ものづくり技術 新技術説明会(1)
日時:2018年05月17日(木) 09:55~15:25
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、栃木県産業技術センター、埼玉県産業技術総合センター、千葉県産業支援技術研究所、東京都立産業技術研究センター、神奈川県立産業技術総合研究所、山梨県産業技術センター、静岡県工業技術研究所
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 材料
1)新規ナノサイズセリア粒子分散板状紫外線吸収材
栃木県産業技術センター 材料技術部 無機材料研究室 特別研究員 松本 泰治
新技術の概要
酸化セリウム(セリア)は、高い紫外線吸収能を有するが、機能向上のためにナノ粒子化が求められている。本新技術は、六角板状形態のゼオライト粒子に、イオン交換法でセリウムイオンを導入後加熱して、その板状粒子の内部に10数nmのセリア超微粒子が均一分散して存在するゼオライトを作製した。
従来技術・競合技術との比較
本技術は、セリアナノ粒子がゼオライト粒子内部にあるため触媒活性が無く、従来のセリアナノ粒子で行われている不活化のための表面被覆の必要がない。また、ナノ粒子は強い凝集性があるが、本技術のセリアナノ粒子は板状粒子内部に均一分散していることから、凝集することがなく高効率な紫外線遮蔽効果が期待できる。
新技術の特徴
・ナノサイズセリアの均一分散性による高い紫外線吸収能力
・六角板状粒子形態による高い隠ぺい性と高い塗布性
・シンプルな製造工程による低コスト
想定される用途
・化粧品用紫外線吸収材
・樹脂劣化防止用フィラー
関連情報
・サンプルあり
- 環境
2)有機溶剤を用いた熱可塑性CFRPのリサイクル
埼玉県産業技術総合センター 技術支援室 化学技術担当 専門研究員 坂本 大輔
新技術の概要
有機溶剤を用いて熱可塑性の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を溶解処理することにより、炭素繊維、樹脂および溶剤をいずれも再利用可能な状態で分離回収するリサイクル方法を開発した。
従来技術・競合技術との比較
熱分解法、超臨界法、再成形法等のリサイクル法と比較して、本方法は、CFRPを加熱せずに常温・常圧条件で処理が可能。
新技術の特徴
・常温、常圧の低エネルギーな条件で行えるため、簡易な装置から構成
・粉砕せずに処理前と同じ状態の炭素繊維を回収可能
・炭素繊維だけでなく、樹脂、溶剤も回収可能
想定される用途
・CFRPメーカーから排出される廃材等の熱可塑性CFRPリサイクル
・リサイクル炭素繊維の回収と再利用
- 材料
3)硫酸浴処理による容易な高機能光触媒薄膜の作製方法
千葉県産業支援技術研究所 材料技術室 上席研究員 吉田 浩之
新技術の概要
本技術では、Ti膜に80 ℃の硫酸浴処理またはシュウ酸浴処理を施した後、結晶性の向上のため、大気酸化を施すことでアナターゼを含む酸化チタン光触媒膜を生成できる方法を見出した。
従来技術・競合技術との比較
Ti板上に直接アナターゼを成膜する手法としては、陽極酸化法がある。しかしながら、陽極酸化法では供試体に通電させる必要があり、供試体が小さく、大量に処理する場合にはそれが困難となるが、本手法を用いることで容易に成膜可能である。
新技術の特徴
・高機能光触媒薄膜の作製
・簡便、経済的な光触媒薄膜の作製方法
・アナターゼを含む酸化チタン光触媒膜の生成
想定される用途
・高機能複合光触媒薄膜を用いた脱臭や環境浄化
・立体形状光触媒薄膜による環境浄化機器への応用
・抗菌殺菌建材への応用
- 環境
4)マグネシウム合金切削屑の無加圧焼結による再生
東京都立産業技術研究センター 開発本部開発第一部 機械技術グループ 副主任研究員 岩岡 拓
新技術の概要
マグネシウム粉末に特定の元素粉末を混合し、低融点共晶融液を生じさせることで、焼結が難しいマグネシウム粉末を無加圧で焼結する技術である。また、これを応用して、マグネシウム合金の切削屑を無加圧焼結することで、再び切削屑に所望の形状を与える技術である。
従来技術・競合技術との比較
