100mの螺旋状トレンチを形成、この中に酸化物高温超電導薄膜を配向形成する。ウェハ接合により上下に連結積層、コイルスタックを形成し、スタック単位で品質を管理、スタック数でニーズ容量に対応する。半導体プロセスによる量産低コスト化で、普及型SMESを実現する。
従来技術・競合技術との比較
蓄電容量187kWh/kg(Li電池に迫る)。出力密度600kW/kg(キャパシタを上回る)。寿命20-30年(cf. Li電池:5-15年)。従来SMESの1/100のライフサイクルコスト。充放電サイクル効率:90-97% (cf.キャパシタ:75-98%、Liイオン2次電池:75-90%)。
新技術の特徴
・Si-MEMS技術の活用により重電機器であったSMESのコンパク化ト・量産化・高蓄電密度化
・二次電池、キャパシタ以外の第三の蓄電技術の選択肢の提供
・水素社会における液体水素冷熱の活用
想定される用途
・再生可能エネルギー源などのうち、低電圧源からの電流蓄電
・低速からのエネルギー回生
・変動の多い電力の貯蔵・安定化
関連情報
・サンプルあり
- 材料
7)セラミックスナノ構造体の液相合成と応用展開~SnO2, TiO2, ZnO~
産業技術総合研究所 無機機能材料研究部門 電子セラミックスグループ 主任研究員 増田 佳丈
新技術の概要
常温、常圧、水溶液中にて、高表面積を有するセラミックスナノ構造体をポリマーフィルム等の基材表面に形成することができる。表面を感応部とする用途において有益と考えられる。ガスセンサ、分子センサ、溶液センサ、バイオセンサ、触媒担持材料、親水性制御、疎水性制御、撥油性制御、反射防止膜、光触媒、人工光合成等
従来技術・競合技術との比較
従来、セラミックスは高温焼成により合成されてきた。本研究では、常温・常圧・水溶液にてセラミックスを合成することが可能である。また、結晶成長を制御することにより、高い表面積を有するナノ構造体を形成することができる。ポリマーや金属等の耐熱性の低い基材へもセラミックスのコーティングが可能である。
新技術の特徴
・常温、常圧、水溶液にてセラミックスを合成することが可能
・高い表面積を有するナノ構造体を形成することが可能
・ポリマーや金属等の耐熱性の低い基材へもセラミックスのコーティングが可能
想定される用途
・ガスセンサ
・親水性・疎水性制御
・ポリマーや金属の高機能化のための表面修飾
関連情報
・外国出願特許あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
名古屋大学 研究協力部 社会連携課 産学官連携係
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URL:http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/
産業技術総合研究所 中部センター 産学官連携推進室
TEL:052-736-7365 FAX:052-736-7403Mail:chubu-houkatsu-mlaist.go.jp
URL:https://www.aist.go.jp/chubu/
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