岩手県立大学 新技術説明会
日時:2018年08月02日(木) 13:30~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、岩手県立大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 情報
1)ビーコンを用いた屋内測位技術の開発とその応用
岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 ソフトウェア情報学科 准教授 堀川 三好
新技術の概要
研究グループが開発したBLEビーコンやWi-Fi等の受信信号強度(RSSI)を用いた3つの屋内測位技術(歩行者ナビゲーション、O2O、生産・物流)を紹介します。また、応用として屋内測位技術を組み込んだスマートタグのプロトタイプ、ドローンの自動誘導、RSSIとCNNを組み合わせたマルチモーダル学習の事例について紹介します。
従来技術・競合技術との比較
従来のRSSIを用いた測位手法に比べ、導入が容易で高精度な測位が可能です。また、位置と状態をリアルタイムに把握可能な提案スマートタグを用いると、単なる動態解析ヒートマップのみでなく、行動分析・環境分析などの新しい形態のヒートマップを作成し、業務改善等に役立てることができます。
新技術の特徴
・利用用途に応じた3つの独自の屋内測位手法
・低コストで導入ができ3m程度の測位誤差を実現
・位置(屋内測位)と状態(センシング)をリアルタイムに把握することができる新しいスマートタグ
想定される用途
・駅や地下街などのGPSが受信できない場所での歩行者ナビゲーション
・店舗におけるO2O(Online to Offline)等、広告・クーポン配信
・生産・物流向け移動するモノを対象としたIoT
- 情報
2)ハンドルを介した自動車運転中の居眠り予兆検知システム
岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 ソフトウェア情報学科 准教授 新井 義和
新技術の概要
安全、確実、快適に自動車運転中の居眠りの予兆を検出するシステムを実現する。具体的には、ハンドルを介して反復的な振動刺激を運転者に与え、運転者がハンドルを握ることによって反応するまでの時間が長い瞬間を居眠りの予兆として検知する。予兆を検知するのみにとどまらず振動刺激によって居眠りを防止する効果も期待できる。
従来技術・競合技術との比較
運転者への刺激とその反応時間に基づく居眠り検知システムが提案されている。音はオーディオや走行音に紛れ、オーディオの使用制限は快適性を低下させる。光は太陽光や周囲の光源に紛れ、表示機の注視は安全性を低下させる。本手法は、運転者が常に触れているハンドルを介して刺激・反応することに特徴がある。
新技術の特徴
・運転者への刺激とそれに対する反応による居眠り検知
・運転の安全性および快適性を損なわない刺激・反応機構
・運転者のハンドルの握り方のくせによらない刺激・反応機構
想定される用途
・自動車運転中の居眠りの予兆検知
・自動車運転中の居眠りの防止
- 情報
3)障がい者向け自動車操縦インタフェース
岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 ソフトウェア情報学科 教授 村田 嘉利
新技術の概要
サリドマイド被害者や重度の脊髄損傷患者は、自動車操縦インタフェースの標準であるハンドルを操作することが難しい。本技術では、足でロードセルを踏む、あるいは稼働可能な関節に取り付けた曲げセンサを曲げることで自動車のパワーステアリングモータを制御し、障がい者が自分の意思で自由に自動車を運転できる。
従来技術・競合技術との比較
従来の足や手首で操作するシステムは機械的機構のため、改造費が高額であった。それに対し、本技術ではセンサとそれらを車体や運転者の関節に取り付ける治具、センサからパワーステアリングモータを制御する制御基板だけの構成である。それ故、改造費が極めて安価であると共に、障害内容に柔軟に対応できる。
新技術の特徴
・障がい者が自分の意思で自動車を運転できる
・装置コストおよび取り付けコストが安い
・障がい内容に柔軟に対応できる
想定される用途
・自動車の運転
・電動車椅子の制御
・その他、各種移動体の操作
- 情報
4)高齢者や障がい者の観光を優しくサポート
岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 ソフトウェア情報学科 教授 阿部 昭博
新技術の概要
本技術は、高齢者や障碍者など身体的制約をもつ旅行者にウェアラブルデバイスを装着し、そこから取得できる心拍数等の身体情報、地形的特徴に関する地理空間情報を統合することで、ユーザの身体的制約(車椅子利用、杖が必要など)に合ったサポート情報をタイムリーに提供し、主体的な体調管理や安心な移動の支援を可能とする。
従来技術・競合技術との比較
本技術では、将来の医療情報との連携も念頭におきつつ、医療行為に含まれない範疇での福祉やユニバーサルデザインの視点から旅行者や同伴者による主体的な体調管理や安心な移動の支援に主眼をおく。そのため、制度面や倫理面の障壁が低く、早期の事業化も可能である。
新技術の特徴
・主体的な体調管理のもとでの、安心・安全なツーリズムを支援
・車椅子利用などユーザの身体的特性と、動的な身体情報、地理空間情報を考慮した移動支援
・旅行会社や自宅家族、同伴者等が場所を選ばず旅行者の体調を見守り可能
想定される用途
・高齢者等の旅行・観光支援
・高齢者等の登山やハイキングの支援
・福祉施設入居者の買物や散歩など外出支援
- 情報
5)農作物の気象リスクに素早く対応できる農業モデル普及システム
岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 ソフトウェア情報学科 講師 南野 謙一
新技術の概要
気象データに基づいて農業モデルの計算、リスク評価、警戒情報の通知を可能にする農業モデル普及システムである。システム開発をせずに、モデル式、リスク評価ルール、警戒情報通知ルールを登録するだけであり、登録済みのものを再利用、カスタマイズすることもできるため、容易に活用できる。
従来技術・競合技術との比較
気候変動に適応するため、早期警戒や栽培管理のシステムに関する技術がある。これらのシステムは特定地域での利用を想定しており、他地域で利用するには気象データの追加やプログラムの修正等が必要となる。また、これらのシステムを開発し易くするフレームワーク等に関する技術もあるが、システム開発の知識が必要となる。
新技術の特徴
・地域の農業研究成果(農業モデル)を素早く活用可能
・モデル式、リスク評価ルール、警戒情報通知ルールのみの登録で利用可能
・登録済みのモデル式、リスク評価ルール、警戒情報通知ルールの再利用、カスタマイズが可能
想定される用途
・農作物の気候リスク管理
・農作物の品質向上のための栽培管理
・IoTセンサーとの連携による農業気象データ管理
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
岩手県立大学 研究・地域連携室
TEL:019-694-3330 FAX:019-694-3331Mail:re-coopml.iwate-pu.ac.jp
URL:https://www.iwate-pu.ac.jp/
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