説明会の
お申込み

理化学研究所 新技術説明会

日時:2018年05月29日(火) 09:55~15:25

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、理化学研究所

後援:特許庁、関東経済産業局

発表内容詳細

  • デバイス・装置

1)インフラ・ものづくりの現場で中性子利用を可能にする理研小型中性子源RANS

理化学研究所 光量子工学研究センター 中性子ビーム技術開発チーム チームリーダー 大竹 淑恵

新技術の概要

インフラ構造物の高齢化に伴う深刻な劣化が進むが、大型コンクリート構造物の内部空隙や塩害腐食要因となる内部塩分を非破壊で計測する技術はこれまで存在しなかった。本技術は中性子線を利用したコンクリート内部の水、塩分、空隙、鋼材破断を非破壊観察可能とし、さらにものづくり現場での革新材料の開発やバッテリー内部非破壊観察等を可能にする。

従来技術・競合技術との比較

高エネルギーX-ray透過イメージング法はコンクリート内部鋼材可視化が可能であるが、水や塩分の検出はできない。 また現在高度化開発が行われている電磁波法では、路面下の水を検出するが可視化画像は得られない。またエラーが大きい。

新技術の特徴

・数ミリから数センチのサンプルまで非破壊観察が可能
・結晶構造、元素分析が可能。(例)インフラ劣化の原因の塩害に対しては、コンクリート内部の塩分1kg/m^3未満まで可能
・水素、リチウム、ホウ素など軽元素に高感度

想定される用途

・製品、部品の非破壊観察による検査(イメージング)
・新材料開発:例:高張力鋼板のような高加工性と高度を満足させるための残留オーステナイト
・高速道路や橋梁現場で非破壊で床版の劣化箇所、塩害の程度評価。修復が必要な箇所を見つける

関連情報

・外国出願特許あり

  • デバイス・装置

2)殺菌用・深紫外LEDの開発

理化学研究所 開拓研究本部 平山量子光素子研究室 主任研究員 平山 秀樹

新技術の概要

高反射フォトニック結晶を用いて、殺菌用AlGaN深紫外LEDのp型層の光反射率を向上させることにより、低電圧駆動を保持しながら高い光取り出し効率を実現し、結果として、高い電力変換効率と高出力を実現する方法を提供する。

従来技術・競合技術との比較

従来までのAlGaN深紫外LEDは、光取り出し効率が10%程度と低く、そのため電力変換効率は未だ2%と低いことが、市場拡大の大きな妨げとなっている。本提案では、従来のp-GaNコンタクト層に反射フォトニック結晶を導入することにより電力変換効率を5倍程度向上させ、殺菌用の実用化を目指す。

新技術の特徴

・p-GaNコンタクト層に高反射フォトニック結晶を導入して高反射を実現
・低電圧駆動を保ちながら高い光取り出し効率の実現が可能
・電力変換効率の向上と高出力化、高信頼動作が可能

想定される用途

・殺菌用ランプ
・浄水器、冷蔵庫、エアコンなど殺菌を必要とする家電製品
・アトピー性皮膚炎などのための皮膚治療器

関連情報

・外国出願特許あり

  • デバイス・装置

3)ガラス微細流路を用いた圧力駆動型環境発電機

理化学研究所 生命機能科学研究センター 集積バイオデバイス研究ユニット ユニットリーダー 田中 陽

新技術の概要

高度情報化社会では膨大な数のセンサーへのエネルギー供給が必要なため環境中のエネルギー利用は重要であり、電池利用を減らせるため環境負荷やコスト低減にも繋がる。中でも人にとり最も身近なエネルギー源は人の動きである。本講演では、水とガラス微細流路の電気相互作用を利用し、人の動きに適した新環境発電機を紹介する。

従来技術・競合技術との比較

振動利用型発電は電磁誘導、圧電や静電誘導を用いたもの等があるが、機械のような高速振動では高効率だが人の動作は秒・分以上であり効率は落ち、効率を上げると大型化してしまう。一方本発明は、水がある限り発電を持続でき、原理的に長周期の発電に適している。また、発電部分に機械機構を含まないため、小型化にも適している。

