材料・デバイス 新技術説明会
日時:2019年01月17日(木) 13:00~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、国立高等専門学校機構、長岡技術科学大学、豊橋技術科学大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)レアメタルの代替材料を異なる遷移金属で提供
明石工業高等専門学校 専攻科 教授 中西 寛
新技術の概要
物質の性質は、その物の電子状態で決まる。JST/ACCEL「元素間融合を基軸とする物質開発と応用」研究において、異なる金属から目的とするレアメタルに酷似した電子状態を作り出す理論を構築した。たとえば、NOx浄化に必要なロジウムは、ルテニウムベースで代替すると原料価格を10分の1程度に抑えることができる。
従来技術・競合技術との比較
これまでの材料探査は、絨毯爆撃的な膨大な試行錯誤的実験によるもので、膨大な研究予算と開発期間が必要であった。本発明によれば原理原則にしたがった理論で目的とするレアメタルを設計することができ、材料探査範囲を効率的に狭めることができる。
新技術の特徴
・効率的な金属材料探査
・供給リスクの高いレアメタルの代替材料を他の金属で代替
・排ガス浄化、燃料改質、燃料電池電極触媒等、それぞれの用途に合った材料の設計。
想定される用途
・自動車排ガス浄化触媒に代表されるガス浄化触媒
・水蒸気メタン改質などに代表される燃料改質触媒
・燃料電池、二次電池、電気分解に代表される電気化学反応の電極触媒
- 材料
2)落雷電流用超熱伝導材料の開発
松江工業高等専門学校 電気情報工学科 教授 箕田 充志
新技術の概要
大型風力発電システムの落雷電流に耐えることのできる、超熱伝導素材を用いた避雷システム(レセプタ)を開発した。本発明は複合素材を用いることで、耐熱性に優れた特性を有する受雷部を構築することが可能となった。風力発電のメンテナンスコストの低減が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
従来のレセプタは落雷電流により融損しやすい。経産省が指示した受雷部の強化は、国内の全風力発電システムのニーズとしてある。本技術は従来のレセプタサイズを変更しなくても、熱伝導特性を著しく向上させたため、経産省の示した基準に対応可能である。
新技術の特徴
・超熱伝導
・風力発電システム保護
想定される用途
・自然エネルギー促進
・電気エネルギー利用
・熱伝導を必要とするシステムでの応用
関連情報
・展示品あり
- 材料
3)磁性体と誘電体の界面の微細構造制御によるスピン輸送伝播
秋田工業高等専門学校 創造システム工学科 物質・生物系 教授 丸山 耕一
新技術の概要
圧電性誘電体と超常磁性体の界面でのエネルギー交換現象を駆使することで、超常磁性の強磁性転移による「情報記憶」とスピン交換力による「情報伝播」を兼ね備えた素子を提案し、これによる多値情報の処理原理を提案する。
従来技術・競合技術との比較
本原理は、電場によるスピン制御、磁場による電場発生という従来のマルチフェロイック物質とは観点の異なる機能性に着目している。この機能性を長距離で発現できれば、スピン波の輸送距離の課題を解決し、スピントロニクス産業の発展をもたらす可能性がある。
新技術の特徴
・誘電体と磁性体の機能を複合し駆使する技術である。
・ロボットや生体への埋め込み機能の可能性のある技術である。
・本提案の原理を実現する素材開発は途上である。
想定される用途
・微小領域のセンサと制御装置のインターフェイス
・生体の情報伝達機能の代替(軟質素材)
・ロボット・輸送機等の構造体への機能埋め込み(軟質・硬質素材)
- デバイス・装置
4)オプトジェネティクスを切り開く高分解能多波長光照射装置
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 環境・生命工学専攻 助教 広瀬 侑
新技術の概要
細胞の活動を光によって制御する技術としてオプトジェネティクスが注目されている。オプトジェネティクス技術の開発のためには、細胞に光を照射し、特定の遺伝子の働きや生理応答を定量する必要がある。我々は紫外から遠赤色までの幅広い光を波長5nm分解能で約100点に分光し、別々の試料に照射する装置を開発した。
従来技術・競合技術との比較
既存の光照射装置では、波長分解能と装置の大きさがトレードオフの関係にあった。本装置は、高い波長分解能と装置の小型化を達成したものであり、生体試料のみならず、物質や材料などの光反応性の調査にも使用できる。
新技術の特徴
・大型スペクトログラフに比べて試料量をおよそ1/1000に削減
・市販のLED光源(波長幅約50nm程度)に比べて、分解能を約10倍に向上
・光量子単位で均一な光を照射できる
想定される用途
・オプトジェネティクス技術の研究開発
・光生物学の基礎研究
・物質や材料の光耐久性の定量
- デバイス・装置
5)見えない分布をすばやく「見える化」できる、液晶波長可変フィルタ
仙台高等専門学校 総合工学科 教授 若生 一広
新技術の概要
農作物生育分布・収穫予測、早期癌発見、工業・食品検査等の分野では、人間の目に見えない/見づらい、多種の「分布」の見える化、識別を小型・軽量な装置で瞬時に行う技術が強く求められています。要求を満足する最も有望な素子であり、超小型人工衛星にも搭載されている「液晶波長可変フィルタ」分光カメラシステムを紹介します。
従来技術・競合技術との比較
従来装置は重く、大きく、機械動作が必要で撮影時間を要していた。また精度、信頼性も十分でなかったため、ドローンへの搭載や手持ちでの分光イメージング測定が極めて困難であった。「液晶波長可変フィルタ」を搭載した分光カメラシステムは、ハンディタイプで小型軽量であり、電気制御のみで高速分光画像撮影が可能である。
新技術の特徴
・可視域~近赤外域 所望の波長画像を1nm精度で撮影可能
・小型、軽量、高速撮影可能(手持ちやドローン搭載可能)
・複数の超小型人工衛星へ搭載され、運用中
想定される用途
・農作物生育分布解析、収穫予測、成分分布分析
・工業製品や食品の品質検査
・医療、保健分野の特徴分布分析
関連情報
・デモあり
・展示品あり
- 材料
6)高機能シリカ系ナノ素材の開発とバイオメディカル応用への展開
長岡技術科学大学 大学院工学研究科 物質材料工学専攻 准教授 多賀谷 基博
新技術の概要
本技術では、石英ガラス製造プロセスとバイオセラミックス工学の融合によって、高機能シリカ系ナノ素材を開発した。具体的に、蛍光診断応用を目指して界面活性剤によって発光種を分散したバイオセラミックス粒子を開発し、さらには、細胞培養基材応用を目指して摩擦法に伴った規則ナノ構造を特徴とする石英ガラス基材を創製した。
従来技術・競合技術との比較
従来のバイオメディカル素材開発において、蛍光診断粒子であれば生体親和性や耐光性などの問題があり、細胞培養基材であれば耐熱性や紫外光領域下での透明性などの問題があった。本技術では、これら全ての問題を石英ガラス製造プロセスとバイオセラミックス工学を融合した高機能シリカ系ナノ素材開発によって解決した。
新技術の特徴
・石英ガラス製造プロセスから派生する新素材開発
・細胞親和性に優れた生体毒性の低い光機能性バイオセラミックスナノ粒子
・高い透明性と耐熱性を有し培養細胞に対し高い生細胞率を実現した細胞培養基材
想定される用途
・光機能性バイオセラミックス製品
・蛍光診断粒子
・高機能細胞培養基材
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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URL:http://www.nagaokaut.ac.jp
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