福島大学 新技術説明会
日時:2018年09月27日(木) 10:00~11:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、福島大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)ガラス状炭素(グラッシーカーボン)の用途拡大を目指して
福島大学 共生システム理工学類 産業システム工学専攻 准教授 中村 和正
新技術の概要
高温構造部材、材料製造冶具、作用電極などに使用されているガラス状炭素(グラッシーカーボン)の用途拡大を目指し、カーボンナノファイバー強化C/Cコンポジットの耐摩耗性向上、イオン注入による表面特性改質を行った。また、高温や酸化性溶液での使用を想定し、耐酸化性付与とそのメカニズムの解明による機能性向上への見通しについても時間があれば紹介する。
従来技術・競合技術との比較
市販のカーボンナノファイバーへ溶液処理を行うことで、従来のカーボンナノファイバー強化C/Cコンポジットよりも耐摩耗性が優れたC/Cコンポジットを作製できた。ガラス状炭素表面への幾つか異なったイオンを注入することで、炭素材料表面の低摩擦係数化や親水化が実現できた。
新技術の特徴
・耐摩耗性を有するカーボンナノファイバー強化C/Cコンポジットが作製できること
・イオン注入による表面特性改質によりガラス状炭素の幅広い利活用が可能になったこと
・既存産業の製造プロセスを応用展開できること
想定される用途
・微細組織を生かした軸受けなどの摺動部材として使用できる
・表面低摩擦材や親水接合性材料として利用が想定できる
・金属材料よりも過酷な環境下での使用の可能性が見込める
- 材料
2)鉱物を利用した放射性セシウム最終処分システムの提案
福島大学 共生システム理工学類 環境システムマネジメント専攻 准教授 大橋 弘範
新技術の概要
通常ではこの鉱物(ポルサイト)を合成するには、800℃以上の高温が必要とされていたが、水熱合成の技術を用いることで150-180℃での低温での合成を可能にしている。また、水熱合成時に出た廃液は工夫することで繰り返し利用が可能である。なお180℃の水熱合成は、高圧ガス保安法に規定される高圧ガス(1 MPa) に該当しない。
従来技術・競合技術との比較
放射性セシウムの封じ込めの方法として、プルシアンブルーの骨格への取り込みやゼオライトへのイオン交換、ジオポリマーへの取り込みなどが挙げられているが、取り込み骨格が酸塩基に弱かったり、水溶液接触でセシウムイオンが脱離したりという問題がある。本方法は、骨格が酸塩基に対して溶解せず、また通常のゼオライトのようにセシウムイオンがイオン交換しない。
新技術の特徴
・放射性セシウムを漏れ出ない形に化学変換することができる
・低温合成かつ高圧ガス保安法の制限を受けないため、大規模な設備を必要としない
・工夫することで水熱合成時に出る廃液を繰り返し利用可能
想定される用途
・濃厚放射性セシウムの漏出のない堅牢な封じ込め
・中間貯蔵施設で出た放射性セシウムの処理・封じ込め
・中間貯蔵施設での処理を必要としないその場での変換
- 材料
3)所望の色や機能を創り出す複合分子の精密合成法
福島大学 共生システム理工学類 産業システム工学専攻 教授 大山 大
新技術の概要
次世代の材料は、所望の機能を効果的に発現させるため分子レベルの構造制御が重要となる。今回、理論的・実験的に導かれた分子設計指針に基づき、分子構成要素を精密に組み上げる「ボトムアップ」法に基づいた有機-無機複合分子の合成技術を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
従来の「トップダウン」方式で合成された材料では、色や多様な機能を制御することは難しい。本技術は、①量子化学計算により導かれた有機物、②柔軟な分子構造を構築できる遷移金属、の両者を分子レベルで精密に組み上げることが可能で、結果的に所望の機能を狙い通りに付与できる。
新技術の特徴
・理論ならびに実験的アプローチによる最適な分子構成要素の提案
・精密化学合成による合目的分子の構築
・ナノレベルの構造制御による様々な色・機能の創出
想定される用途
・太陽電池用色素
・光触媒
・各種色素材料
- 材料
4)新規アミン酸化酵素によるバイオマスからグリコールアルデヒドのone-pot合成法および各種アルデヒドの製造方法
福島大学 共生システム理工学類 産業システム工学専攻 教授 杉森 大助
新技術の概要
バイオマス中のリン脂質に酵素を作用させるだけで、高収率でグリコールアルデヒド(GA)に変換する酵素技術を紹介する。GAはアミノ酸、医薬、農薬、写真用薬、あるいは、特殊ポリマーの原料として、また、繊維処理剤、着臭剤、脱臭剤として有用な化合物である。今回の発表では、様々な脂肪族、芳香族アミンからワンポットでアルデヒドを合成する酵素変換法を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
現在GAは、高温条件下、金属触媒を用いた化学法によりエチレングリコールから製造されている。一方、新技術では酵素を利用した温和な反応条件でバイオマス由来脂質からGA製造が可能である。
新技術の特徴
・温和な反応条件でグリコールアルデヒド(GA)を生成できる。
・脂質を含むバイオマスからGAを製造できる。
・様々な一級アミンをアルデヒドに変換可能である。
想定される用途
・グリコール酸、グリオキシル酸の合成原料グリコールアルデヒド製造法の提供
・脂肪族、芳香族アルデヒドの製造法の提供
・化学法では合成困難な各種アルデヒドの合成法の提供
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
福島大学 研究振興課
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