千葉大学 新技術説明会
日時:2019年02月19日(火) 13:30~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、千葉大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- エネルギー
1)化学蓄熱材を用いた未利用熱の有効利用
千葉大学 大学院工学研究院 都市環境システムコース 准教授 劉 醇一
新技術の概要
当研究室では、産業排熱や太陽熱等の未利用熱を有効利用するための化学蓄熱材に関する研究を進めている。今回は、二酸化炭素の吸収放出反応を向上させ、従来の材料よりも低温である500℃での熱出力操作を実現できる化学蓄熱材を中心に紹介する。(サンプルの提供については、応相談)
従来技術・競合技術との比較
製鉄業等から発生する高温排熱を有効利用する手段として、合金系潜熱蓄熱技術や、二酸化炭素を反応媒体として用いる化学蓄熱技術について検討が進められている。化学蓄熱技術は、潜熱蓄熱技術に比べて、蓄熱密度が大きい(約2倍)という利点がある。
新技術の特徴
・化学蓄熱材の化学修飾による操作条件のチューニングが可能
・比較的容易な方法で蓄熱材の合成が可能
想定される用途
・太陽熱の有効利用
・産業排熱等の未利用熱を熱源とした地域熱供給システム
- デバイス・装置
2)マイクロ流体デバイスを駆使する細胞の高度培養・選抜・操作技術
千葉大学 大学院工学研究院 共生応用化学コース 准教授 山田 真澄
新技術の概要
細胞を生体環境を高度に模倣した環境において培養することで、その機能や生存率を向上させることができ、創薬や再生医療などへの応用が可能になる。そのための新技術として、マイクロ流路を用いてコラーゲンチューブを作製し、同時にその内部に細胞(特に肝細胞)を導入する手法について紹介するほか、当研究室の細胞選抜・操作手法についても概説する。
従来技術・競合技術との比較
これまでに様々な細胞培養手法が提案されてきたが、細胞外マトリックス成分を導入し、さらに任意形状に細胞を配置する手法はほとんど報告されていない。そのような技術的課題を解決するための様々な新規手法を開発しているため、今回紹介したい。
新技術の特徴
・タンパク質からなるマイクロメートルサイズのチューブやファイバーを作製できる。
・肝細胞の機能を向上できる新規培養技術を提供できる。
・その他3次元細胞培養、細胞の分離や選抜など、マイクロ流体デバイスを用いた展開が可能となる。
想定される用途
・製薬
・診断医療・再生医療
・基礎研究
- デバイス・装置
3)色素が起電力と出力を増幅する光燃料電池
千葉大学 大学院理学研究院 化学研究部門 教授 泉 康雄
新技術の概要
両極に光触媒を用いる光燃料電池は、発表者らが独自に見出し開発してきた高電圧型電池である。この光燃料電池の光触媒に色素を添加すると、起電力および出力ともに増幅し、単セルで73.1 μW/cm2および2.11 Vにまで改良されることを見出した。
従来技術・競合技術との比較
発表者らの光燃料電池はその動作原理から単セルで2 Vの出力を示す点に独自性がある。本発明により、色素が可視光で励起されることで電池の起電力を増幅するだけでなく、拡散過電圧を下げ電荷分離を促進することで起電力も増幅した点で、競合技術との差別化がより明確になった。
新技術の特徴
・単セルで2 Vを超える、高電圧型電池であること
・貴金属や単結晶材料等、高価な材料が不要な電池であること
・反応性光電極を反応性および伝導度の両面から最適化したこと
想定される用途
・ウェアラブル電源
・小型携帯機器用電源
・バックアップ電源
関連情報
・展示品あり
- 医療・福祉
4)超音波・近赤外蛍光デュアルイメージング用多機能造影剤の開発
千葉大学 フロンティア医工学センター 助教 吉田 憲司
新技術の概要
超音波診断および近赤外蛍光観察の両者で使用可能な多機能造影剤を開発した。造影剤は、超音波造影剤としての気体を内包し、近赤外蛍光造影剤として機能するインドシアニングリーン誘導体を表面部分に担持している。血管、リンパ管などの脈管系を対象としたイメージング技術に利用可能である。
従来技術・競合技術との比較
生体深部の可視化が困難な光イメージングの欠点を、生体に対する良好な深達度を有する超音波を用いて解決する。近赤外蛍光により浅部を、超音波により深部を画像化することで、生体内の脈管走行をシームレスに画像化できることが期待される。
新技術の特徴
・超音波・近赤外蛍光デュアルイメージング
・リアルタイムイメージングが可能
・良好な分解能(サブミリ程度)
想定される用途
・センチネルリンパ節のナビゲーション技術
・リンパ浮腫におけるリンパ機能評価
・各種手術における脈管系のナビゲーション技術
- アグリ・バイオ
5)あらゆる分子に対する多機能バイオセンサを作る技術
千葉大学 大学院工学研究院 共生応用化学コース 准教授 梅野 太輔
新技術の概要
進化分子工学を使った、新しいバイオセンサの創出技術を開発した。この技術を使えば、およそあらゆる分子を標的とするセンサーを作れるだけでなく、その感度調節や、多成分検知・統合なども可能となる。
従来技術・競合技術との比較
FRETなどを使ったバイオセンサと比べると、(1) その製作コストが桁違いに小さい、(2) 標的分子やモチーフに依存せずほとんど何に対してもセンサが作れるほか、(3) 多成分情報を統合するなどということは、本技術にしかできない。(4) 感度可変性をもたせることができるのも大きな特徴である
新技術の特徴
・センサづくりの開発速度
・感度変更が簡単である。
・複数の標的分子を同時に感知し応答する、多入力多出力型のセンサ・コンピュータが作れる。
想定される用途
・環境、飲み水、食品などの安全性確認
・細胞内部情報の可視化技術(研究試薬として)
・微生物ものづくり(医農薬:化成品の生物生産)などにおける生合成育種のスクリーニングセンサ
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