神奈川大学 新技術説明会
日時:2018年12月04日(火) 13:25~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、神奈川大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 分析
1)溶液中の有機化合物の反応遷移状態を実時間計測できる分光技術
神奈川大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 准教授 岩倉 いずみ
新技術の概要
光を利用して瞬時に電子基底状態の反応(疑似熱反応)を誘起するコヒーレント分子振動励起反応を開発し、溶液中の有機化合物の“熱反応”遷移状態計測を実現した。また、金属イオンを利用して反応基質を会合させ、分子間衝突によるコヒーレンスの消失を回避することで、“分子間反応”の遷移状態計測を実現した。
従来技術・競合技術との比較
従来、閃光時間が数フェムト秒のパルスレーザー光を利用して、分子内光反応に伴う瞬時瞬時の分子構造変化(光反応遷移状態)が計測されてきた。しかし、より一般的な化学反応である熱反応および分子間反応の遷移状態計測は、未開拓領域として残されていた。
新技術の特徴
・光を利用して瞬時に電子基底状態の反応を誘起可能。
・“熱反応”の遷移状態計測が可能
・“分子間反応”の遷移状態計測が可能
想定される用途
・溶液中の有機化合物の化学反応機構解析
・コヒーレント分子振動励起反応(擬似熱反応)の合成への応用
- 情報
2)データ量の大幅圧縮と検索速度向上を実現するデータベースの構成法
神奈川大学 大学院理学研究科 理学専攻 情報科学領域 教授 桑原 恒夫
新技術の概要
データベース上で対抗関係のある二つのカラムに属するそれぞれ複数の項目に共通の上位項目を設けることで、複数の項目のそれぞれ個別の対応関係の記録を省略してデータ量の大幅な圧縮を図り、これにより検索速度も向上させる。
従来技術・競合技術との比較
データベースの検索速度向上は従来インデックス法が用いられてきた。しかしこのインデックス法ではデータ量の圧縮は実現できない。提案方法はデータ量の大幅な圧縮を実現するとともに、検索速度の向上も実現できる。なお本方法はインデックス法と完全に独立なため、両者の併用も容易に実現できる。
新技術の特徴
・データベースのデータ量の大幅圧縮(場合によっては1/10~1/100に圧縮、もしくはそれより小さくなる)
・検索速度の向上(従来のインデックス法に比べても10%~20%以上高速化できる場合あり)
・データの完全性、正規性は保持される。本方法の圧縮によるデータの欠損は全く生じない。
想定される用途
・個別アプリケーションにおけるデータベースの設計
・DBMSの基本機能としての組み込み
- 機械
3)流体制御技術により浮上化した機械装置の非接触変位・姿勢制御
神奈川大学 大学院工学研究科 機械工学専攻 教授 中尾 陽一
新技術の概要
本技術によれば、用途に適した流体を制御供給し、発生させた流体圧力によって機械装置や搬送物体を非接触で支持することができる上、その支持方向の微小変位と被支持体の姿勢を同時に制御することができます。さらに、必要に応じて使用流体の温度を制御することにより被支持体の温度を制御することも可能です。
従来技術・競合技術との比較
流体圧力により機械装置や搬送物体を非接触支持する技術あるいは軸受は、従来からも精密機械装置などで利用されています。一方、本技術は単なる支持機能に留まらず、支持方向の変位と被支持体の姿勢を同時に制御可能にします。使用可能な流体は用途に応じて空気、油、純水を含む水などが考えられます。流体を単なる圧力媒体として利用する以外に、冷却/加熱や洗浄機能を具備させることも可能です。
新技術の特徴
・機械装置や部品の非接触による支持
・被支持体の支持方向変位と姿勢を同時に制御
・被支持体の温度制御も可能
想定される用途
・工作機械/シリコンウエハー加工用スピンドルやテーブル
・ガラスパネル、シリコンウエハー、薄膜等の非接触支持や搬送システム
・食品、医薬品製造に適した非汚染機械装置
- 創薬
4)細胞外では光らないが、細胞に入ると蛍光を発する標識試薬
神奈川大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 教授 小野 晶
新技術の概要
この試薬で標識した核酸、タンパク質、および医薬品などは、細胞外では蛍光を発しない。しかし、細胞に取り込まれると、細胞内のグルタチオンが反応して、蛍光を発する。核酸、タンパク質、および医薬品などが細胞に取り込まれたことがすぐに分かる。
従来技術・競合技術との比較
既存の細胞内でのみ蛍光を発する標識試薬は無い。クリック反応を用いて、簡単に標識できる。
新技術の特徴
・新規構造
・標識が容易
・細胞取り込みの観察が容易になる
想定される用途
・医薬品開発研究
・生命科学研究
・細胞生物学研究
- 計測
5)波動理論による音響レンズの高精度設計技術
神奈川大学 大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻 准教授 土屋 健伸
新技術の概要
音や振動などの波動は、多くの物体を通過する際に、屈折や反射を繰り返す。これらを制御し、伝搬エネルギーを集束させれば高解像度画像センサーとして利用できる。そのj実現手段として、波動理論に基づいた波動の伝搬シミュレーションによる高精度な音響レンズの設計技術を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来の波動集束デバイスには、主にレンズが使用されているが、光学レンズとは波長と開口径の関係が異なるため、従来理論の音線理論による設計では音響・超音波領域では十分な性能が得られなかった。本技術を用いることで音響レンズを高精度に設計することができる。
新技術の特徴
・高性能レンズが設計できる。
・音響や電波を用いたセンサーへの装着することで性能を向上できる。
・小型・省電力の映像装置を実現できる。
想定される用途
・大型AUVに搭載する海底資源探査用の高性能映像装置の設計
・高精度音響レンズ適用による音波探査映像装置の小型化設計
・負の屈折率を持つメタマテリアル材料を用いた平面レンズデバイスの設計
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