一般的に焼結が阻害されるマグネシウムの焼結には剪断変形を与える強加工が併用されるが、この方法では加工方向に依存した形状しか得られない。しかし、本技術を用いることで粉末冶金法ならではの金型成形による形状付与が可能となる。
新技術の特徴
・マグネシウム合金のための一時的液相焼結法
・粉末冶金法ならではの金型成形による形状付与
想定される用途
・マグネシウム合金ポーラス体の作製技術
・軽量焼結部品の作製技術
関連情報
・外国出願特許あり
- 材料
5)架橋速度を調整したゲニピン/コラーゲン・ゼラチンゲルの開発
東京都立産業技術研究センター 開発本部開発第二部 バイオ応用技術グループ 研究員 成田 武文
新技術の概要
我々は、毒性の低い架橋剤であるゲニピンを利用し、加温時間によって生体高分子の架橋速度を調整できる技術を開発した。この技術を用いて架橋速度を変えたゲニピン/コラーゲン・ゼラチン水溶液を内視鏡用潰瘍被覆ゲル、内視鏡用粘膜下局注ゲルおよび吸水硬化性スポンジなどの多様な医療機器開発に応用した。
従来技術・競合技術との比較
架橋剤濃度を高めると生体高分子の架橋速度およびゲル強度が高くなるが、細胞毒性も高くなる。本技術では、ゲニピンの加温時間によって、同じ濃度で架橋速度を調整することができる。
新技術の特徴
・ゲニピンを中性リン酸緩衝液中で加温するのみで、架橋速度を向上できる
・ゲニピンの加温時間に応じて、同じ濃度で架橋速度を調整することができる
想定される用途
・生体接着剤
・止血スポンジ
- 材料
6)亀裂検知用eテキスタイルの開発
東京都立産業技術研究センター 事業化支援本部多摩テクノプラザ 複合素材開発セクター 主任研究員 窪寺 健吾
新技術の概要
この技術はフレキシブル性を特徴としたeテキスタイルセンサである。金属繊維を活用した導電織物と導電捺染技術を融合し、鉄橋やトンネルなど目視困難な場所で生じる亀裂の発生や進展を計測することを目的に開発した。
従来技術・競合技術との比較
鉄道事業のインフラ管理は一般的に目視にて管理されることが多く、検査者の習熟度により結果が大きく左右される。またその他センサを用いた検知も試験的に行われているが、本発明品は現場施工性に優れた特徴がある。
新技術の特徴
・凹凸面に対応するフレキシブル性
・広範囲でのセンシング
・安価で高施工性
想定される用途
・インフラ診断
関連情報
・展示品あり
- 医療・福祉
7)インフルエンザ検出感度 従来法の1万倍 ~超高感度・簡便・迅速イムノチップの開発~
神奈川県立産業技術総合研究所 実用化実証事業 人工細胞膜システムグループ サブリーダー 大崎 寿久
新技術の概要
従来のインフルエンザ検査キットでは、ウイルス抗原と未反応の標識抗体を十分分離できない内在的要因により、感度・特異度に限界があった。新技術では、従来法の簡便性・迅速性はそのままに、抗原と未反応標識抗体の分離を改善するチップ構造を開発し、また蛍光検出と組み合わせることで感度1万倍を達成した。
従来技術・競合技術との比較
従来技術の高感度化は、検査キットに含まれる抗体の標的抗原に対する結合定数や特異度の向上を中心に行われてきた。本技術では、検査キットのチップ構造や検出方法に着目し、高感度化を達成した点に特徴がある。従来技術の高感度化戦略に対して、相補的に活用可能な技術シーズである。
新技術の特徴
・検出時間10分、従来法の1万倍の感度でウイルス検出できる抗原抗体反応を利用するイムノチップ
・吸水性ポリマーの吸水現象を駆動力とする、抗原と未反応標識抗体の分離効率向上
・蛍光検出法を組み合わせることによる感度向上
・透明プラスチックとファイバーシートを材料とする低コスト・使い捨て可能なチップ構造
想定される用途
・インフルエンザの他、高感度・迅速検査が求められるウイルス・菌等の検査キットの高感度化
・人以外の家畜やペット、野生動物に対するウイルス・菌等の高感度・迅速検査キットの改良・新規開発
・抗原抗体反応およびそれに類似した反応系を利用する検査チップの高感度化
関連情報
・サンプルあり
- 製造技術
8)マグネシウム合金の表面処理方法
山梨県産業技術センター 材料・燃料電池技術部 工業材料科 主幹研究員 佐野 正明
新技術の概要
