環境・資源 新技術説明会
日時:2018年12月06日(木) 13:25~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、秋田産学官共同研究拠点センター
後援:特許庁、関東経済産業局、秋田県、秋田県商工会議所連合会、秋田科学技術協議会
発表内容一覧
発表内容詳細
- 環境
1)大量浮遊細胞を対象とした汎用細胞内物質導入システム
秋田県立大学 システム科学技術学部 知能メカトロニクス学科 准教授 齋藤 敬
新技術の概要
バッグ状液体容器を側面で2つ連結、連結面には細胞吸着用フィルタが装備されている。細胞を入れる容器にはフィルタと向かい合う容器内面にナノ剣山状の突起があり、反対側の細胞を吸引する容器から、フィルタに細胞群を吸引固定しつつ突起で圧迫、突起内の光酸化触媒により、光照射で細胞膜が一括して穿孔される。
従来技術・競合技術との比較
微生物を含む各種細胞の改良に向け、ウイルスを用いた遺伝子導入法や、物理的に金属粒子を打ち込むパーティクルガン法が使用されているが、前者は遺伝子以外の導入は困難で、後者は多量の細胞の処理には向かない。これに対し本法はスケールアップが容易、かつ細胞膜を直接穿孔するため多様な物質の導入が期待される。
新技術の特徴
・細胞膜の穿孔は一般に細胞死を誘発しやすいが、酸化的な細胞膜穿孔は細胞死を誘発しにくい。
・光触媒/光増感剤を含む微小な突起と細胞壁・細胞膜の接触と光照射により、穿孔を達成。
・微小突起をもつシートとフィルタの間に細胞群を挟みこむことで、大量の細胞を一括処理可能。
想定される用途
・微生物群の細胞内への物質導入
・微生物群の細胞内からの非破壊的な物質抽出
・微生物群への着磁性の追加
関連情報
・サンプルあり
・展示品あり
- 環境
2)フレキシブルな発想を生み出す「やわらかい木」
秋田県立大学 木材高度加工研究所 准教授 足立 幸司
新技術の概要
木材細胞壁のストロー状の通直構造を、揉稔加工により大変形させることで蛇腹構造に変化させる技術。
蛇腹構造の伸縮によって高い三次元変形能を有した木材薄板は、木材の成形性の幅を大きく広げる。
従来技術・競合技術との比較
表面へ切れ込み加工やポリエチレングリコール等の膨潤剤の含浸処理によるフレキシブル化技術はあるが、前者は切れ込みによる表面性の低下、後者は化学薬品による塗装性や接着性の低下があり汎用性に課題があり、本技術は両課題を解決した技術である。
新技術の特徴
・木材薄板を傷つけず揉む加工のため、損傷が目立たず塗装性が損なわれない。
・化学薬品を一切使わずに同等以上の効果が得られる。
・無処理の木材同様に塗装や接着が可能。
想定される用途
・三次元形状のプラスチック成形品の化粧材(インサート成形が可能であることを実験済み)。
・特に、自動車や家電外板など、ホンモノの木を使いたい場面に三次元成形部材として使用可能。
・曲げ木や曲げわっぱなど洋家具や伝統木工芸の技術革新。
関連情報
・サンプルあり
- 環境
3)金属含有ペーストの調製法とその電子材料分野への応用
秋田大学 大学院理工学研究科 物質科学専攻応用化学コース 教授 菅原 勝康
新技術の概要
エレクトロニクス実装分野では微細接続のために導電性接着剤が使用されている。従来この接着剤の中には銀が分散されているが、高価であることから新たな導電フィラーの開発が望まれている。本研究では、導電性を有し、かつ酸化されにくいAl-Si粒子に銀を被覆する方法を開発し、銀単体に替わる新しい導電フィラーを作成した。
従来技術・競合技術との比較
従来、被覆粒子は、電気鍍金、無電解鍍金、蒸着により製造されているが、高価な装置が必要かつ多種の薬品類を使用する。本法は、液相法により、操作が容易かつ低温で合成可能で被覆粒子サイズの制御が可能である。
新技術の特徴
・液相法であり反応条件が温和であること
・鍍金や蒸着のような高価な装置が不要であること
・使用する薬品の数が少ないこと
想定される用途
・導電フィラー
・電極材料
- 環境
4)極性原材料物質への電界印加による高導電性薄膜作製
秋田県立大学 システム科学技術学部 知能メカトロニクス学科 准教授 山口 博之
新技術の概要
酸化グラフェンのような極性を有する原料を用い、高品質グラフェンのような高品質薄膜を作製する方法。剥離・転写工程や触媒のエッチング工程を用いることなく、高品質のグラフェンを絶縁基板上に直接形成することができ、この薄膜を用いることで絶縁基板上に直接、高性能薄膜半導体装置を低コストで大面積の領域に形成できる。
従来技術・競合技術との比較
z軸方向に電界を印加することで酸化グラフェンのz軸方向の向きを固定したうえで、電界の方向をy軸回転方向に首振りさせると、酸化グラフェンは、電界の方向にその双極子の向きを追随させる。その結果、基板平面上に炭素原子が二次元的に配列した膜質の良好なグラフェンが得られる。
新技術の特徴
・優れた電気伝導性を有したp型透明導電膜を作製できる
・簡便で低コストのプロセス(導入が容易)
・化学的ドーピングをしないので残留ドーパントによる副作用を回避できる
想定される用途
・透明導電膜ITOの代替
・雷撃からの保護膜
・帯電防止シート
- 環境
5)ネオジウム磁石をしのぐ世界最強磁石になりうる正方晶FeCo
秋田大学 大学院理工学研究科 物質科学専攻材料理工学コース 講師 長谷川 崇
新技術の概要
現在の世界最強の磁石はネオジウム磁石であるが、本技術は、この性能を大きく超える可能性を有する正方晶FeCo磁石を、薄膜で合成するものである。(バルク化は今後の課題である。) FeCoは、通常では立方晶(正確にはbcc)をとるが、結晶構造を正方晶(bct)化することで磁気特性が飛躍的に向上する。
従来技術・競合技術との比較
現在の世界最強の磁石はネオジウム磁石であり、磁石性能の指標として最も一般的に用いられるBHmaxは約500 kJ/m^3である。それに対して本技術の正方晶FeCoは、理想的な組織制御ができた場合には、磁石性能値はネオジウム磁石の約2倍と見込まれる。
新技術の特徴
・超強力磁石
・レアアースフリー
・薄膜でも高性能
想定される用途
・高性能モーター
・磁気記録媒体
・磁気センサー
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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