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福岡大学 新技術説明会

日時:2018年05月15日(火) 09:55~14:55

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、福岡大学

後援:特許庁、関東経済産業局

発表内容詳細

  • 製造技術

1)化学的修飾によるポリエチレンの超撥水性化

福岡大学 工学部 化学システム工学科 助教 中野 涼子

新技術の概要

ポリエチレン(PE)改質機能を有するジブロック共重合体によって、従来撥水性であるポリエチレン(PE)のより強い撥水化を実現(接触角:約90°→約120°)。さらに、同様の改質手法によりPE不織布表面を改質することで、液状の水ははじくが、水蒸気は通す不織布の作製に成功した。

従来技術・競合技術との比較

高結晶性であり極性の低いPEの改質に、一般的にはプラズマ処理等の物理的手法を用いているが、対象物によっては改質が不十分な箇所が生じる。PE改質機能を有するジブロック共重合体の希薄溶液による浸漬処理とすることで、均一な改質ができ、この問題を解消した。また、PEフィルムだけでなく、不織布の改質も実現した。

新技術の特徴

・従来のプラズマ処理よりも簡易な手法でPE表面の改質が可能
・PE表面を強い撥水性に改質が可能
・PE不織布表面を強い撥水性(接触角120°以上)である一方、水蒸気は透過できるよう改質が可能

想定される用途

・医療用ガウン(患者着等)、クリーンルーム用作業着
・防水シート

  • 環境

2)竹の土系舗装への活用法

福岡大学 工学部 社会デザイン工学科 教授 佐藤 研一

新技術の概要

日本では放置竹林が問題となり、この伐採された竹材の有効利用が急務となっている。竹は高い繊維質で引張強度に非常に強い性質を持っている。そこで、この特性を生かして土系舗装材料へ有効活用する方法と施工事例について説明する。

従来技術・競合技術との比較

従来の土系舗装は、引張り強度が弱く、ひび割れ等による長期耐久性が問題となっている。これに対して、竹チップを用いた新しい舗装材料は、竹繊維の持つ引張強度により、ひび割れが起こらず、さらには透水性に優れ、雑草も生えづらい自然にやさしい土系舗装であり、放置竹林問題解決に有効な工法である。

新技術の特徴

・竹の有効利用
・土系舗装の耐久性向上
・放置竹林問題解決

想定される用途

・公園・緑地・遊歩道などの歩道への適用
・広場・駐車場への適用

関連情報

・サンプルあり
・展示品あり

  • アグリ・バイオ

3)超回復!うま味が拓く筋肉のトビラ

福岡大学 スポーツ科学部 運動生理学 教授 檜垣 靖樹

新技術の概要

うま味成分のイノシン酸は、骨格筋の基となる細胞(筋管細胞)において、筋収縮のエネルギー源であるグリコーゲンを増加させることを見出した。さらに、筋管細胞のミトコンドリア機能も向上させることを明らかにした。

従来技術・競合技術との比較

生体内のグリコーゲン貯蔵量は、アスリートの持久的パフォーマンスを決定する要因の一つである。これまで、グリコーゲン貯蔵を促進する方法として、一過性の運動後に高糖質食を摂取する方法が一般的であった。今回、イノシン酸を併用して摂取することで、グリコーゲンの貯蔵量をさらに高めることが明らかとなった。

新技術の特徴

・筋管細胞内および骨格筋のグリコーゲン量が増える
・ミトコンドリアの機能が向上する

想定される用途

・スポーツドリンク
・サプリメント
・ふりかけ、だし

  • デバイス・装置

4)移動物体を低演算量で高精度に検出するレーダ通信方式

福岡大学 工学部 電子情報工学科 教授 大橋 正良

新技術の概要

時間・空間に対して双方に拡散された信号を下地にした信号をレーダ信号とする。返ってきた信号に対し、時間軸における遅延推定と周波数軸におけるドップラー推定を交互に繰り返し、その情報を交換し合うことで、高速かつ高精度の信号検出を可能にする。

従来技術・競合技術との比較

従来レーダ信号に対して最適な推定を行うためには遅延時間時間Δt、物体の移動速度に対応するドップラー周波数Δfの独立な2パラメータ推定となり、N^2のオーダの計算量が必要だが、本特許を用いると2xNの幾度かの繰り返しで最適な推定が行えることが保証され、計算量が劇的に削減される。

新技術の特徴

・ドップラー周波数ならびに時間遅延の最適推定に要する計算量の次元を2次元から1次元に落とせる。
・これまでなら推定に多大な計算量が問題となるような高精度レーダもしくは短時間での探索問題が解決する。
・計算量削減は広帯域なレーダで顕著なので、次世代の広帯域高精細レーダに対する基本技術となり得る。

想定される用途

・自動運転用レーダ
・次世代移動通信用位相同期システム
・リモートセンシング

  • アグリ・バイオ

5)温度感受性表面改質共重合体を利用した細胞シートの作製とその応用

福岡大学 薬学部 免疫・分子治療学 助教 櫨川 舞

新技術の概要

本技術は、細胞培養皿に温度感受性の表面改質共重合体をプレコーティングし培養を行い、酵素処理なしに温度変化と物理的刺激により細胞をシート状に剥離する技術である。本技術は、細胞シートのみならず大量培養の効率化や血液サンプルからの接着細胞の選別等、再生医療分野において応用の可能性が期待できる。