新技術の特徴

・ゆっくりな動きに対応した小型発電機
・水とガラスのみで発電し、有害物質を含まず安全
・安価に作製可能

想定される用途

・ウェアラブル・インプランタブルデバイス電源
・携帯電話など電子機器の電源
・人の動きをセンシングし通信する健康状態管理デバイス

関連情報

・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり

  • デバイス・装置

4)社会実装に向けたテラヘルツ波長変換技術の新時代

理化学研究所 光量子工学研究センター テラヘルツ光源研究チーム チームリーダー 南出 泰亜

新技術の概要

光波をテラヘルツ波へと波長変換する技術の革新により、従来技術に比べて極めて簡便な光学設計でテラヘルツ波発生を可能にする技術の開発に成功した。独自の擬似位相整合デバイス構造と励起光条件による周波数可変テラヘルツ発振器はこれまで期待されてきた様々なテラヘルツ応用を実現する。

従来技術・競合技術との比較

高度なテラヘルツセンシングのためには広帯域な周波数可変性が装置に要求されるため複雑で部品点数の多い設計となっていた。開発した技術は、光波を独自の疑似位相整合デバイスへと入射するだけでテラヘルツ波発振を実現した。本技術は広帯域な周波数可変性も有しており、社会実装に向けて実用的な利点がある。

新技術の特徴

・独自の疑似位相整合デバイス
・共振器構造を持たない発振器
・狭線幅かつ広帯域周波数可変性

想定される用途

・微量リモートセンシング(ガス、粉末)
・テラヘルツレーダー/チューナー
・高感度分光

関連情報

・展示品あり

  • 情報

5)スポーツの得点等に関わる集団運動の人工知能を用いた評価システム

理化学研究所 革新知能統合研究センター 構造的学習チーム 研究員 藤井 慶輔

新技術の概要

本システムは、ゴール型集団球技において複数の攻撃―守備者間距離の時系列を入力として、クープマンスペクトルカーネルと呼ばれる非線形力学系の動的特性の類似度を計算する手法により、例えば得点の成否を教師あり学習を用いて予測できる。そのため戦術評価や戦術立案、単純な分析時間の削減に役立てる可能性がある。

従来技術・競合技術との比較

発明者は過去に、得点の成否に関わる複数の攻撃-守備者間距離を算出しており、類似研究も存在するが、この複数の時系列の相互作用の動的特性を考慮して得点の成否を識別できる特徴空間へ写像する計算手法は存在しなかった。また局所的なプレーの識別手法は存在するが、選手全員の動きを教師あり分類することは難しかった。

新技術の特徴

・集団運動における、非線形力学系としての動的特性をデータから推定できる点
・上記の動的特性を反映した異なる力学系の類似度の指標を開発した点
・支配法則が自明でない集団運動でも動的特性を抽出できる点

想定される用途

・集団スポーツにおける、戦術評価や戦術立案、単純な分析時間の削減等
・その他、非自明な相互作用をする物質集団等の動的特性の抽出や分類等
・その他、生物集団等の分類・識別による評価システムの構築等

関連情報

・デモあり

  • 材料

6)温和な条件下でアンモニアを合成する新しい触媒の開発

理化学研究所 環境資源科学研究センター 先進機能触媒研究グループ 専任研究員 上口 賢

新技術の概要

複数の金属原子が集まってできた「クラスター」と呼ばれる分子性化合物を無機担体に固定化した触媒を新たに開発した。これを用い窒素と水素を反応させると温和な条件下でアンモニアを合成することができる。

従来技術・競合技術との比較

アンモニアの工業的製造法であるハーバー・ボッシュ法は高温(500 ℃)高圧(300気圧)を必要とする。近年ルテニウム触媒の開発により反応条件が若干温和化されたが、触媒が高価で希少である。本技術では安価な前周期遷移金属のクラスター触媒を用い、より温和な条件でアンモニアを合成することができる。

新技術の特徴

・低温で窒素と水素からのアンモニア合成が可能
・触媒は入手が容易で安価
・大気中でも触媒を安定に保存・利用可能

想定される用途

・アンモニア製造(小型プラントでの製造等)
・アンモニアを原料とする肥料や各種工業製品の製造分野での利用
・アンモニアを用いた燃料電池や水素の運搬・貯蔵などエネルギー分野での利用

