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九州大学 新技術説明会

日時:2018年11月01日(木) 10:25~15:25

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、九州大学

後援:特許庁、関東経済産業局

発表内容詳細

  • 創薬

1)脊髄アストロサイト亜集団を標的にした鎮痛剤創出の可能性

九州大学 大学院薬学研究院 臨床薬学部門 ライフイノベーション分野 教授 津田 誠

新技術の概要

本発明者らは、皮膚の感覚情報が入る脊髄後角のアストロサイト(グリア細胞の一種)の新しい亜集団を発見し、同集団の刺激により軽度機械刺激に対する過敏が起こることを明らかにした。その集団は脳から下行性痛覚制御神経の支配を受けていた。これらの知見から見出した、同集団を標的とする鎮痛剤である。

従来技術・競合技術との比較

グリア細胞の中で数的に最も多いアストロサイトは神経伝達物質受容体を発現し、空間的にはシナプスと接触していることからシナプス活動への関与が想定されている。しかしながら、感覚情報伝達における脊髄でのアストロサイトの役割は未だ分かっておらず、これを標的とする鎮痛剤は開発されていない。

新技術の特徴

・脊髄後角アストロサイトの中で表層に局在する新規亜集団の発見
・このアストロサイト亜集団を刺激する下行性痛覚制御神経の発見
・このアストロサイト亜集団を標的にした鎮痛剤の創出

想定される用途

・鎮痛剤、あるいは既存鎮痛剤の増強剤

  • アグリ・バイオ

2)幹細胞を活性化するエクササイズ培養基材

九州大学 先導物質化学研究所 分子集積化学部門 医用生物物理化学分野 教授 木戸秋 悟

新技術の概要

硬さの異なる領域を特殊な形状にパターニングしたハイドロゲル基材。この基材上で間葉系幹細胞を培養すると、細胞運動機能、生存、増殖、分化能に関わる遺伝子群の発現が亢進し、通常培養では見られない活性化状態を誘導できる。

従来技術・競合技術との比較

第一に、培養基材全体の一様硬さの調節による幹細胞の従来型機能制御技術に対して、本技術は、非一様弾性場の設計を基盤とする。第二に、細胞のパターニングという従来技術と真逆の非定住培養を活用する。これら2点の独自技術によって幹細胞の活性化培養を実現する。

新技術の特徴

・精密弾性マイクロパターニング基材
・細胞のパターニング、非定住培養
・幹細胞培養の機能向上

想定される用途

・細胞移植医療に用いる間葉系幹細胞の品質向上
・細胞移植医療に用いる間葉系幹細胞の移植前処理、インキュベーション技術
・細胞移植医療に用いる間葉系幹細胞の品質保証基準の策定、標準化プラットフォームとしての応用

  • アグリ・バイオ

3)細胞を圧迫変形させるだけ! 遺伝子・高分子の超簡単細胞内導入法

九州大学 大学院工学研究院 機械工学部門 生体工学講座 教授 髙松 洋

新技術の概要

高分子や遺伝子を細胞の中に導入するための器具。狭窄のある細管に細胞と導入したい物質の混合液を通すだけの簡単操作で細胞内導入を可能とする。圧力または遠心力を用いるだけの構成で高価な装置や特殊な溶液を不要にした。

従来技術・競合技術との比較

従来の外来物質導入法は、特殊で高価な装置(インジェクター、高電圧パルス発生装置)、専用溶液、ウイルスベクターの作製などを要する。また、導入できる外来物質や標的細胞の種類が限られ、導入効率や生存率が高くない。新技術はこれらの問題を解決する。

新技術の特徴

・簡単な遺伝子導入
・安価で簡便な使い捨てデバイスとして提供可能
・導入したい外来物質や標的細胞の種類を問わない

想定される用途

・iPS細胞等の再生医療に用いる細胞の作製
・遺伝子操作技術によるバイオ医薬品生産
・付加機能を持った細胞(特定の物質に反応して光る細胞など)の作製による新規産業の創生

  • 医療・福祉

4)心臓の医用動画像を用いた視覚的かつ定量的な3次元の同期障害解析技術

九州大学 大学院医学研究院 保健学部門・医用放射線科学 助教 河窪 正照

新技術の概要

心臓は左右の心房と心室の4つの領域が同期して収縮と拡張を繰り返し、血液循環におけるポンプ機能を果たす。近年、この同期性が損なわれる同期性障害が注目されている。本技術は、医用画像の時系列データを用いて心臓の3次元の動きを把握することで、同期性をより詳細に視覚化かつ定量化するものである。

従来技術・競合技術との比較

心臓は3次元的な構造と動態を示すが、画像取得装置の限界により、2次元の平面的な動きの解析による病態診断がなされてきた。本技術では従来の2次元の動画像を入力情報としつつも、複数の断面の画像情報を統合して3次元の心臓の動きを解析して、より詳細な病態診断ができる。

新技術の特徴

・同期障害を可視化できる
・同期障害の程度を定量化できる
・従来の心臓の動画像にそのまま適応できる

想定される用途

・心臓再同期療法の適応評価
・先天性複雑心奇形の心機能評価
・心筋症による心筋バイアビリティの評価

  • 医療・福祉

5)健康状態を推定する酸化ストレスの簡便な測定法

九州大学 大学院医学研究院 保健学部門 検査技術科学 教授 栢森 裕三

新技術の概要

アルブミン(ALB)は血清中の主要な蛋白であり、酸化ストレスに対する抗酸化作用により生体の恒常性維持に重要な役割をもつ。その主体となる分子は、N末端から34番目の遊離型のシステイン残基であり、酸化されるとジスルフィド結合となる。ALBには還元型ALB(HMA)と酸化型ALB(HNA)がある。本技術は、ブロムクレゾールパープル(BCP)の反応性がHNAの方がHMAよりも大きいことを利用し、その吸光度の差から推定する簡便な方法である。