従来技術・競合技術との比較

従来の接着細胞の培養皿からの剥離には、タンパク分解酵素処理を行うが、細胞間の接着も切断されるため単一細胞となりシート構造を維持できない。また、市販の細胞シート用細胞皿は、32℃以下に温度を低下させる必要があり、細胞への低温負荷が危惧されている。

新技術の特徴

・タンパク分解酵素処理不要、低温負荷のない細胞剥離方法
・細胞増殖能も向上することから短時間で細胞シートを容易に回収可能
・安全性の高い細胞シートの作製が可能

想定される用途

・再生医療における生体移植用細胞シートの作製(多層化構造のシート作製を含む)
・血液サンプルからの接着細胞の分離(剥離に時間を要する細胞への応用)
・酵素処理の影響を受けない環境下での細胞表面接着分子の解析への応用(検査・研究分野)

  • アグリ・バイオ

6)フルボ酸鉄シリカによる干潟再生効果(干潟改善によるアサリ漁獲量増大)

福岡大学 工学部 社会デザイン工学科 教授 渡辺 亮一

新技術の概要

干潟再生工法の特色は、下水処理場から排出されるコンポスト及び木屑などを用いた安価な資材(フルボ酸鉄シリカ)を用いて干潟再生を可能にしているところである。この資材は、地域から排出される水処理後の汚泥を用いて、干潟での二枚貝生息量の回復を促し、その効果を定量化した部分に新規性がある。

従来技術・競合技術との比較

フルボ酸鉄を用いた技術はこの他にも数種確認されているが、従来の手法との一番の違いは、フルボ酸鉄の溶出濃度である。フルボ酸鉄濃度の計測が難しいため、他手法での実測値はほとんど示されていないケースが多いが、0.001㎎/L程度と言われている。一方、我々の資材からの溶出濃度は約5万㎎/Lで、従来製品よりも10の6乗倍高いことが比較として挙げられる。

新技術の特徴

・干潟浄化
・アサリ生息量回復
・自然再生

想定される用途

・アサリなどの二枚貝資源回復
・干潟の自然再生
・養殖漁業への転用

関連情報

・サンプルあり

  • 医療・福祉

7)血管拡張効果のある超音波吸引補助装置

福岡大学 筑紫病院 麻酔科 助教 原賀 勇壮

新技術の概要

安全で確実な血管穿刺のために、我々は血管拡張を目的とした超音波探触子に取り付けて皮膚接着面周囲皮膚に陰圧をかけて引き上げる方法および装置の特許を取得した。陰圧に伴い内頸静脈の拡張効果のある事を確認した。

従来技術・競合技術との比較

従来、内頸静脈穿刺は盲目的に穿刺され、内頸静脈に隣接する総頸動脈の誤穿刺で死亡例が生じたため、超音波診断装置で静脈・動脈を確認しながら穿刺を行うことで事故は減少した。しかし超音波探触子の圧迫で静脈が狭小化し、安全な穿刺を行うためには未だ熟練を要する。特に出血や脱水患者は血管が虚脱しており、安全な穿刺は困難である。

新技術の特徴

・健常人での内頸静脈の拡張効果(80, 120, 160 mmHgで150, 160, 174%)が確認できた。
・出血患者や脱水患者での効果の確認はまだ行われていない。
・小児患者、橈骨動脈、抹消静脈での効果の確認はまだ行われていない。

想定される用途

・内頸静脈穿刺時の安全性の向上(盲目的から超音波下穿刺が変化し定着したように、この技術も定着する可能性がある)。
・出血患者や脱水患者では更なる拡張効果の可能性があり、必要不可欠な技術になる可能性がある。
・小児患者や抹消静脈穿刺困難例での効果があれば、さらに市場は大きくなる。しかし、効果がない可能性もある。

関連情報

・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
・外国出願特許あり

  • 材料

8)CNFを用いた機能性ナノマイクロデバイス

福岡大学 工学部 化学システム工学科 教授 三島 健司

新技術の概要

従来技術では製造困難であったセルロースナノファイバー(CNF)を用いた直径数十nm~数μmサイズの機能性ナノマイクロデバイスを、超臨界二酸化炭素を溶媒とし、CNFの化学処理による高分散化及びCNFの化学修飾によるCO2との親和性の制御により可能とした。機能性薬剤・食品、再生医療への応用が期待される。

従来技術・競合技術との比較

薬剤などに広く用いられていたゼラチン、ヒドロキシプロピル メチルセルロース、プルランなどは、直径数ミリ程度のカプセルを製造することはできたが、セルロースナノファイバーを用いた直径数十ナノ~数マイクロメートル程度の微細なカプセルや複合材を作ることは、困難であった。本発明では、これらを可能とした。

新技術の特徴

・セルロースナノファイバーを用いた微粒子コーティングが可能。
・直径数十ナノ~数マイクロメ―トルオーダーの機能性高分子微粒子の製造が可能。

想定される用途

・医薬品
・機能性食品
・化粧品

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

福岡大学 産学官連携センター

TEL:092-871-6631 FAX:092-866-2308
Mail:sanchiアットマークadm.fukuoka-u.ac.jp
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