関連情報

・外国出願特許あり

  • 情報

7)新しい数学的手法によるCT画像再構成法

理化学研究所 バトンゾーン研究推進プログラム 三次元ゲル線量計研究チーム 研究員 高梨 宇宙

新技術の概要

X線CTに代表される断層撮像法の画像再構成原理である離散ラドン逆変換は、一般に厳密解を持たないとされ、逐次代入計算が用いられている。この技術はデータサンプリングの工夫と新しい数学的手法を用いることで、従来不可能であった厳密解を構成し、高々1回の行列積演算で断層画像再構成を実現する。

従来技術・競合技術との比較

近年の計算機性能の大幅な向上に伴い、代数的再構成法が実現している。しかし現在利用できる手法は基本的に逐次代入計算に基づいており、幾何学的不定性とノイズによる不定性が混合した再構成を行っている。本新技術はこれを完全に分離することができ、既存の優れたノイズ低減技術の優位性を最大限利用することができる。

新技術の特徴

・従来の代数的再構成法に比べ相対的に少ない計算機資源で高精度、高品質な再構成画像がえられる
・再構成が1回の行列積のみで実行できる為、GPGPUを用いた処理高速化が比較的容易に実現できる

想定される用途

・医療用、産業用X線CT装置、PET、SPECT等における画像再構
・リアルタイム断層画像撮像装置、断層動画像撮像装置

  • エネルギー

8)ユーザーオンデマンド再生可能エネルギー供給システム

理化学研究所 光量子工学研究センター 光量子制御技術開発チーム 研究員 藤井 克司

新技術の概要

不安定な種々の再生可能電力を、エネルギー貯蔵を利用し、消費者の要求に応じた電力で供給可能なシステム。家一軒程度の比較的小規模な電力から供給可能なシステムで、複数のエネルギー供給源、複数のエネルギー貯蔵デバイス、複数のエネルギー消費先へ、比較的簡単に対応可能なシステムとして構築している。

従来技術・競合技術との比較

従来のエネルギー貯蔵システムは、駅やホテルの電源や変電所の周波数変動抑制など、比較的大規模なものが多いのに比べ、将来的にはエネファーム程度の大きさで家一軒分程度から対応可能な小規模システムとしている。また、エネルギー供給・貯蔵デバイスや利用者数の増減が行いやすい制御方法を採用している。

新技術の特徴

・変動する再生可能電力をユーザーの要求に応じて供給
・エネルギー貯蔵が可能
・エネルギー供給・貯蔵デバイス数や利用者数の増減が比較的容易

想定される用途

・自立(可能)エネルギーシステム
・グリッド側電力との需給バランスを考慮したソース・シンク両方に利用可能な電源
・離島等のディーゼル発電代替

  • 電子

9)磁化のモノポール流の生成、検出と、磁性体磁化の低消費電力制御

理化学研究所 創発物性科学研究センター 量子物性理論研究チーム 専任研究員 小野田 繁樹

新技術の概要

量子スピンアイスという磁性絶縁体を用いたデバイスについて紹介する。この系に電気分極を発生させるだけの電圧を印加すると、モノポール(N極・S極)が電場に垂直に移動し、磁化を変化させる。この新しい現象に基づいたモノポール素子を用いて、電流を流さずに極めて低消費電力で動作する新しい磁気メモリを提案する。

従来技術・競合技術との比較

MRAMでの磁化制御には、磁気ヘッドを通じて発生させた磁場を用いるか、磁性体のトンネル接合にスピン偏極電流を流す手法が知られている。これらが電流による制御方法である一方、本発明のモノポール素子は電界によって動作するため、消費電力が極めて抑制される。室温付近での動作にはデバイス開発が必要となる。

新技術の特徴

・モノポール流を世界で初めて活用
・電流・スピン流を流さずに動作する超低消費電力磁気メモリ
・高集積化に対応

想定される用途

・モノポール流の生成
・モノポール流の検出
・磁気メモリにおける磁化制御(反転)

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

理化学研究所 イノベーション事業本部 ライセンス部

TEL: 048-467-9729 FAX:048-467-9962
Mail:t-soudanアットマークriken.jp
URL:http://www.riken.jp/contact/
新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

Go Top