お茶の水女子大学 新技術説明会
日時:2018年06月12日(火) 10:00~12:25
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、お茶の水女子大学
後援:特許庁、関東経済産業局
発表内容一覧
発表内容詳細
- 情報
1)自然言語の含意関係・類似度計算システムccg2lambda
お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系 (理学部情報科学科) 准教授 戸次 大介
新技術の概要
"ccg2lambda"(シーシージーツーラムダ)は、深層学習と最先端の言語学理論を融合した統語解析器と、高階論理に基づく自動定理証明器を接続した含意関係・類似度計算システムである。
従来技術・競合技術との比較
近年は深層学習に基づく意味計算システムの発展が目覚ましいが、それらと比較してccg2lambdaは訓練データを必要としない点、訓練データと異なるドメインにおいても精度が維持される点、ドメイン固有の知識を用いたカスタマイズが容易である点、計算結果に説明が得られる点において有利である。
新技術の特徴
・頑健な自然言語意味処理システム
・高階論理による自動推論
・理論言語学に基づく言語処理
想定される用途
・文書の整合性・無矛盾性チェック
・質疑応答システム
・文書のデータベース化
関連情報
・デモあり
- 情報
2)円柱物体のID・位置検出のための円筒マーカと拡張現実感への応用
お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系 (理学部情報科学科) 教授 椎尾 一郎
新技術の概要
拡張現実感(AR)では物体のID・位置検出のために光学マーカが使用される。しかしながら実世界の物体や人体の部位の多くは円柱である。そこで円柱物体に貼り付けて使用する円筒形の光学マーカを考案した。このマーカは、全周囲からIDと回転角が検出できるように、円筒部分にバーコードを配置した。
従来技術・競合技術との比較
特徴点検出によるマーカレスARは、本マーカと同様に、パターンの一部の検出により物体のIDと位置を検出する。しかしながら十分な精度で検出を行うためには、カメラ映像にある程度の解像度が必要である。本マーカは2値のパターンによるバーコードを使用しているため、より低解像度の映像からのID検出が可能である。
新技術の特徴
・円柱を対象としたバーコード光学マーカ
・円柱体のIDと回転を効率よく検出
・体の部位や日用品へのAR表示に適している
想定される用途
・AR試着(通信販売用サービスとして、等)
・生活空間へのAR、位置検出
・物体の回転角度検出(モーションキャプチャの高度化、ロータリエンコーダとして、等)
関連情報
・サンプルあり
- 医療・福祉
3)スマートインソールの開発~足裏からの生活活動評価~
お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系 (生活科学部人間・環境科学科) 教授 太田 裕治
新技術の概要
靴のインソール圧力センサを組み込み、歩行時に足底に加わる圧力のパターンを認識し,生活中の行動評価を行う。
従来技術・競合技術との比較
靴を履くだけで計測が可能であるため、ユーザーを限定せず、あらゆる環境で計測が可能である。また、歩行以外の生活行動についても評価可能である。
新技術の特徴
・日常歩行中の荷重パタンの評価
・環境や対象を限定しない計測技術
・足底圧パタン分類による行動識別
想定される用途
・高齢者のロコモティブシンドローム予防のための健診技術
・糖尿病患者や足部手術後の患者の生活モニタリング
・靴選びや歩行に関する指導やアドバイス
関連情報
・展示品あり
- 創薬
4)プロゲステロンアンタゴニスト活性を有する新規化合物
お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系 (理学部化学科) 准教授 棚谷 綾
新技術の概要
プロゲステロンはプロゲステロン受容体を介して特異的な遺伝子転写を制御し、女性の様々な生理機能に重要な役割を果たしている。そのアンタゴニストは子宮内膜症やある種の癌に有効であることが示唆されている。今回、窒素原子上に複素環を持つ新規化合物にプロゲステロンアンタゴニスト活性を見いだした。
従来技術・競合技術との比較
今回、従来のプロゲステロンアンタゴニストとは構造や化学的性質が異なる化合物に比較的高いアンタゴニスト活性を見いだした。従来のアンタゴニストでは、わずかな構造(官能基)の違いでアゴニストになることが報告されているが、本化合物ではそのような性質は有していない。
新技術の特徴
・新規骨格を有するプロゲステロンアンタゴニストである。
・多様な複素環化合物で活性が認められる。
・アゴニスト・アンタゴニスト活性のスイッチングが起こらない。
想定される用途
・乳がんを始めとする抗がん剤
・子宮内膜症の治療
・プロゲステロン受容体機能解析のバイオプローブ
- 材料
5)生体機能のミミックを志向したペプチド金属錯体材料の創出
お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系 (理学部化学科) 講師 三宅 亮介
新技術の概要
生体が実現する環境応答性の複合機能について、その基本原理の再現できる基本モチーフの創出を行った。生体は、ポリペプチド(タンパク質や酵素など)の大きな構造体を必要とするが、大量合成が可能なジペプチドやトリペプチドの金属錯体で実現した点が新技術の特徴である。ペプチド金属錯体を利用した金属イオンの集積やその応答展開についても合わせて紹介する。
従来技術・競合技術との比較
生体そのものは正確な環境応答性や限られたユニットで多様な機能を生み出す事ができるため、究極の高機能材料だが、材料として展開する事を考えると不安定である。我々は、比較的安定かつ大量合成が可能なペプチド金属錯体により生体の機能の本質的な再現に向けた基礎モチーフの創出に成功した。
新技術の特徴
・限られたユニットからの多様な特性創出の手法
・2種類の環境分子に基づく環境認識・機能スイッチが可能な基本デザイン
・相転移を利用した環境認識に向けた基礎技術
想定される用途
・湿度やガスを認識した自動応答ユニットの基礎的技術
・金属や金属イオンの異方的な配列制御(スイッチング)
・その他、応用展開の可能性は当日お話しします。
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
国立大学法人 お茶の水女子大学 研究協力課(社会連携担当)
TEL:03-5978-5162 FAX:03-5978-2732Mail:s-kenkyocc.ocha.ac.jp
URL:http://www.ocha.ac.jp/researchs/index.html
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