JST知財活用支援事業 新技術説明会 ~材料~
日時:2019年03月05日(火) 13:25~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)アルコール液体をキャリアとする高効率蓄電システム
九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 教授 山内 美穂
新技術の概要
カルボン酸と水から再生可能エネルギ—由来の電力を使ってアルコールを効率良く合成するためのカソード電極、膜電極接合体、およびアルコール合成装置を提供する。本発明技術を活用することで、電力の蓄電や送電の効率が大幅に向上し、再生可能電力の需給のギャップが解消する。
従来技術・競合技術との比較
気体や金属を利用するためコスト高になる電解水素やバナジウムレドックスフローバッテリーを使った技術に対して、蓄電容量が高く、安価なアルコールを媒体とする本システムの導入により、蓄電にかかるコストを大幅に低減できる可能性がある。
新技術の特徴
・大きな蓄電容量
・扱いやすい液体キャリアの利用
・化学的安定かつ安価なTiO2触媒の利用
想定される用途
・余剰電力の蓄電
・エネルギーキャリアを使った長距離のエネルギー輸送
・余剰電力を利用した有用物質生産
関連情報
・外国出願特許あり
- 材料
2)金属酸化物メソ結晶の開発と応用
神戸大学 分子フォトサイエンス研究センター 准教授 立川 貴士
新技術の概要
金属酸化物メソ結晶は、金属酸化物のナノ粒子が、三次元的に規則正しく配列した多孔性の超構造体である。発明者らは、トポタクティック転移を利用した新たな製造方法により、従来のナノ粒子系と比べ格段に高い電気伝導性や光触媒活性を有する金属酸化物メソ結晶を開発した。
従来技術・競合技術との比較
界面活性剤を用いてナノ粒子を自己組織化する従来手法と異なり、前駆体となる結晶の焼結処理や水熱処理によって簡便に金属酸化物メソ結晶を合成できる。組成、サイズ、形状、結晶配向の制御も容易であり、酸化還元反応の選択性向上など、用途に応じた金属酸化物メソ結晶を得ることができる。
新技術の特徴
・ナノ粒子の三次元構造化
・金属酸化物メソ結晶の組成、サイズ、形状、結晶配向制御
・従来のナノ粒子系をはるかに凌駕する電気伝導性、光触媒活性
想定される用途
・光触媒
・電極材料
・コーティング材料
関連情報
・サンプルあり
- 材料
3)多様な材料を接着・改質・還元するカテコール含有ランダム・ブロック共重合体
東北大学 材料科学高等研究所 デバイス・システムグループ 准教授(ジュニア主任研究者) 藪 浩
新技術の概要
カテコール基は、接着性、還元性や配位性を有する官能基として知られている。当研究室では、カテコール基を側鎖に持つ合成ランダム・ブロック共重合により、ナノインプリント用接着剤、ナノ粒子の有機溶媒への分散、接着性ハイドロゲル、ナノ粒子合成用の還元剤やイオン伝導性を活かしたプロトン伝導体などへの展開を行なっている。
従来技術・競合技術との比較
本技術は、ムール貝の接着タンパクに着目して研究しており、近年、需要が高まっている異種材料間の接着材料の開発につながる。また、従来接着が困難であった、ハイドロゲルなどの接着にも応用可能である。更に、材料自身の還元能やイオン伝導性を利用して、ナノ粒子作製やイオン伝導体などへの展開も可能である。
新技術の特徴
・多様な材料に対する接着力
・金属イオンを還元できる還元能
・プロトン伝導性などのイオン伝導性
想定される用途
・接着剤
・ナノ粒子合成用還元剤
・プロトン伝導体
関連情報
・外国出願特許あり
- 材料
4)多孔性配位高分子(PCP/MOF)の実用化を目指した新しい賦形技術
大阪府立大学 大学院工学研究科 物質・化学系専攻応用化学分野 助教 堀内 悠
新技術の概要
粉末状の多孔性配位高分子(PCP/MOF)を、バインダー等の添加剤を用いずに、簡便に賦形する技術である。賦形に際し、柔軟性マクロ多孔性材料である「マシュマロゲル(MG)」を利用することで、PCP/MOFの種類を問わず、高充填量、かつPCP本来のガス分離性能を維持した賦形が達成される。
従来技術・競合技術との比較
PCP/MOFの賦形技術は確立されておらず、また骨格組成の多様性ゆえ、賦形剤も各PCP/MOFに対して選定する必要がある。一方、本発明は、MGのスポンジのような吸液性に基づき、PCP/MOF懸濁液にMGを浸漬するのみでPCP/MOFをMG内部に充填する技術であるため、PCP/MOFの種類を問わず利用でき、汎用性が高い。
新技術の特徴
・柔軟性を有するマクロ多孔性材料を利用した、PCP/MOFの簡便な賦形技術
・高充填量、かつバインダー等の添加剤を用いずに、PCP/MOF本来の性能を維持した賦形化を実現
・PCP/MOFの種類を問わず、幅広く賦形化が可能
想定される用途
・ガス分離、ガス貯蔵技術
・有害物質等の吸着除去技術
・触媒的物質変換技術
関連情報
・外国出願特許あり
- 材料
5)水溶液からキャストや紡糸やゲル形成の出来る高性能ポリマー
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 環境・エネルギー領域 教授 金子 達雄
新技術の概要
バイオ由来芳香族アミノ酸である4-アミノ桂皮酸の光二量体を出発として得られるポリイミドなどが最高366℃の高耐熱と66%以上の溶解度を持つ水溶性を示したため、水溶液からフィルムや繊維を得ることができた。
従来技術・競合技術との比較
元来水溶性ポリマーは耐熱性が低く200℃を超えるものは見つからない。一方、高耐熱高分子は一般に溶解性を示さず加工性は悪い。ポリイミドで水溶性を示すという例はあるが溶解度はかなり低く水溶液を用いた加工は困難であった。
新技術の特徴
・アミノ酸から水溶性ポリイミドなどの高性能ポリマーを作成
・水溶性高性能ポリマーは水溶液から湿式成形が出来、成形後に水に不溶化も可能
・架橋により高性能ポリマーからなるハイドロゲルを初めて作成
想定される用途
・有機溶媒を使用しないので高性能ポリイミドの医療機器分野への活用が可能
・高耐熱ポリマーの安全なコーティング
・ゲルを凍結乾燥することで高耐熱スポンジを作成
関連情報
・サンプルあり
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