従来技術・競合技術との比較

これまでHMAとHNAの分別測定は、前処理などの全工程に時間がかかる煩雑で高価なHPLC法により測定されていた。本技術では、汎用型の自動分析装置を測定ツールとして利用し、全ALB量(HMA、HNA)とHNAを検出しやすく条件付けた2種類のBCP試薬で全ALB量中に存在するHNA量を推定する。

新技術の特徴

・安価な測定試薬で測定が可能
・スクリーニング検査として、短時間(10分程度)で測定が可能
・医療機関の検査室にある既存の自動分析装置で測定が可能

想定される用途

・住民健診等において酸化ストレスの程度を簡便に測定することによる健康状況の推定
・酸化ストレスに起因する各種疾患の予測や治療効果の判定
・簡易機器(Point of care testing, POCT)の測定試薬への応用

  • アグリ・バイオ

6)遺伝子欠損で生育速度が早くなり、種子量が2倍になる

九州大学 大学院農学研究院 生命機能科学部門 生物機能分子化学 准教授 丸山 明子

新技術の概要

本技術の植物では、成長が早くなり、側枝の数が増える。鞘は小さくなり、鞘一つあたりの種子量は半分ほどに減少したが、側枝数の増加により、最終的に得られる種子量は通常の倍程度になる。種子中のミネラル分が増加し、次世代種子の発芽率、生育などは維持される。

従来技術・競合技術との比較

本技術では、遺伝子欠損により野生型に比べて生育期間を短くすることができる。作物の生産現場における省力化、生育にかかるコストの低減につながる。また、側枝と種子が増えるため、収量の増加につながる。ミニ野菜など、鞘を小さくすることにメリットがある場合も考えられる。

新技術の特徴

・生育に要する期間が短い
・側枝と種子の増加と種子内ミネラルの増加
・鞘の小型化、鞘数の増加

想定される用途

・野菜の促成栽培
・花芽、茎、種子を食べる作物の増収
・ミニ野菜の育成

  • 材料

7)感染症を防ぎ、骨の接着を促すスーパーインプラント材料の開発

九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 教授 三浦 佳子

新技術の概要

生体適合性金属であるチタンを用い、この表面を高分子でコーティングすることにより、その生理活性を制御し、病原性細菌の付着を防ぎ、骨芽細胞の生着を促す材料を開発した。清浄なチタン材料を高分子溶液に浸漬するだけの操作によって、この性質を材料に付与する。

従来技術・競合技術との比較

インプラントでは、チタンに細胞親和性を持たせるために、タンパク質やペプチドを付与する方法、複雑なナノ形状を付与する方法が、細菌を防ぐために、抗菌剤を固定化することが報告されている。しかし、感染症を防ぐことと、骨を生着させる効果を同時に、かつ簡便に行うことはできなかった。本技術は、求められる性能をすべて満たすような性質を提供できる、インプラントのコーティング材料である。

新技術の特徴

・一つの高分子のコーティングだけで、細菌の接着を防ぎ、骨芽細胞の生着を促す
・チタンに限らず種々の生体適合性金属に適用可能
・均一なコーティングのため浸漬操作を採用

想定される用途

・インプラント用の歯科材料
・骨代替材料(大腿骨用のチタンアロイ)
・生体内アクチュエーター

関連情報

・展示品あり

  • エネルギー

8)ススが出にくい紙形状水素製造触媒を開発!

九州大学 大学院工学研究院 機械工学部門 准教授 白鳥 祐介

新技術の概要

紙形状触媒(ペーパー触媒)は、改質器のみならず、燃料電池スタック内部にも適用可能なフレキシブル水素製造触媒であり、燃料電池システムの小型化に貢献する。本技術のペーパー触媒は、紙抄きの際に用いる無機繊維分散スラリー中で、Ni担持CeO2-ZrO2(CZ)触媒粒子の合成を行うことにより得られ、CZが有する酸素吸蔵放出能により、炭化水素改質時のススの析出が著しく抑制される。

従来技術・競合技術との比較

従来型のペーパー触媒を用いて炭化水素の改質による水素製造を行う場合は、無機繊維ネットワーク内に分散された触媒粒子からススが析出し、使用中、触媒作用が低下したり、触媒構造自体が破壊されるといった問題があった。本技術のペーパー触媒では、ススの発生を抑制できる。

新技術の特徴

・ススが出にくい改質触媒
・改質器のみならず、燃料電池スタック内にも適用が可能
・成形、加工が簡単で、既存システムの構成を変えずに適用が可能
・触媒機能を変えて積層することで、触媒反応の分布の制御が可能

想定される用途

・水素製造システム
・燃料電池システム

関連情報

・サンプルあり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

九州大学 学術研究・産学官連携本部 産学官連携渉外・調整グループ

TEL:092-832-2127 FAX:092-832-2148
Mail:coordinateアットマークairimaq.kyushu-u.ac.jp
URL:https://airimaq.kyushu-u.ac.jp/ja/index.php
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