マグネシウム合金を部材として使用する場合、表面処理等により耐食性を高める必要がある。本発明では、水蒸気雰囲気中でマグネシウム合金の加熱処理を行い、表面に水酸化マグネシウムの皮膜を形成することで、耐食性の向上が得られる。
従来技術・競合技術との比較
従来法の陽極酸化や化成処理では種々の薬品や大がかりな設備、排水処理などが不可欠であるため、コスト、設備、作業において負担が大きかったが、本発明では薬品を使用せず負担が少ない方法で実施できる。
新技術の特徴
・環境負荷が少なく、簡便かつ安価な方法でマグネシウム合金の耐食性向上を実現できる
・140℃前後の水蒸気雰囲気中で1時間程度の処理により皮膜を形成する
・前処理に機械加工を施し、表面に均一な加工ひずみを与えることで皮膜特性が向上する
想定される用途
・自動車部品の軽量化部材
・電子機器部品の軽量化部材
関連情報
・サンプルあり
- 材料
9)取替え時が見て分かるカラーインジケーター消臭剤
静岡県工業技術研究所 企画調整部 部長 櫻川 智史
新技術の概要
悪臭成分の存在下で化学的消臭機能を有し、しかも、消臭に伴い変色することで、色によって悪臭成分の除去量や取り替え時が判断できるインジケータ機能を有する消臭剤を開発した。
従来技術・競合技術との比較
本技術は、悪臭との反応により色が変化し、その反応(化学的消臭)の程度が確認できる点で、従来の消臭剤とは大きく異なる。色により悪臭の除去量や取替え時が判断できるインジケータ機能を消臭製品等に付与することができる。
新技術の特徴
・アンモニア消臭率は95%以上、消臭前後の色差20以上(12以上で視認可)
・天然物由来の色素なので人体や環境に対する影響が少ない
想定される用途
・室内消臭機器
・紙製オムツ
・動物用排せつ物処理剤
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
栃木県産業技術センター 技術交流部
TEL:028-670-3391 FAX:028-667-9430Mail:sangise-sougoupref.tochigi.lg.jp
URL:http://www.iri.pref.tochigi.lg.jp/
埼玉県産業技術総合センター 企画・総務室 企画担当
TEL:048-265-1368 FAX:048-265-1334Mail:siensaitec.pref.saitama.jp
URL:http://www.saitec.pref.saitama.lg.jp/
千葉県産業支援技術研究所 技術支援室
TEL:043-231-4365 FAX:043-233-4861Mail:sankenpref.chiba.lg.jp
URL:http://www.pref.chiba.lg.jp/sanken/
東京都立産業技術研究センター 開発企画室
TEL:03-5530-2528 FAX:03-5530-2458Mail:kaihatsuiri-tokyo.jp
URL:https://www.iri-tokyo.jp/
神奈川県立産業技術総合研究所 企画情報連携部 知財戦略課
TEL:044-819-2035 FAX:044-819-2026Mail:strnewkast.or.jp
URL:https://www.kanagawa-iri.jp/
山梨県産業技術センター 企画連携推進部 総合相談・連携推進科
TEL:055-243-6111 FAX:055-243-6110Mail:yitc-cappref.yamanashi.lg.jp
URL:http://www.pref.yamanashi.jp/yitc/
静岡県工業技術研究所 企画調整部
TEL:054-278-3028 FAX:054-278-3066Mail:sk-kikakupref.shizuoka.lg.jp
URL:https://www.iri.pref.shizuoka.jp/
新技術説明会について
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TEL:03-5214-7519
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