ロボティクス 新技術説明会
日時:2018年07月31日(火) 13:00~14:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、和歌山大学、高知工科大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 機械
1)移動プラットフォームの姿勢制御,及び,段差移動制御技術
和歌山大学 システム工学部 システム工学科 機械電子制御メジャー 教授 中嶋 秀朗
新技術の概要
四輪の移動体が移動可能な段差の高さには限界がある。本技術は、車輪直径の8割を超えるような段差高さに対しても、四輪を接地させたまま、かつ、搭乗部(搭載部)の姿勢を水平に保ちながら移動できる移動制御手法の提案である。
従来技術・競合技術との比較
手動車いすの前輪を段差の手前で持ち上げるような機構や、移動体の本体の姿勢を回転させる手法などが提案されてきた。ただし、路面とタイヤの摩擦状況などに依存するものの、自動車のような同程度の大きさの車輪で構成される四輪の移動体の段差対応高さは、車輪直径の6割程度までに限定されていた。
新技術の特徴
・車輪直径の8割を超える段差も移動できる
・その他の凹凸不整地でも搭乗部(搭載部)の姿勢を水平に維持したまま移動が可能
・車輪をベースにした移動のため、高速性能、省エネルギ性が高い
想定される用途
・パーソナルモビリティ(電動車いす、移動支援機器)
・見回りロボット、運搬ロボット
・各種サービスロボットの移動台車部
- 情報
2)可視光カメラを用いた特殊カメラ画像の高解像度化
和歌山大学 システム工学部 システム工学科 知能情報学メジャー 教授 和田 俊和
新技術の概要
遠赤外線やTime of Flight(TOF)カメラなどの高価な特殊カメラで撮影された低解像度特殊画像を、安価な高解像度の可視光カメラ画像をガイドとして高解像度化する、Local Trilateral Upsamplingについて述べる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術であるBilateral Upsamplingでは、低解像度特殊画像に存在しガイド画像に存在しないテクスチャ(模様)があると,高解像度化処理によってぼやけてしまう。これを解決するために特殊画像もガイドに用いるTrilateral Upsamplingでは十分な高解像度化が行えない。本発明ではこれらの2つの問題点を解決している。
新技術の特徴
・低解像度特殊画像とガイド画像にテクスチャの不一致があっても、特殊画像の高解像度化が行える。
・可視光カメラに外乱光が入射してガイド画像が乱れても、結果画像の乱れは最小限に抑えられる。
・この安定性にもかかわらず、低解像度特殊画像を可視光カメラと同程度の高解像度画像に変換しノイズも除去できる。
想定される用途
・TOFカメラ画像の高解像度化とノイズ除去による、自動運転への応用
・遠赤外線画像の高解像度化とノイズ除去による、製品検査への応用
・ステレオカメラと高解像度カメラを併用した、超遠距離立体物の検出
- 機械
3)汎用ロボットハンドとロバスト把持戦略による組立作業の実現
和歌山大学 システム工学部 システム工学科 機械電子制御メジャー 講師 土橋 宏規
新技術の概要
本技術は、製造業における多種多様な形状の部品を冶具レス・外界センサレスでも精確に把持し、組立作業を実現するための汎用的なロボットハンドの機構、ならびにその把持戦略に関するものである。本技術を利用することで、ロボットによる変種変量生産の効率化が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の汎用ロボットハンドの多くは機構が高自由度であり、また、部品を精確に把持するためには外界センサで部品の状態を認識し、それに応じてハンドを制御する必要がある。一方、本技術では低自由度機構の汎用ロボットハンドと予め計画した把持戦略により、非整列部品でも外界センサレスでロバストに整列させ、精確な把持を実現できる。
新技術の特徴
・ロボットハンドの機構は低自由度であり、制御方法も簡単である
・多種多様な形状の部品を把持できる
・冶具レス・外界センサレスでも部品の位置決めをロバストに実現できる
想定される用途
・対象物の位置・姿勢誤差の吸収/位置決め
・組立作業
・配膳作業
- 機械
4)「立つ」しくみのモデリングに基づくヒトのバランス評価
高知工科大学 大学院工学研究科 基盤工学専攻 講師 園部 元康
新技術の概要
年齢や体形に応じて異なるヒトのバランス能力を正確に把握することは難しい。本研究では、床面揺動実験を通じてヒトのバランス制御をモデル化し、個人差を明らかにする。この結果、ヒトが視覚情報を使って巧妙に揺れを低減していることが示された。これらの成果はバランス評価機器や輸送機器への応用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
ヒトのバランス評価に制御工学的な概念を適用すると、「応答の再現性」と「複雑な時変システムのモデル化」に問題があった。本研究では、解析対象を「足関節戦略の0.7Hz以下の定常応答」に大幅に簡略化することでマクロ的に個人差を特定する。キーとなるのは、床面の速度に応じて身体を傾ける反応のモデリングである。
新技術の特徴
・データの信頼性(床面揺動と応答の相関性と再現性を重視)
・大幅な単純化によってバランスにおける支配的な特徴のみを抽出
・電車やスノーボードの乗り手が故意に後ろに身体を傾ける現象の合理性の説明
想定される用途
・バランスの評価(老化による転倒予防、スポーツ選手のトレーニング効果の計測)
・視覚による代償効果の測定
・立ち乗り型の輸送機器の開発
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
和歌山大学 産学連携イノベーションセンター
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高知工科大学 研究連携部研究連携課
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